dawn_______dusk

心の機微を綴っています。

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最近の記事

夫の布団にもぐりこむ あったかい 去年の春に鳴いていた鳥の声が聞こえ始めた 鶯も鳴いている 外は明るい もう起きて良い頃 孤独だった朝のことが浮かぶ 今の暖かさを想う

    • それを歌と呼ぶのなら

      土曜日の朝、 二人でふとんの中でごろごろしていると 夫がリズムを取りながら動き出した ふとんがあるからもぞもぞしている 振動が直に伝わってくる わたしも真似して動き出す 笑顔がほころぶ 「オレこういうの好きなんだけど」 「わたしも好き」 動きと言葉を交わして あたたかい気持ちが広がる 付き合ったのも、夫がわたしの気を引く動きをしたことが 一因になっているかもしれない 付き合う前に二人で入ったスタジオで、 夫が音楽に合わせて体を動かし始めた 注目せざるを得ない何かを感

      • 秋 夜

        10月 ずいぶん寒くなった 夏はもう遠くに 冬が近づいている 平日に休みを取り 一人で山の中の温泉へやって来た 帰ろうとする頃にはもう日が落ちていて あたりはオレンジ色から暗闇に変わろうとしている 古びた家に灯りがついている 空は高く 四方を森林に囲まれている 心地よさと少しの怖さが一緒に存在しているような時間 寒くなって来たからか 暗くなって来たからか 死が頭をよぎる いつか死ぬという当たり前のことが 自分にも起こると知る 冬が来るように 夜が来るように いつか意識

        • 柔らかく静かな象と、固く轟音をあげるショベルカー

          昨日は日曜日だというのに遅くまで仕事をしていた。 がんばりたい仕事だったし、スケジュールをできるだけ巻こうという会社の方針もあった。 でもなかなかしっくり来ずに、落ち込みながら眠りについた。 そしたらそんな気分になる夢を見て、翌朝5時半に目が覚めた。 朝一番にパソコンを開くのは気が進まない。疲れてしまうから。 なので仕事が気になったけどパソコンは開かず、テーブルに置いてあった夫の読みかけの星野道夫さんの文庫を開く。 いつも心の中に月のような存在に思いを馳せている。 声を聞

          目覚ましの音

          静かな時間の中に、ほーーーほけきょ という鳴き声が響きわたる。 うるおいのあるこの鳴き声で最近は目が覚める。 チューピーチューピーチュピーチュピーチュ と、名前のわからない鳥の鳴き声が聞こえる時もあるし、カナカナゼミが鳴いて、幻想的な朝がつくられる季節もあるし、真夏の間はミンミンゼミがジリジリと鳴いて、爽やかな朝とは言えない季節もある。それぞれの季節に生きる生き物たちの声。 寝室の裏はちょっとした林のようになっていて、様々な生き物がやってくる。この木々のもとで暮らす生き物

          目覚ましの音

          笑って過ごしたしるし

          見知らぬ街を歩いていたら 向こうから、小学生の男の子がふざけた調子でやってきた お父さんと思われる人が、その男の子を見て笑っている 男の子は父に向かって 「笑うとほうれい線ができるよー」と言って笑っている 笑って過ごした証なら、ほうれい線もいいものだなと思った

          笑って過ごしたしるし

          夜に

          20時、会社を出て駅に向かって歩いていると、 向こうから 会社へ向かうと思われる同僚3人が歩いてきた 1人の女性は華奢な体をかがめて笑っている 1人の男性はおおらかな笑顔で彼女に何かツッコミを入れているのだろうか 1人の男性はその様子を見てか目を細くして口を開けて笑っている こんなに純粋な存在があるのかと驚いた ぱちぱちと弾ける小さなきらめきのようだった 駅で夫と合流して、そんな話をしながら自分たちの住む街に着くと 今日はカップルがやたらと目に入る 皆、恋人に向かって

          土曜日

          週末の朝はゴロゴロしながらお喋りタイム 今朝は、最近読んだ本について話していた 彼が読んだ本には、美しいと感じたことをどう伝える? というようなことが書いてあったらしい 絵に描いたり、言葉にして伝えるなどあると思うけど その人は、自分が変わることで伝える というようだった 美しいものを映して変わっていく誰かのことを想像する 彼は、空中を見て話をしていた 寝転がって話していたから わたしは、その横顔を見ていた 惹かれる一節について話す目は澄んで見えた 雨が降ったり晴れた

          さくさくぱんだ

          「好きなおやつは何ですか?」と聞いてみる 「さくさくパンダです」と返ってくる 小腹がすいたのでコンビニに入る さくさくぱんだが置いてある 普段はさくさくぱんだは買わない 白砂糖と添加物を避けているから オフィスに戻ったらさくさくぱんだを渡してみたいな、と思う 無添加のヨーグルトとさくさくぱんだを買ってオフィスに戻る 小さなルールが破られる 今日は少しいい日

          さくさくぱんだ

          水滴が生まれる時

          人の目から涙が生まれる瞬間を、初めて間近で見た日のことを覚えている 彼は気持ちが不安定で、当時、感情をコントロールする薬なんかを飲んでいた。ある日様々な悲しみが重なって、彼の体は音の無い悲鳴を上げていた。そんな時、彼の瞳に小さなまぁるい涙が生まれた。 その瞬間、わたしは癒やされるような感覚を覚えた。泣くのはストレス解消になると聞くけれど、人の涙を見た時にもそういう効果があるとは初めて知った。聞き上手な彼は自分の気持ちを吐き出すのは苦手で溜め込んでしまうのだけど、涙がそれら

          水滴が生まれる時