見出し画像

メキシコシティの旅(1) 到着篇

カバー写真はソカロ広場の国立宮殿(2023年2月、筆者撮影)

グアダラハラ空港(GDL)を飛び立ってメキシコシティのベニート・フアレス空港(MEX)に到着したのは2月4日のことであった。空港にはセブンイレブンがあって、サンドイッチを買って日本と同じように温めて食べる。タクシーを呼んで市内中心部のホテルへと向かう。
メキシコシティでは空港の周辺は治安が悪いとされ、降りて歩き回ってはならないとされている。そんなことあるのかなと思いつつタクシーに乗っていると、それは必ずしも嘘ではないことがわかった。市内に向かう道路は計画的な整備がされていないため、交差点で必ず混雑が発生している。そして路上には多くの路上生活者、ホームレスが歩き回っている。停車している車にペットボトルの水を売っているくらいであればそれはまともな範囲であり、血気盛んな(?)若者が交差点で停止中の業務用トラックのボンネット(2mくらいある)によじ上って運転手を挑発しているする。こういった交差点では車の窓を開けておくと危険だ。窓の外からスマートフォンを盗られるくらいならまだ良いが、トラブルに遭う可能性が高い。敢えて日本語で表現しようとすると、オラオラ系のホームレスといった感じだ。
初めて訪れた中南米の光景はなかなか鮮烈である。歩道の上には所狭しと露天が軒を連ねていて、人々が狭い道にごった返している。イメージとしては、アンデス山中のペルーの街並みといった感じ。ホテル近くのメルセド市場という比較的有名な市場の横を通ったが、賑やかな雑踏というのは憚られ、スリや路上トラブルの原因になりそうなところであった。チェックインしたホテルはなかなか清潔で、温かいシャワーが出たのが最高であった。(前回のホテルはボイラーを焚かないと温かいシャワーは出ないと言われた)近くにはソノラ市場という場所があって、こちらでは黒魔術の道具なども売っているらしい、何かうさんくさい…

気を取り直して、中心部のセントロ(Centro=Center)に向かって歩いていくと少し雰囲気が変わってくる。Pino Suarez交差点のところまで来ると道が開けて露天エリアから抜け歩きやすくなった。その交差点から北に通りを7つほど横切っていくとメキシコシティ中心地のソカロ広場が見えてくる。この辺りまで来ると警察官や警備員の数が格段に増え、ヨーロッパの観光地と変わらない印象になる。

ソカロ広場は元々アステカ帝国の都テノティトランがあった場所だが、1492年のスペイン帝国による征服で街は徹底的に破壊された。その跡地にはスペイン・コロニアル様式の大聖堂、行政庁舎、兵営などが建設され、新生メキシコの中心となった。現在でも広場のすぐ横には大統領宮などがあり、パレードや政治的な抗議集会なども頻繁にこの場所で行われる。広場の真ん中には巨大な国旗掲揚ポールがあり、日中は巨大なメキシコ国旗が掲揚されている。ソカロ広場の西側には高級ホテルや繁華街が広がっており、歩行者天国で楽しく歩きながら観光をすることができる。
さて、ホテルに帰ろうとするのであるが、来た時のPino Suarez交差点を南下すると人気がなくなる。節約のために徒歩で帰ろうとしたのだが、それに適した場所ではなかった。グアダラハラでメキシコ系アメリカ人にセントロからは絶対に出るなと言われたが、それはこういうことなのか。
ホテルに帰って調べてみると、前述のメルセド市場では2018年に日本人旅行者が襲われる事件が起きている。2人組の男に背後から首を絞められ、気絶した状態で所持品を奪われた由。その事件は来場者の少なくなる市場の休業日にうろついていた旅行者の身の上に起こったとのことであるが、コロナに伴う経済不安の影響かあまり好ましい雰囲気を感じなかった。
観光に来ているのに夜遅くまで外出できないのはもったいないので、翌朝別のホテルに移ることにした。セントロに位置するPino Suarez交差点から直線で300mくらいしか離れていないのだが、明らかに雰囲気が異なる。生ゴミなどの生活臭もきつかった。ただ唯一の思い出としてはホテル近くの露店のハンバーガーがジューシーでとてもおいしかったことである。

メトロポリタン大聖堂(同上)

いいなと思ったら応援しよう!