#水上勉
〔読書評〕水上勉 『雁の寺・越前竹人形』
京都の相国寺を散歩していたら境内に瑞春院という支院がありました。
ここは作家の水上勉(みずかみ・つとむ)が修行をしたお寺です。
表題作の『雁の寺』は水上自身の瑞春院での修行生活を元にした作品とされているようです。
禅寺の厳しい作務(さむ)と、お坊さん(昔の京都弁では独特のアクセントで「おっさん」と呼んだようです)たちの堕落が描かれています。
少年僧・慈念の猟奇的な自虐や恩讐が凄まじい一方で、それ
〔読書評〕水上勉 「越後つついし親知らず・はなれ瞽女おりん」
この短編小説集は鮮烈だった。
表題作「越後つついし親不知」は新潟から京都に出稼ぎに出た労働者たちの物語。
生の淵源を突きつけるような迫力が胸に迫る。
けれども何か温かい感情が湧きつづける不思議な作品...
「桑の子」は作品名からは想像もできないくらい凄絶だ。
牧歌的ながらまったく牧歌的ではない残酷な農村生活の一面が描かれている。
この作品が"妙"なのは語り部を「桑の子」の幼馴染にしていること