-後編-とあるブースターの視点からの横浜ビー・コルセアーズ航海記:Bリーグ5年目(2020-21)
前編↓に続いて後編です。
12月、反撃開始
カーターとシュウが戻ってきてからのビーコルは、勝敗こそ1勝4敗ですが負けた試合も僅差で落としたもので、チームの雰囲気はここから上げていくだけという前向きなものだった記憶があります。
12月に入り12.02の渋谷戦に敗れた後、12.05からのアウェイ三遠戦で浜松に乗り込みます。
ここまでビーコルは3勝13敗。ビーコル同様に2勝14敗と苦しんでいる三遠にとっても負けられない2連戦です。
Game1、エースのカーターが19点6リバウンド6アシスト2スティール3ブロック、森井ちゃんも3P3/6の15点10アシスト2スティールの活躍で勝利!
翌Game2は負けられない三遠が前半飛ばすも、後半に51点を入れたビーコルが追い抜いて勝利。今季初の連勝です!
カーターが27点7リバウンド6アシスト3ブロックの圧巻の活躍。レジーも15点10リバウンド。森井ちゃんは3P3/4の14点6アシスト。
アウェイで貴重な2勝を上げたビーコルは、神奈川ダービーに挑みます。
川崎はマティアス・カルファニ、ジョーダン・ヒースを怪我で欠き、代わりに11月中にセドリック・シモンズ、マット・ボンズと契約しました。外国籍2人が合流間もないならばつけ入る余地はあるはず。平塚での対川崎初勝利以来の連勝を狙います。
12.09水曜アウェイでの試合は、ビーコルが何度も追いつく寸前まで行くも捕えきれられません。あきらめないビーコルは残り0:49、カーターの3Pでまたしても1点差に。残り8秒でビーコルは最後のオフェンスをエースのカーターに託します。が、ファジーカスとの1on1でボールをファンブルし、なんとかショットを放つも苦しい態勢できめきれず、77-78で惜敗。あと少し押し込むことができれば。。
カーターがこの試合も大活躍し3P5/9の28点7リバウンド。アキが3P3/4の17点。アウダがFG6/8の13点。
12.12からはホーム2連戦で信州を迎え撃ちます。
17-18シーズンは海賊戦士として共に戦った佐藤託矢(サトタク)はこのシーズンをもって引退したので、彼の雄姿を国プで見ることができた最後の試合になりました。
Game1、2Qを20-8と圧倒したビーコルは4Qでも26-12で引き離し、75-57で今季ホームでの2勝目をつかみ取ります。
アウダのFG9/13の23点が光りました。
AK秋山の恥じらいながらのYセレブレーション。
翌Game2はチームのFG%が.361とまるで上がらず、レジーが20分弱の出場でのファウルアウトもありホーム2連勝はならず。58-64の接戦を落とします。
12.19のクリスマス・プレゼント
2020年の年の瀬も迫ってきました。もうすぐクリスマス。12.19にビーコルは年内のホーム最終戦となる秋田戦を迎えようとしています。
バスケ界隈の話題としては、B1クラブが登場する天皇杯2次ラウンドが終わり(前シーズンのリーグ戦成績上位チームのみ出場、ビーコルは出場なし)、12.13の全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)決勝では東海大学が筑波大学を破って優勝を果たします。
インカレ後、各チームへの特指加入のニュースが世間を騒がせている中、ビーコルから謎のメッセージが届きます。
"BCORXDAY"
何か、ある。そう思ってはいたものの、選択肢としては債務超過を抱えるクラブが買収されるのか、シーズン前に練習生として加入したビーコル・ユース出身で専修大学のキング開の特指加入か、はたまたビーコル10周年のお祝いか。。などをぼんやり想像していました。
ビーコルも秋田とのホーム2連戦は「かいぞクリスマス」と題して、森川とミリングHCもこんな楽しげにやっていて、ビッグニュースがやってくる気配はあまり感じられませんでした。
2020.12.19、私個人の話を少しさせていただくと、当日朝から妻とたわいもないことで喧嘩をしまして(当然のごとく原因は覚えていません)、2人とも家を別々に出て、国プに着いて隣同士でも話もせず。
会場はいつもと違う雰囲気。ハーフタイムのBCORXDAY用?に何やらメディアの人たちも詰めかけておりました。
試合自体はビーコルがシュウやカーターの活躍で前半で17点リードする最高の展開。そしていよいよハーフタイムがやってきます。
メディア陣がカメラを抱えて集まる中、ビーコルMC豊嶋彬(豊嶋さん)がこう切り出します。
ここで初めて、これはただ事ではない何かが来る、と急に緊張したことを思い出します。
ミリングHCのビデオが会場に映し出され、
ここまで来て、ある選手をイメージしました。が、そんなはずはない。彼がビーコルに来るなんてあり得ない。会場も段々と騒然としてきました。
ここで確信に変わりました。まさか、まさか、あの男がやってくるとは。。。
会場に流れるQueenの「I Was Born To Love You」。
ビジョンに映し出されるクリスマスとビーコル10周年を表す「X」と、YokohamaとYukiの「Y」。
喧嘩をしていた妻の震える声が聞こえてきます「うそ、ほんと…?」
豊島さんが迎え入れます、
会場の国プはビーコル・ブースターの驚きと興奮と歓迎の拍手に包まれます。あの河村勇輝がビーコルに!これは夢か幻か!?隣で妻が涙を浮かべながら何やら声を上げていました。
特別指定選手やビー・コルセアーズがうまくしゃべれず噛んでしまう初々しい勇輝ですが、力強くこう語ってもくれました。
今ではめったにやってくれない貴重なYセレブレーションもYukiバージョンでお届け!
河村勇輝:通称"勇輝"。背番号0。172cmのPG。山口県出身。幼少期は野球好きだったそうですが、スポーツショップでバスケのユニフォームがかっこいいと思い、それからバスケに夢中に。ミムラユウスケさんの記事によると、バスケの指導者をしていたお父さんの吉一さんが、バスケに関して勇輝に言葉をかけるのは、
自分の考えを養い、自己を肯定してくれる声に包まれた勇輝は小学6年生次にチームを全国大会のブロック優勝に導きます。
お父さんがバスケ部の顧問をしていた進学先の柳井中は県大会1回戦負け程度の実力でしたが、中学2年次にチームを中国大会に導くと、さらなる目標のためチームメイトと対話を繰り返し、個人が自らの意思で取り組むチームへと変えていきます。そして3年次には県大会と中国大会を突破し、全中ベスト16進出を果たします。
そして福岡第一(第一)の名将、井手口監督から誘いを受けます。教員になる目標のために地元の高校に残るか深く迷った末、バスケを極めるために第一へ。
このあたりの顛末は井手口監督の著書でも語られています。
第一に入るとすぐに頭角を現し、1年次にはウィンターカップ準決勝まで進みますが、福岡大学附属大濠高校に対しスタメンPGの勇輝が3P 0/10と封じ込まれ敗退します。
この悔しさをバネに高校卒業まで勇輝が出場した全国大会は無敗という偉業を成し遂げます。
アンダーの日本代表では2018年のU16アジア選手権に出場し、富永啓生、中村拓人、田中力など共に戦い、勇輝はチームのアシスト&スティール・リーダーでしたが中村拓人のバックアップPGの位置づけでした。グループ・フェイズでは勇輝の大活躍で韓国を倒し首位で通過するものの、22-23シーズンは広島でプレイしたカイ・ソット率いるフィリピンにベスト8で敗れ世界への挑戦は閉ざされます。
同年開催されたU18アジア選手権にも出場し、富永啓生、中村拓人、松崎裕樹などと共に戦い、この大会でも中村拓人のバックアップPGながらチームのアシスト&スティール・リーダーで得点も富永啓生に次ぐチーム2位の成績。ベスト8では22-23シーズンは北海道でプレイしたサムソン・フローリングがいたオーストラリアと対戦しますが、52-88で大敗し、またも世界へはたどり着けませんでした。
高校3年次の2019.11.30には天皇杯4回戦で千葉ジェッツと対戦し、日本代表の富樫勇樹を相手に21点10アシスト6スティールと大活躍。
そして2020.01.25、高校卒業を前にして三遠ネオフェニックスへの特指加入が発表されると、出場2試合目には千葉相手に21点を叩き出し、特指期間終了までの11試合で平均12.6点の驚異の活躍を見せます。
東海大学入学後はコロナ禍での大会中止や練習自粛も乗り越え、1年生ながらインカレ3ポイント王に輝き、アシスト2位、スティール1位の活躍で東海大学のインカレ制覇に大きく貢献しました。またU22の日本代表候補にも選出されています。
いやいや、正直今でも信じられません。あの河村勇輝がビーコルに。。
インカレ後、勇輝の去就は注目の的でした。しかし、我々ビーコル・ブースターにとっては勇輝は高嶺の花。ビーコルに来てくれるのはあり得ないとしても、どこに行くのかな~と他人事としてあれこれ想像していました。
その勇輝がまさかのビーコルに!何か並行世界のもう1つの宇宙にいるような感覚に襲われました。
ハーフタイムの後、妻とは勇輝の加入について話し続け、気づいたら喧嘩していたことを忘れていました。勇輝ありがとう。
勇輝のビーコル加入発表の裏側。スピーチを一生懸命練習する姿がかわいい。今とはまるで違うシュートフォームも貴重。
興奮冷めやらぬ中で後半開始。ここから秋田の怒涛の反撃が始まり、4Q早々に追いつかれると残り1:31の古川の3Pで5点差に。しかし残り51秒、森川が値千金の3P!残り25秒、中山のドライブからのパスを読み切った森井ちゃんがスティールからレイアップでついに逆転!流れが何度も傾いたゲームを86-82でビーコルが制します。
森川が3P3/3で14点、カーターが17点7リバウンド、森井ちゃんが7点9アシストと4Qの終盤に大きな2スティールで勝利を呼び込みました。
翌Game2はレジーが15点20リバウンドとモンスター級の働きを見せますが接戦の末敗北します。
12.22に行われた勇輝の記者会見の様子。Yの字が素朴でいい。
河村勇輝、海賊デビュー
12.26、勇輝のデビュー戦はアウェイの安来市民体育館でvs島根。またカーターの古巣凱旋試合でもありました。
Game1、1Q残り2:57で勇輝がついにコートに立つと、2Q残り8:01で白濱の逆をついてゴール下にカットしてボールをもらい技ありの海賊初得点。
ビーコルは島根のFG%を.354に抑えるも引き離せず、4Q最後のアキの2連続得点でなんとか突き放し72-66で勝利。
アウダがFG7/9の16点10リバウンド、アキが15点。そして勇輝がデビュー戦で4点5アシスト。目の覚めるようなパスの連続でビーコル・ブースターのみならず全国のバスケファンのど肝を抜きました。やはり河村勇輝は違うぞ、と。
翌Game2は接戦のまま4Q残り7秒で島根が1点リード。ビーコルはまたしてもエース・カーターにラスト・ショットを託しますが、古巣相手に調子が出ないか2戦とも振るわなかったカーターがこの場面でショットのチャンスを見いだせず、アウトサイドのシュウにパスを出すもタイムアップ。
この日はビーコルのFG%が.387と低く、アウダの17点12リバウンドの活躍と勇輝のビーコル初の3P2本での9点があったものの届きませんでした。
これで年内は8勝17敗。前シーズンは年内7勝18敗だったので上積みはわずかですが、ただ12月に限れば5勝5敗と、カーターとシュウが加入してからチーム状況は明らかに上がってきました。
舞台は整い、ついに勇輝のホームでのデビュー戦です。
2021.01.02、新年最初のゲームはホーム国プに、ここまで10勝15敗と西地区6位タイにつける滋賀を迎えます。
Game1、ビーコルが前半13点リードしますが、後半滋賀がひたひたと追いかけます。最後の猛追をかわして2021年ホーム初勝利!
アウダが19点、カーターが18点6リバウンド5アシスト4スティール、森川が3P4/6の18点。
そしてホームでのデビュー戦の勇輝は得点は0点だったものの、チーム最多の7アシスト2スティール。恐るべきパスの切れ味でした。
翌Game2、インサイドの要のレジーが欠場しますが、左膝軟骨を損傷していたエドが11試合ぶりにコートに戻ってきます。
試合の展開は一進一退のクロスゲームに。残り34秒、アウダがポストから外で待っていたシュウへ。コーナーへのパスフェイクからのステップサイドで狩俣との距離を離したシュウの逆転3Pが炸裂!雄叫びを上げるキャプテン!ファウルゲームを乗り切ったビーコルがホーム2連勝!
エース・カーターが3P5/7の30点5リバウンド4アシスト2ブロックと大活躍しますが、この日はなんと言ってもシュウの3P3/4の9点6アシストとクラッチタイムの3Pにしびれました。
勇輝も7点7リバウンド3アシスト2スティールで勝利に貢献します。これで10勝17敗。
ユース初の特指、キング開!
01.11、天皇杯のリーグ中断中に、さらなる嬉しい発表が!シーズン前に一時的に練習生として参加していたキング開が特指で加入します!
キング開:通称"キング"or"開"。背番号23。184cmのSG/PG。神奈川県横浜市出身。
お父さんがUSA、お母さんが日本のハーフ。バスケをしていた両親の下で小学生からバスケを始め、岡村中時代にはビーコルU15にも所属。
高校はアレセイア湘南に進み、高校3年次にはインターハイに出場。部活引退後はビーコルU18でプレイします。
高校卒業後は専修大学へ。1年次から活躍し、2018、2019の専修大学インカレ準優勝に貢献。大学2年次からPGへとポジションを移し、2020年のインカレではPGとして個人得点8位、アシスト7位、スティール4位の活躍を見せます。またU22の日本代表候補にも勇輝と一緒に選出されています。
ユース出身の選手がトップチームと契約を結ぶのは史上初のこと。ビーコル愛にあふれた海賊の登場です!
勇輝とキングが加わった20-21シーズンのWe are B-CORSAIRSがこちら。
勝ち星を伸ばせなかった1月&2月
勇輝とキングが特指加入し、直近12試合を7勝5敗と勝ち越し中のビーコルですが、01.23からのアウェイ北海道戦で2連敗。
続く01.27アウェイ千葉戦は、森川が3P3/3の18点と気魄を見せたものの、チームの格の違いを見せつけられ64-75で敗北。。
01.30、ホームに戻ってきてvs広島。ここまで広島は西地区最下位の4勝26敗で目下17連敗中。ビーコルにとっては負けられない2連戦であり、前シーズンのキャプテン田渡凌の凱旋試合でもあります。
Game1、1Q~3Qの全てのクオーターでリードされたビーコルは15点差で4Qに突入。ここから怒涛の追い上げを見せ、残り3:40には勇輝のスティールからアキのレイアップで3点差まで迫りますが一歩及ばず70-73で敗北。
アウダが18点6リバウンド、カーターが16点14リバウンド2スティール、レジーが10オフェンシブ・リバウンドの15リバウンド、そして勇輝が8点7アシスト5スティールと活躍します。が、レジーのFGが4/14だったり、勇輝の3Pが1/11だったりで負けられない試合を落としてしまいます。
翌Game2、広島の連敗ストッパーとなってしまったビーコルですが、ホーム2連敗は是が非でも避けたいところ。しかしこの日も4点ビハインドで4Qへ。残り3:14でついに逆転!そして残り40秒、森井ちゃんの3Pで4点差に広げ、80-74で勝利し連敗を4で止めます!
エース・カーターの31点13リバウンド2スティール2ブロックの大活躍にアキの14点が続き、森井ちゃんの値千金の3Pで勝利をつかみ取りました。
続く02.06からのアウェイ京都戦。前の試合でアンスポーツマンライクファウルを2度宣告され、この試合は出場停止となったアキの代わりにコーヤが初めてスタートで起用されます。
Game1、アキがいなければ俺がやると森川が奮起し3P6/8の22点、勇輝も12点6リバウンド3アシスト2スティールと活躍しますが、レジーが4点、カーターが3点と絶不調で69-82で敗北。
翌Game2、エース・カーターがこの試合から負傷のため欠場(後に左足底筋肉離れと発表されます)。この大ピンチを救ったのが最近精彩を欠いていたレジーのFG9/13の23点10リバウンドの活躍。抜きつ抜かれるの攻防をなんとか制し83-78で勝利!これで12勝22敗。
そして平塚での02.10富山戦。ホームでのプロの試合とは思えない実に41点差55-96の大惨敗を喫します。レジーは10分でファウルアウト。。
02.12、続く平塚シリーズは島根との2連戦。ここまで島根は13勝22敗。エース・カーターを欠き、さらにこの試合からエドも右足ヒラメ筋肉離れのため離脱するという苦境に陥りますが、なんとか勝利が欲しいです。
Game1、4Qを同点でスタートし、残り3:48で1点差に迫りますが、以降で3-12と圧倒され64-74で敗北します。アウダが18点7リバウンドの活躍を見せるもレジーがファウルアウト。。途中でシュウが膝を痛めるもそのままコートに残し、森井ちゃんのプレイタイムは0という謎采配。。シュウのバックアップとしては、この日のFGが2/11で迷いの中にいる勇輝ではなく森井ちゃんを起用するべきでした。試合終了後のツイッター上では森井ちゃんを使えの大合唱が。
しかしこの試合でキングが初登場します。怪我人続出の中、一筋の光明が射しました。
翌Game2、ブースターの声が届いたのでしょうか!?この日のスタートは森井ちゃんとシュウの2ガード。
ビーコル3点リードで4Qに突入すると、追いつかれることなくエナジー全開で89-77の勝利!
アウダが23点9リバウンド、レジーが17点9リバウンド、森川が16点、そしてキャプテン・シュウが昨日痛めた膝の具合も何のその3P4/5の14点3スティールの大活躍でした。
そして02.18、ついにその日が来ました。02.27からの川崎とのホーム2連戦で勇輝の特指期間終了のお知らせです。
日本の宝がまさかの海賊に。。夢と希望を見させてもらいました。勇輝ありがとう!
02.20、今度はアキの離脱が発表されます。右足関節内遊離体の摘出手術。。カーター、エド、アキと主要メンバーの欠場が続くのは痛い。。
河村勇輝、ラストゲーム
勇輝の最終試合となるホームでの神奈川ダービー。ビーコルはクラブ創設10周年を記念し、令和の黒船となるべく「ARRIVAL BLACK」の3rdユニフォームに身を包み、川崎を迎え撃ちます。
02.27、Game1。勇輝が今季初先発を果たし、カーターが戦列に復帰するも今度はレジーが欠場です。。試合は川崎に全クオーターでリードを許し65-92で大敗。
森川が3P3/5の19点と気を吐きますが、負傷明けのカーターは本調子ではなく、勇輝は5リバウンド5アシスト3スティールするもののFGは1/7の4点に終わります。
翌Game2、この試合もレジーが欠場しますが、前日と打って変わって1Qはビーコルがリードし、川崎が抜き返しながら4Qへ。残り2:45、森川の3Pで1点差に迫ると、残り4秒のシュウの3Pでついに同点に!シュウが拳を振って咆哮し、それに応える国プのビーコル・ブースター!
しかし結末は、AK秋山を背にした藤井のポストでの1on1からのフェィダウェイで劇的敗北でした。。平塚の歓喜以来の対川崎2勝目はあと一歩でならず。。
しかし、レジー抜きで川崎とここまでの勝負ができるようになったのは(川崎もファジーカスが欠場でしたが)チームとして大きな成長の証。
そしてこの試合でついにキングがBリーグ初得点を3Pで記録しました。
カーターの20点11リバウンド2スティールの活躍がありましたが、勇輝のラストゲームはFG1/6の2点に終わりました。
このシーズンの勇輝は16試合出場で6.0点、2.3リバウンド、3.4アシスト、1.6スティール。
アシストやスティールは特指選手とすれば出色ですが、得点は三遠のときの12.6から6点ほど下がり、FG%は.389→.277、特に3P%が.373→.205に下がってしまい、"あの"河村勇輝の活躍を期待していた全国のバスケファンにとっては残念な結果に終わったと言わざるを得ません。
そして何より勇輝にとって全く満足のいくものではなかったはず。
逆説的にこのシーズンの結果が、勇輝とビーコルの未来を変えた1つの要因になったかもしれません。
大逆転のビーコル、再び
03.02、勇輝とのお別れに続いて、03.07のアウェイ琉球戦を最後にキングの特指期間終了が発表されます。
03.03、ホームで渋谷との水曜ゲーム。キングのホームでのラストゲームです。
この日もレジーが欠場しますが、エドが戻ってきました。
1Q~3Qまで渋谷が全てのクオーターでリードし、8点差で4Qへ。残り2:52で15点差となり、敗戦を覚悟しました。しかしこの試合、今季最高と言っていい活躍をしていたパトリック・アウダは諦めません。残り2:39で13点差となるレイアップをきめ、残り51秒で渋谷のエンドからのボール出しをスティール!慌てた渡辺がアウダを押してアンスポに。FT2本をきめるとシュウとのP&RからCJをかわしてレイアップ!ついに2点差に!
残り28秒でカーターがバスケットカウントをきめ勝負はオーバータイム(OT)へ。OTでは森川が躍動し2本の3Pを沈め、大逆転でビーコルが勝利します!!
アウダがFG9/12の27点4リバウンド4アシスト2スティール、カーターが18点14リバウンド7アシスト、森川が3P5/7の20点。そしてキングが3P2/3の8点。
勇輝の活躍に注目が集まる一方、なかなか出場機会に恵まれなかったキングでしたが、4Qで森井ちゃんとアウダがファウルアウトする中、OTで攻守に活躍し貴重なFTをきめてくれました。
泥沼
渋谷戦を終えて14勝26敗。Bリーグ創設以来のクラブ最多勝数が17-18シーズンの18勝。シーズン残り1/3でこのペースなら最多勝は十分狙えます。
しかしここからビーコルは大きな沼に入り込みます。
大きかったのはシュウの負傷。渋谷戦で怪我を負い、後に左膝脛骨骨挫傷と診断され、4月まで戦線を離脱します。
キング開、ラストゲーム
03.06、アウェイ琉球戦Game1は1Qで22点差をつけられ一方的なものに。。
翌Game2、キングのビーコルでのラストゲームです。
このシーズン西地区を制する琉球に対して前日同様レジー、アキ、シュウを欠く中、打って変わって好ゲームを展開します。前半は同点。4Q残り2:25、キングの3Pで6点差まで追い上げますが最後に突き放され72-84で敗北。
アウダが20点6リバウンド、カーターが16点5リバウンド2スティール、森川が3P4/5の17点と活躍するも及びませんでした。
ラストゲームのキングは森井ちゃんのバックアップPGとして出場すると攻守に活躍し、3P2/5の8点2リバウンド2アシスト2スティール。
キングのこのシーズンは6試合のみの出場でしたが、勇輝の特指終了後は2桁のプレイタイムを得てエネルギッシュなプレイを見せてくれました。
勇輝が期待されたような活躍ができなかった中、キングの終盤の輝きがブースターにはまぶしく映りました。
ミリングHCとの別れとタケさんの引退
03.19、予想もしなかったタイミングで驚きのニュースが飛び込んできます。
シーズン18試合を残すタイミングで、ミリングHCが今シーズンで横浜を去ることが発表されます。フランスに戻るという話でしたが、その後まさかの展開を迎えます(詳しくは次回)。
勝利後のヨキヨキを連呼するパフォーマンスや力強くポジティブなメッセージでブースターの間では非常に人気があったミリングHCとの別れに、多くのブースターが落胆します。
そしてタケさんがついに2度目の引退を決意します。
Bリーグ初年度からビーコルをコート内外で下支えしてくれたタケさんには、引退セレモニーも含めてブースターからさよならの準備をする期間があった方が絶対に良かったので、このタイミングでの発表はしっくりきました。また古巣である宇都宮とも4試合残しているので、むこうのタケさんファンからもお別れが言えるように、という配慮もあったのかと思います。
コーヤの覚醒
03.20、このシーズン東地区を制する強豪宇都宮とアウェイ2連戦。
Game1、レジーが5試合ぶりに戦列に復帰しますが、対戦して未だ一度も勝利したことのない宇都宮はやはり強く66-77で敗北します。
カーターが20点5リバウンド3アシスト、復帰したレジーがFG7/9の17点9リバウンド2スティール。そして琉球戦からスタメンが続くコーヤが3P2/4の8点3アシストの活躍で、ついにB1で通用する何かをつかんだように見えました。
翌Game2、キャリアハイの活躍を見せていたコーヤが3Qに頭を打ってコートを去るアクシデント。しかし強豪宇都宮相手に力を振り絞るビーコルは同点で4Qへ。残り5:31に逆転を許すとそこから捕まえきれずに76-82で惜敗。
アウダ23点、レジー10点11リバウンドの活躍がありましたが、やはりこの日はコーヤ。約11分の出場で3P3/3の11点。遠藤の3Pをブロックするシーンもありました。終盤にコーヤがいてくれたら。。
この試合、ストックマンも7点4アシストの活躍を見せました。
タケさんの引退発表で、若手たちが自分がやらねばという気持ちを強くしたような気がしました。
03.24、今シーズン最後の神奈川ダービーは森川が21点取るも全クオーターでリードされ74-100の完敗。
03.27、ホームで富山との2連戦。この試合からアキが復帰し、コーヤも宇都宮戦の負傷で異常がなかったことで復帰。しかしAK秋山が欠場(後に脛骨後果骨挫傷であることが判明)。
Game1、スタメン復帰したコーヤが11点を奪うも、コーヤ、カーター、レジーがファウルアウト。。4Qで8点差まで迫るも突き放され72-87で敗北。
アウダが好調を維持し26点12リバウンド。森川が15点5アシストの活躍。
Game2、終盤まで1桁得点差のシーソーゲームが続くも捕えきれず90-96で敗北。これでこのシーズンの富山戦は4戦全敗。チームも7連敗で14勝33敗となります。
アウダが21点、カーターが23点8リバウンド3スティール、アキが18点、コーヤは3P3/7の11点と3試合連続で2桁得点でした。
03.31、タケさんの国プ最終試合vs宇都宮は前半で26点差をつけられ完敗。ついに8連敗です。。
コロナ禍での延期と消滅
4月に入って予定されていたアウェイ大阪戦ですが、大阪の選手から新型コロナウイルス陽性判定が出て、Game1は04.28に延期、Game2は代替不可のため消滅となります。
翌週のアウェイA東京戦も、A東京の選手が濃厚接触者と判定され延期に。Game1は04.21、Game2は05.05に分散して開催されることとなります。
シュウの復帰と再離脱
04.07、アウェイ北海道戦水曜ゲーム。
シュウの離脱から始まった泥沼の8連敗に終止符を打つべく、キャプテン・シュウが復帰します。
一進一退の攻防が続き、4Q残り1:38でビーコル1点差リードという緊迫の展開。ここからアキの3P、森川のスティールからの速攻で5点を奪取し、ついに連敗ストップ!
先発に復帰したシュウが早速活躍し、3P2/5の8点4アシスト。レジーがFG7/9の15点17リバウンド2ブロック。カーターが14点11リバウンド2ブロック。アキが20点でした。これで15勝34敗。
04.14、タケさんの最後のvs宇都宮戦。ビーコルも善戦しましたが、まだ宇都宮の頂は遠く。。
試合後には宇都宮がタケさんの引退セレモニーを開催してくれました。
宇都宮のレジェンドに対し、かつてのチームメイトである安齋HCからもこの言葉が。
04.17、平塚でのvs渋谷2連戦。
Game1、7点リードで4Qに入りながら4Qで渋谷に33点取られ67-79で敗北。
コーヤが3P3/5の11点、カーターが23点8リバウンドでしたが届かず。。
そしてこの試合でシュウが右手首を痛めプレイ続行不可に。後に右手舟状骨骨折と診断され、シーズン残り試合は欠場となります。。
Game2は序盤から渋谷にリードを許し71-85で敗れ、ここ12戦で1勝11敗となり通算15勝37敗。シーズン最多勝が次第に怪しくなってきます。
アルバルク戦初勝利!
04.21、延期となっていたアウェイA東京戦。クラブとして対A東京は通算0勝12敗。しかしこのシーズンのA東京はアレックス・カークの怪我や新型コロナウイルスの影響もあり、ここまで30勝19敗。CS進出のためには今後の対戦相手を考えると1敗もできないかなり厳しい状況でした。
前半でA東京に16点のリードを許し、チャンピオンチームにはやはり歯が立たないのか。。と思ってしまいましたが、後半森井ちゃんをトップに置きコーヤとプレッシャーをかけるオールコートプレス、通称"森井ちゃんでいコーヤ"(勝手に名づけました)で流れを変えます。後半は逆に20点差をつける大巻き返しを見せ、残り49秒で3点差に迫られるも残り25秒でアキが3Pをきめ、82-78で対A東京初勝利を上げます!
この日は6人が2桁得点を取るバランスのいい攻撃。カーターが21点7リバウンド4アシスト3スティール、レジーが13点8リバウンド、アキが3P3/5の12点、コーヤが3P2/3の10点、そして森井ちゃんは0点ながら8アシスト。プレスで流れを変える大きな働きをしてくれました。
アウダもニコニコ(*^-^*)
シーズン最多勝へ向かって
04.24、アウェイ千葉戦。このシーズン、東地区2位となりCSで優勝を果たす千葉はやはり強かった。。
Game1、この試合からAK秋山が復帰。なんとか追いすがるビーコルはアウダが25点の活躍を見せるものの、富樫に5本の3Pで23点を許し83-91で敗北。
Game2、ビーコルが3点リードで4Qへ。残り2:34でビーコルが同点に追いつきますが、そこから富樫とショーターに連続3Pを食らい63-70で敗北。強豪チームにも接戦を演じられるようにはなってきましたが、勝ち切るにはもう1つ越えねばならないハードルがあるように思えました。。
04.28、延期となっていたアウェイ大阪戦が開催されますが、緊急事態宣言の発令に伴い無観客での試合となります。
このシーズンの大阪は西地区2位でCSへ進出する格上チーム。その大阪に対し5点リードで4Qに入りますが、この日3P8/13の30点と暴れまわったニュービルを最後まで止めきれず85-91で惜敗。
これでビーコルは16勝40敗。シーズン最多勝までは1敗もできなくなりました。
20-21ホーム最終戦 Grand Final
04.30、ついに来ました今シーズンのホーム最終戦は横浜武道館でvs新潟。新潟はここまで東地区9位の15勝35敗とビーコルと似たり寄ったりの戦績です。
「ARRIVAL BLACK」の3rdユニフォームに身を包み、シーズン最多勝目指し1敗もできない覚悟で、かつてのビーコルの英雄Jウォッシュ率いる新潟に臨みます。
Game1、まさに互角の戦い。残り17秒で新潟が1点リードのしびれる展開。
カーターが落としたFTに森井ちゃんが身を投げ打って果敢に飛び込みレジーにつなげると、森川がドライブで収縮させアウトサイドへパス!アキの残り8秒での3P!いつもクールなアキがガッツポーズで雄叫びを上げます!
最後ロスコのFTをブースター・ディフェンスで落とさせて87-85で勝利!
カーターが17点、レジーが20点、コーヤが10点、そして殊勲のアキが12点の活躍。ビーコルマガジンさんの記事で森川はこう振り返っています。
Game2、ホーム最終戦はタケさんのビーコル・ブースターの前での引退試合でもあります。
試合前のハドル。アウダが珍しく大きな声で「俺たちはいいチームなんだ!」と吠えてくれました。
この日スタートで登場したタケさんに導かれ、ビーコルは84-70で快勝!
アウダがFG12/13の25点7リバウンド、カーターが3P4/8の33点8リバウンド6アシスト2スティールと爆発!
これでシーズン通算18勝40敗。Bリーグが始まってからは18-19シーズンと並ぶ最多勝数です。
そしてついにこの時が。。タケさんの引退セレモニーです。
涙は似合わない。タケさんらしくひょうひょうとコートを去っていきます。
ミリングHC、タケさんへの寄せ書き。
しかし、まだ最後の仕事が残っています。シーズン最多勝への夢が。
シーズン最多勝を賭けた最後の試合
05.05、緊急事態宣言の発令に伴い無観客での開催となりますが、観客のいないシートに応援メッセージを掲げてくれるという素敵なイベントをA東京が企画してくれます。実現には大変なパワーが必要だったはず。A東京のみなさんありがとう!
A東京はルカHCが体調不良で来られず、CSへの出場も逃した状態。かたやビーコルはタケさんの最終試合でシーズン最多勝もかかっており、高いモチベーションで臨みます。
ミリングHCもラストゲームでテンション高し。
CSを逃した2チームの試合とは思えない緊迫したつばぜり合いの中、同点で4Qへ。A東京1点リードで残り30秒。森井ちゃんがハンドルミスをして誓哉にボールを奪われそうになりますが、床に倒れこみながら背面ノールックパスでアウダへ。アウダの極上のユーロステップが飛び出し海賊逆転!
残り18秒をなんとか守り切り、ついにBリーグでのクラブ史上最多勝利数19勝を達成します!
アウダがFG10/14の23点、カーターが18点11リバウンド。そして42歳のタケさんは絶妙パスフェイクからのレイアップなどで勝利に貢献。
メッセージボードに囲まれクラブ最多勝とタケさんのラストゲームでの勝利を祝う海賊戦士たち。
これでビーコル10周年の20-21シーズンは終了です。1年を通じて新型コロナウイルスへの対応を迫られ、外国籍選手の入国が遅れ、怪我人も出て、勇輝とキングがやってきて、ミリングHCが去り、タケさんが引退し、シーズン最多勝19勝40敗の初のビリ4脱出で終わりました。
Bリーグ開幕以来ビーコルを応援してきましたが、このシーズンはドラマとワクワクに包まれた宝物のようなシーズンでした。
シーズンスタッツについては過去に書いたものがありますのでよかったらご覧ください。
始まった海賊の物語Bリーグ編の第2章がどういう展開を見せるのか、それは次回にて。
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