「シュタイナー 文学講義」西川隆範

いかに数学は感覚から自由な純粋思考へと高まるのに適しているか、その詳細を示すには、外的な観察が混入しない範例を示唆しなければならない。その典型的な例がノヴァーリスである。数学的な表象のなかに生きることは彼にとって偉大な詩であり、その詩に彼は熱中した。彼は数と量に沈潜するとき、心魂が高められるのを感じた。数学は彼にとって、神の創造・思考内容の表現になった。その思考内容の力は空間のなかにきらめき、そこで結晶する。


いかに人間の心魂が高次世界へと高まるか、それをノヴァーリスは理解した。日常の意識での目覚めた昼の生活は現代人のいとなみの一部分にすぎない、ということをノヴァーリスは見ることができた。そして、心魂が毎夜、外的な昼の知覚にとっては無意識のなか、実際には精神世界のなかに沈潜するのを見ることがノヴァーリスには可能であった。 心魂が毎夜沈潜する彼方の精神世界が高次の現実であること、昼の印象は、太陽と光の印象でさえ、霊的現実の一部分にすぎないことを彼は深く感じ、知ることができた。

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ダビデの詩
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