トマス・クランマーの生涯 はじめに(2)
はじめに(1)からの続き
クランマー自身の寡黙さが、彼の自身の物語をより大きな公的な問題と同一視することへと促している。彼は非常に物静かな人物で、感情を隠すのが常であったと彼を敬愛する執事であった初期の伝記作家ラルフ・モリスは語っている。
「彼はどんな繁栄や逆境でさえも彼の習慣的な状態を変えたりすることができないほど、熱量の高い、否、むしろ自らの感情を抑える人だった。というのも、政治、社会の動揺がこれほど醜悪であったことはなく、また、当時の経済的な豊かさがこれほど愉しく、喜び、受け入れられることはなかった、世の中に対して、彼の表情や食事、睡眠が変化することは大抵なく、彼の最も近くにいて会話する人々は、君主や国内の問題がどうなったかを、彼の表情や徴候によって感知することは滅多に、ほとんどなかったからである。しかし、彼の個人的な特別な友人との間では、世の中の不幸や苦難を嘆き、たくさんの苦い涙を流すこともあった。 (Narratives of the Reformation,pp.244-5.)
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