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デイトレをやるとカイジが読めなくなるという話

投資を始めたのは大学生のときだった。全く興味はなかったのだけど、数学の偏差値が20なのに、大学で経済を学ぶことになってしまったことから投資の世界を知った。

対して興味もなかったのだけど、一応は本を読んだりニュースも見たりしていると、「新・電子立国」というNHKスペシャルのディレクターが、マネー革命という番組をやるというのを見た。

新・電子立国はソフトウェア黎明期のドキュメンタリーでビル・ゲイツ、スティーブ・ウォズニアックなど、重要人物のインタビューもあってなかなか面白かった。

なので「マネー革命」も面白そうだと、見たのだった。

経済の勉強にも参考になると見ていたのだが、最新の金融工学やヘッジファンドを取材していて、これが抜群に面白かった。

ちょうどノーベル経済学賞をブラック・ショールズ式で受賞したショールズが参加したロングタームキャピタルマネージメントなんかにも取材をしている。

LTCMは番組が放送されたときには破綻していたので、貴重なインタビューだ。

こんな感じでアジア通貨危機の直後の熱い内容満載の番組だったのだ。

その中で1番印象に残っている投資家がいる。

ヴィクター・ニーダーホッファーだ。

世界一の投資家と呼ばれていたのだが、アジア通貨危機で一夜にして資産を失ってしまう。

インタビューをしてるときの目がちょっと逝ってしまっていて、最後に投資理論を披露するのだがモーツァルトかベートーヴェンの曲と相場の連動性とかなんとか話し始めてもうヤバいのだ。

それに刺激されてすぐに株の本を買ってきて勉強をした。その当時オンライン証券はほとんどなく大和証券がオンライントレードをやっているくらいだった。

早速、大和証券に行って口座を開いた。窓口のお姉さんが丁寧に手続きしてくれたが、内心大丈夫かと思っていたと思う。

契約書類やらなんやらが仰々しく挟み込まれた茶色の革のファイルを渡されて帰ってきた。

実はジェイコム株で大儲けしたジェイコム男ことBNFはヴィクター・ニーダーホッファーの頭文字である。

2ちゃんねるで見かけて、ヴィクター・ニーダーホッファーみたいな名前のやつおるなと思っていたけど、どうもそれから取ったらしい。

同じ番組を見て同じ時期に株を始めたのに、ずいぶんと人生が違ったものだ。

さて、虎の子の30万円を使って最初に買った株は中外炉工業だった。確か1株200円とかそこらだった気がする。

液晶パネルの関連株で小型株でもあり値上がりが期待できるということで買った。

まぁまぁの成績を上げていたのだけど、投資にかける勉強に比べて利益が少ない。

信用取引もできないので、全然選択肢がない。

次第に短期の取引はしなくなった。手数料ばかりかかるのだ。

その後、また投資を再開するのは社会人になって種金が100万を超えたからだ。

ITバブル前夜でピカツーやらなんやらと、すごかったのだけど見事に儲け損ねた。

唯一乗れたのはライブドアだった。エッジだったころから投資して、何百万か含み益が出ていた。

ライブドアとの出会いは会社に100億儲ける仕事術というホリエモンの著書が無造作に置かれていたのを手に取ったことからだ。

ただで配られて誰も読まないので、捨てられていた。本を捨てるのは見過ごせないたちなので、一応読んでみると面白い。

こいつはすごいぞと思ってすぐさま株を買った。

その後の騒動はみなの知るところである。

含み益は儲けではない。

利確千人力というが、まさにその通り。

確定していなかったライブドア株は紙くずになった。上場廃止になり最後は本物の紙の証券が送られてきた。文字通り紙くずなのだ。本物の株券を見たのはそれが最初で最後だ。

絶賛失われた30年の最中だったので、新卒コースに乗れなかった僕が逆転するのは投資しかないと思っていた。

というか今も思っているけど。

その後も逆転狙いの仕手株に手を出して、あと一回勝てば1000万円というところでは必ず負けた。

SOSEIなんか持っていたら、今ごろ小金持になれていたのだが。

そのあともブレグジットやトランプショック、コインチェックと順調に被弾している。

やっぱり1番キツかったのはFXだ。

株式はみんなで儲けられる可能性があるが、為替はゼロサムゲーム。

必ず誰かが儲かって、誰かが負けるのだ。

日銀砲が放たれた瞬間、勝手にロスカットされてしまったりする。しかも注文もスリップしてとんでもない値で約定したりするので、地獄である。

FXは1日で700万円の損失を出した。1日というか10分くらいでだ。

株もブレグジットで暴落の最中、信用取引の追証が発生して、とにかく現金をかき集めたりした。

持ち堪えさえすれば戻るのは見えているのに、勝手に損切りされるのを防ぐためだ。

数々の暴落を経験してくると、カイジの「溶ける〜」ってやつが身に染みてわかるのだ。

なのであれを読むと、その当時のことがリアルに思い出されて吐き気がするのだ。

しかもカイジはたかだか、1000万円くらいの借金で、命を失ったりする。

1日で700万円万負けたら、即エスポワールと考えると本当に吐きそうになる。

皆様におかれましても、くれぐれもカイジを楽しめないようになってはならないようにお気をつけて下さい。




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