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ディズニーに興味のない僕がディズニー好きの彼女のためにミラコスタを予約した話 おわり

前回までのお話


別れることなく、ついに彼女の誕生日を迎えた。

仕事終わってから、合流することになっていた。僕は午前中仕事だったので、夕方に舞浜で合流すると荷物を預けておくといって、ウェルカムセンターで密かにミラコスタのチェックインを済ませておいた。

荷物もミラコスタに運んでもらえるし、電車のチケットも受け取れる。

この時点ではミラコスタをとっているとは話していない。近くのホテルを取ってあるので、一泊してから明日は朝からディズニーランドへ行こうと言ってあった。

午後6時から使えるアフター6パスポートなので、ガツガツと乗り物を乗るわけではなくまったりと過ごして、ショーの時間にも近いけれど、寒いので建物の中でご飯を食べようと提案をする。

実はミラコスタのレストランでショーを観れる席をプライオリティシーティングで取ってあるのである。

「実は予約してあったんだ」と、ここでひとつ目のサプライズを決める。

ミラコスタ内のレストランで目の前で水上ショーを、12月の寒い中、暖かい室内でご飯を食べながら見るという贅沢。

「すごーい」を彼女は連発して喜んでいた。

そして、さらにここでサプライズを用意していた。水上ショーは強風のためプログラムを変更して少し早く終わってしまったのだが、このタイミングでバッピバースデーを歌いながら、ケーキを持ってきてくれるのだ。

キャストがケーキを持って現れた。ケーキにはローソクが立っている。こちらに向かってハッピバースデーを歌いながら近づいてきた。

と、思ったら、手前のカップルのところにケーキを置いて手を叩いて歌っている。

「あれ?」と、思っていると、奥からケーキを持ったキャストが現れた。

おいおい、びっくりさせるなよと思っていると、また手前のカップルの前で止まり歌い始めた。

その頃には彼女は

「ひょっとして、あれこっちにもくるの?」と、気づいて完全にサプライズではなくなっていた。

「……うん。くる」

「恥ずかしいんですけど……」

もう2組のサプライズを見ている彼女は羨ましいというより、恥ずかしいになっていた。

3組目にやっとこちらにケーキが運ばれてきた。

流石のディズニーでも、いっぺんに持ってくるとか、時間をずらすとかはできなかったようだ。

小っ恥ずかしかったが、キャストはまるで今日初めてのサプライズのように、ノリノリの笑顔で歌ってくれた。

ディナーも済んで、これからが半年をかけた壮大なサプライズの仕上げである。

時刻は午後8時をまわっている。彼女は大分満足したらしく、明日朝からディズニーに行けるのが楽しみでしょうがないので、ホテルへの移動も考えてたら今日は早めに切り上げようと言ってきた。

「ホテルはどこにしたの?」と聞いてきた。

「すぐ近くのとこだよ」と僕はレストランを出るとそのままミラコスタの中にスタスタと入っていく。

そこで初めて彼女にミラコスタの部屋のカードキーを渡す。

「え?え?え?なに?」

彼女は戸惑って、事態が飲み込めていない。

「ここが今日泊まるホテル。ミラコスタだよ」と、僕が言うと。

彼女は「うそー!」と、口元を覆って信じられないといふうに涙ぐんだ。

半年かけたサプライズの甲斐があると言うものだ。

エレベーターは「上へ参りますっ!」とミッキーの声だし、ボタンもミッキーの形だったり、造り込みがすごい。

部屋について、プラン通り手紙が机の上に置いてあった。

「あれ?何か机の上にある」と、僕が促すと彼女は封筒を開いた。

「ミッキーからだ!」

彼女への誕生日を祝うメッセージがめっちゃくちゃ達筆でしたためられていた。

ミッキーは日本語ペラペラたげじゃなくて、達筆でもあるのだ。

「あれ?なんか留守電光ってるよ」

彼女はホテルの電話が赤く点滅しているのに気づいた。

僕もそれには心当たりがないので、なんだろうなと思っていると。

「ミッキーからだ!」留守電を聞いた彼女は驚きの声をあげた。

手紙に飽きたらず、留守電も残すとはミッキーまめすぎるだろう。

ふたりでミラコスタを散策すると、ステンドグラスも作り込まれているし、プールやジムまである。中から園内の人たちを見ていると、特別な雰囲気を味わえた。

朝のバイキングを食べた後は、通常の開園前にそのレストランからそのまま園内に入れるらしい。

どうりで先頭で並んで入園してるのにタワテラとかファストパスとれないわけだ。

シーとランドを行き来できるチケットなので、短縮通路も使えるらしい。

ここに来るまで頑張ったし、そこそこ金を使っただけあってなかなかの充実ぶりなのであった。

彼女は夢の国の中に泊まることができて喜んでいたし、苦労してとったヴェネツィア・サイドの眺めを満喫していた。

閉園してからも、誰もいなくなったパーク内を眺めていた。

「ずっと見てたい」と言っていた割にはすぐに寝てしまったので、布団に寝かしつけてから、僕もパーク内を眺めていた。

うとうとして、ふと気づくともう5時ごろだった。窓の外をみると

「園内を軽トラが走っていた」

ツナギをきたおじさんが降りてきて、運河のどぶさらいを始めた。

めちゃくちゃ現実を見てしまったが、こういう地道な作業をしているんだなあと、感心したのであった。

彼女はこのサプライズが本当に心に残ったようで別れることになったとき、彼女の最後の言葉は

「もうディズニーランド、行けなくなっちゃうの?」

だった……そこ!?


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