鬼滅の刃はなぜヒットしたのか〜時系列分析バズからマスへ
前回までは作品自体の持つヒットのポテンシャルを解説してきた。
今回は運の要素について書こうと思う。
Google トレンドで「鬼滅の刃 - 日本、過去 5 年間」の 人気度の動向 を見る -
当然のことながらアニメが開始された2019年4月6日あたりから一気に注目度が上がっている。
データからもアニメ化がヒットのきっかけになったのは間違いないだろう。アニメ終了の9月28日以降は注目度がわずかに落ちている。
ここでアニメ参戦組がコミックスを買うという現象が起きる。
アニメ参戦組はufotableが制作しているから見る層や、ひいてはfate好き、FGOユーザーとも考えられる。
アニメ開始当初、2019年4月にはコミックスの売上ランキングには15位に鬼滅の刃15巻があるくらいだったのだが、5月には1巻から5巻までが50位以内に上がってきている。そしてアニメ終了の9月には30位以内の半分以上が鬼滅の刃に埋め尽くされているのだ。
8月までに最新刊以外が10位以内に入ったことがないので、9月からは異常な売れゆきだったのだろう。
アニメの神回と呼ばれるヒノカミが8月10日だったので、ここから一気に火がついたのではないかと思われる。
もう、こういうデータが出てきたら、売る方も売り方を変えざるを得ない。ヒットの予感をビシビシと感じていただろう。
10月には最新刊17巻が2位、1巻が9位と明らかに1巻から読み直している層がいる動きを見せている。
そして、10月末でついにコミックス年間累計売上首位を11年間守ってきたワンピースの売上を抜くのである。
もうこうなったらニュースである。
黙っていてもマスコミは取り上げて宣伝してくれるのである。
2020年2月には1位から19位までを1巻から19巻まで独占という快挙を成し遂げる。
これはもう書店やアニメの業界を飛び出して、社会な話題となりワイドショーや報道番組などニュースとして取り上げられ、テレビでしかリーチできない層にもブームとして届いたのである。
そして最も大きな運命の要因であるコロナ禍が訪れるのである。