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放っておいても縮小傾向なのに、何故またそれを加速させるのだろう?

建築業界をめぐる法律改正の影響


 先日建築士の定期講習を受けてきました。
 姉歯さんのやらかしの後、定期的に法律の改正や現在の業界のトレンドやら昨今の流れやらを学習し、建築士の技量や知識を一定レベル以上に保とうという仕組みです。
 丸一日講習を受け、最後に考査もあるという結構手間と集中力を求められる講習会で、まあ確かに資格取ってハイ終わりでは不味いので、面倒ではありますが必要性の高いシステムと思います。

小規模な建物の規制強化と省エネへの取り組みの法制化

 その建築業界の大きな話題というか、来年4月から嫌でもスタートする制度が二つほどありまして……ざっくりまとめてしまうと、一つ目が住宅などの規模の小さな建築の規制の強化で、二つ目が省エネへの対応を本格化させる事です。

 一つ目の方は零細業者には結構な打撃で、対応を迫られるのは荷が重い内容になります。
 お客さんにとってはより安全性が保たれるメリットはありますが、単純に手間暇増えればそれはお客さんにコストアップとして跳ね返ってきます。結構な数の事務所がこれを潮に事務所を畳むとかありそうです。高齢化も進んでいる業界ですしねえ……
 二つ目の方は省エネ関連の申請が、規模の大小に関わらず申請手続きの手間が結構増えると予測しています。SDGsだの京都議定書だのの絡みでCO2排出量を必死こいて(日本だけ)頑張って削減していますが、その一環で建築も一丁協力しようじゃないかというシステムを組み上げ運用するわけです。

言いたい事はわかるけど……

 両方ともより安全性を高めたり、省エネを推進するという趣旨は大いに理解できるのです。しかしお客さんにしてみれば廻りまわってコストアップになるでしょうし、そうなれば購買意欲や投資意欲の減退を招きます。
 そうでなくとも人不足で縮退傾向のこの業界、制度が原因のコストアップに供給不安からくる資材高騰、加えて就労者減少と続けば、見るも無残な負のスパイラルの完成となりかねない状況です。

 偉い人たちは中小を淘汰してより大きな会社へ合併させ、人材や資源の集中による相乗効果云々……という青写真でも描いているのかもしれませんが、たとえ零細業者の整理淘汰がなされても、業界のレベルが上がるとは思えません。
 玉石混交の下地から這い上がって行ったのが今の大手企業な訳です。その芽吹く下地を捨てるという事は、次の成長株を根切にしてしまう事にもなるからです。

よだん

 ところで、建築関連法規って色々改正されすぎて複雑怪奇なパッチワークになっているんですよね。
 色々な法律と関連しあっているから難しいとは思いますが、出来ればゼロから作り直して内容を把握しやすくしてほしいです。

datoko

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