『評価』のどこで躓いているのか。。過程を考えて。。
評価の過程は次の3つの行程に大別できる。
①情報(データを含む)の入手:患者処方。面接。検査・測定。
②分析と考察:問題点の探求。問題の整理。評価の解釈。
③目標設定とプログラム立案:目標の設定。プログラムの立案。
□情報の入手
これは患者の障害を把握する過程であり、医師から理学療法の処方が出されることにより、患者本人からの情報、医師からの情報、他部門からの情報など、患者の持つ全体像に関する情報を入手する過程である。それらの情報の種類は次の5種類に分けることができる。
①基礎情報(患者の個人を証明するもの):氏名。年齢。性別。既婚未婚。現住所。保険の種類。疾患名。入院年月日。主治医。病棟。病室。など
②医学情報(疾病に関するもの):病歴。既往歴。処置事項。検査結果。理学的所見。リハビリテーション・プログラム。禁忌事項。注意事項。など
③身体機能情報(身体機能を主とした理学療法に関するもの):検査。測定(知的面も含む)。観察事項。理学療法の既往歴。主訴。入院目的。患者のニード。主治医による設定ゴール。など
④環境情報(生活、家族に関するもの):生活歴(本人、家族)。パーソナリティ。趣味。家族構成。家屋構造。家屋周辺の環境。家族のニード。経済面。など
⑤職業情報(職業に関するもの):職歴。職務内容。職場環境。通勤方法。会社側のニード。など
□分析と考察
患者についての5種類の情報が得られたら、その情報を分析して障害の回復への方策を検討する。すなわち、患者の全体像に関する情報が得られると、その中から理学療法上の問題点を探し出す(問題点の探求)。その基準は正常者の標準値や正常な動作、反応などによる。
次に、その問題点を整理し、1つ1つを回復に役立つか否かの立場から検討して価値づけを行う。これを評価の解釈という。
分析と考察は患者を全人間的にとらえ、患者の持つ残存能力、回復能力、改善度を中心にして検討する。
□目標設定と治療プログラムの立案
○目標設定
目標設定(goal setting)は問題点の探求と整理を行い、評価の解釈ができると問題点を総合して患者が持っている回復に有利な条件(残存能力)と回復を阻害する因子(回復阻害因子)を相殺して、どれだけ正常な状態に回復するかの限界を予測することである。
一般に目標設定は発病直後においてむずかしく、後ほど容易になる。したがって、初期においては当面の目標(短期目標ーshort goal)を立て、その後の治療過程の中で最終目標(長期目標ーlong goal)を設定するのがよい。
○治療プログラム
治療プログラムは目標が設定され、2次的に起こりうる障害まで可能なかぎり予測して、その予防対策を含めて、目標に到達するまでの治療計画を立案する。治療経過は具体的に治療種目、訓練主義を示し、それに従って実際の治療が行われる。
引用文献
松澤正(2001).理学療法評価学 金原出版株式会社
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