柄にもなく 洒落た言葉使って ありきたりの時候の挨拶から そんな手紙を書くことは とても照れくさいもの ましてや 手紙の最後に P.S. I love you などとは はなはだ赤面もの それに 夜更けて綴る手紙など 人目を気にせず書けるものだから 独りよがりになったりして あなたの機嫌を損ねるかも その上 私の字はへたくそで Poor letter writerなのである これがあなたへ手紙を出さない理由なのです
このやるせない思いの中で 一体何を語ろうか 退屈しのぎの空想さえ 少しの気休めを与えてくれないのに どうして楽しいなどと言えるのか 本当は走り去ってしまいたいほどの 不安と後悔に取りつかれているのに どうして幸せなどと言えるのか こんなにあなたは近くにいるのに あなたのこころは一番遠くにいる このやるせない思いの中で 一体何を語ろうか
もうあなたに何を言っても 私の心が揺らぐだけ あなたは何処か私の知らない世界に旅立っていく 私にはどうすることもできないのに 胸の想いだけ燃え上っていく It's very sad that you are lovely ひとことあなたに It's very sad that you are so lovely お別れが言いたかったのです あなたはいつもの優しい笑顔で まるで何もなかったよう ほとばしる感情は出口を求めて 私の身体をさまよい巡る せめてあなたの微笑ひとつ
なぜ君はあの日僕を見つめたの いつもは少しも見向きもしないのに なぜ君はあの日僕を見つめたの 僕の君への想いに気づいているの? いっときの気まぐれなんだろう 君の瞳に僕の姿は映っていない だけど君の瞳を一瞬でも見ることができない 意気地がない僕なのです なぜ君はあの夜僕を見つめたの いつもは少しも見向きはしないのに なぜ君はあの夜僕を見つめたの 僕の君への想いを煽り立てるように 偶然の悪戯だろう 君の仕草に愛の気配は感じない だけどいつも君の横顔を
風がゆれて 心もゆれて 気持ち良さそう 子供と遊んで ブランコして 気持ち良さそう 木立も芝生も蒲公英も しとしと雨が降りだせば 心と一緒に流れていきます 風がゆれて 心もゆれて 気持ち良さそう 町を歩いて 晴れ間を見つけ 気持ち良さそう 仔犬もポストも自転車も しとしと雨が降りだせば 涙と一緒に流れていきます 風がゆれて 心もゆれて 気持ち良さそう カフェオレ飲んで ポップス聞いて 気持ち良さそう 時計もソファも思い出も しとしと雨が降
胸の薄もやが 晴れないで イメージばかりが空回る 今夜はとても眠られぬ夜 憂鬱な朝を待つばかり 淡い三日月が差し込んで 瞼の奥まで照らし出す 今夜はひどく淋しい夜 冷たい夢を見るだろう ふと 夕暮れに出会った出来事 今も目の前は暗く 静まっている ただ目の奥だけは 燃え上っている 今夜は 日記も付けぬ夜 書き続けた僕の詩を 独りぼっちで読み返す 今夜も明日も繰り返しの日々 希望の鐘も聞こえない 心苦しい後悔を いまさら放り出せるなら 今夜は少しいたたまれぬ夜 あなたの写真
瞳のなかに 透き通った水晶のような眩しさと 地中海の水の碧さが映ったので 私はその少女に心惹かれた 少女の無邪気な仕草も 時折みせるやるせない横顔も 私の想いを膨らませるのには十分すぎた 哀しみに追いすがる時の間は 雑踏の中にときめきの夢を残していく 私の心の憧憬は その少女の微笑のなかに 確かにあったのだ
「ひとりぼっちなんて さして嫌じゃないわ」 お前はそう言って タバコに火を点けた たいして吸えもしないのに いつものお前の強がりさ ガラス細工のお前の身体を 俺は無性に抱きしめたいのさ 「あなたなんて 薄い水割りと同じね」 また お前の強がりが微笑う 「愛し合うなんて たいして意味はないわ」 お前は吸いかけのタバコの火を消した いつでも誰かといたいのに いつものお前の強がりさ ため息こぼしたお前の瞳が 俺はやっぱり愛おしいのさ 「あなたとずっと離れて暮らしても 平気
何の前触れもなく 唐突に彼女の夢をみた 彼女は小学校1年生の時の同級生で ただの遊び仲間だった女の子 時々一緒に遊んだだけのただの同級生 ちょうど一年ほど前に転校し それからは一度も会っていない彼女の夢をみた こんなことはじめてだった 何か変に居心地の悪い気持ちで 夏休み明けに久しぶりに登校した教室には 転校した彼女がいた たまたまこちらに戻ってきたので 挨拶に来たらしい また転校して戻ってきたのかと思ったが そうではなかった それが僕のはつこい
故郷の雪は冷たいけれど 少年の町は遠いけれど 少女には不思議とわかるのです あの雪が微笑ってくれれば もうすぐ春だと 一人の夜は淋しいけれど 窓の外では雪が舞うけど 少女にはなぜかわかるのです あの雪が涙を流せば もうすぐ朝だと
ほんのわずかな瞬間だろう お前の幻から 解き放たれた気がした それは お前のお気に入りだった 白い砂浜での出来事だった さざ波は気まぐれ お前と同じぐらい気まぐれ 打ち寄せるたびに いつも違った顔をしている お前の思い出ばかりの白い砂浜のどこかで 海鳥が淋しく泣いた ほんの一瞬の錯覚だろう お前の重さから 釈放された気がした ほんの一瞬の錯覚だろう
悲しい… 凍るほど悲しい 悲しい… 体の底まで悲しい だけど 心のどこかで まだ 少し安らぐ そんな気がする 海を見ては 夢を見ていたあのころ あの人の眼差しは とても優しかった 私の頬を濡らすのは 雨垂れか それとも 後悔か でも それは どうでもいいこと 星を見上げては 大きな声で唄っていたあのころ あの人の頬はとても暖かった あの人の瞳に映っているのは 少女の憧れか憂いか しかし それは 私のためではなかった
あざやかな陽の光が 今朝はやけに心に沁みる 頬をかすめていく朝の風も いつもと違ってはずんでいる こんな日は 遠く離れたあなたに会いたい 凛とした空気の中で ペリエの泡が心地いい かけっぱなしのクラッシックも 小鳥のように弾んでいる こんな日は あなたに愛を語りたい 昨夜みた夢のシーンが ところどころフラッシュバックする 一人きりの淋しさも こういう日にはいいもんだ こんな日は 何よりも あなただけ
そっと 目を閉じて そう そっと目を閉じて しばらく お喋りを止めてごらん どこからか 風の音が聞こえてこないか そう あの時 君と彷徨った 遠い昔の海風さ
その瞳は遠く哀しげで その指は少しぎこちなく その口元からは 途切れた呟きが... だけど微笑っている