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0歳育児はそんなに大変じゃない。
以下、全てにおいて0歳7週の1児のみ扶養する新米パパの戯言であることを念頭に置かれたい。
先日、岸田首相が「産休・育休中のリスキリング促進」という施策を打ち出したが、Twitterでは非難轟轟である。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6a8002cf6e47f2a86464bf9c074221be94d3c9d9
誰も庇う者がいない。
育児がどんなに尊い大事業であるかを父親として主張すれば、「そんなに育児にコミットするなんて、なんて素晴らしい父親なんだ!」という賛辞のあろうことは想像に難くない。
育児は大変だと言って置くに限る。実際大変な育児をされている方も多くいらっしゃるのだろうから、そういう方々の反感も買わずに済む。敢えて庇うメリットが無い。
実際、育児は忙しい点はあるし、命を抱える責任もある。
しかし大変さを過剰に主張するあまり、もはや実態を遥かに超え育児が通常の人間には全くなし得ないことであるかのように言う人が余りに多く、単純にポジショントークが過ぎると感じている。
政府の施策の不備を叩いていれば自分が非難されることは無いが、これから子育てを考えている若い夫婦にとって子育てを躊躇させ無用に怖がらせる悪質さもあると思っているので、「育児ってそんなに大変じゃないよ」、「育児やってみるもんだよ」という話をしたい。
Twitterで散見される意見については、この記事がとても良くまとまっていたので参考にさせて頂いた(勝手に引用し申し訳ありません)。
https://note.com/shinshinohara/n/na9188fe1a415
授乳期の赤ちゃんは3時間ごとの授乳が必要。このため、母親は極端な睡眠欠乏に陥る。「3時間ごとなら2時間は眠れるだろ」と知らない人は言うことがあるが、とんでもない。赤ちゃんの個性にもよるのだが、ほとんど眠れないことが少なくない。
「いつ寝るんだ!」という状態。拷問で最も耐え難いのが睡眠を奪うことだという。ねむらせてもらえない拷問に耐えられる者はおらず、やってない犯罪も自分でやったと自白するから「眠らせてくれ」となるという。授乳期の睡眠欠乏はこの状態に陥りやすい。母親一人でできることではない。
赤ちゃんが3時間ごとにミルクを要求してくるのは本当だ。
うちの子について言えば2時間おきだし、ご機嫌によっては1時間おきに空腹を主張してくることもある。
しかしだからといって細切れにしか寝れないというのはウソである。
うちについて言えば、パパ(私)が21~翌3時、ママ(妻)が朝3時~9時と睡眠時間をシフト制にすることで、6時間のまとまった睡眠時間を確保している。
片方が寝ている間はワンオペだが、別に完全母乳にこだわらなければパパのワンオペで何ら問題は生じない。因みに妻も私も粉ミルクメインで育っているが、肉体的に顕著な健康問題は抱えていないので、完全母乳にこだわる意味はないし、特別なこだわりがあるのならばそれなりに払う代償があるのは当然だろう。
ママに関して言えば、産後のホルモンバランスの乱れがあるので睡眠が浅くなることはある(妻もそうだ)。それも考慮して実際には8~9時間は妻が床に就く時間を確保している。
少なくとも育休中のパパが睡眠不足になるということは「ない」。ママもホルモンバランスが安定している方であれば問題ない(こちらは少数派かもしれないが)。
授乳後、なかなかゲップが出ない。ゲップをさせないとミルクが逆流し窒息死する恐れがあるので必ずゲップさせる必要がある。これがなかなか出なかったりする。三十分背中をトントンしても出ない。寝かすとミルクを吐いて窒息させる恐れがあるから抱き続けなければならない。
ゲップをさせなければいけないというのは本当である。しかし抱き続けなければいけないというのはウソだ。
どんなに頑張っても満足にゲップをさせられないことは勿論、普通にある。
そういうときは抱かなくても、布団で一緒に横に寝てさすってやればいい。窒息させることを防止すればいいだけなので、仰向けにせずパパかママが横で見守っていれば事足りる。
当然、一緒に横になっている間はスマホをいじっていればいい。
テキストを読んでリスキリングしたって良いだろう。今ではスマホ向けの資格アプリが充実しているので、片手でだっていくらでも隙間時間を有効に活用することは出来る。
首が座っていないから、抱き方もぞんざいにはできない。だから非常に腕が疲れる。お腹が膨れるとウンチやおしっこする事が多い。残念なことにウンチが大量でおむつからはみ出るハプニングがしょっちゅう。
「休暇」という名称をやめて、「産後出向」「育児出向」と呼ぶように推奨したい。
別に大したことではない。
最初は勿論ドキドキするが、何事も慣れである。介護の仕事をしている方や保育の現場にいる方を想像してみれば良い。
あちらは他人であるが、我が子の糞尿など出向=仕事でも何でもない。アクティビティくらいの呼び方で丁度良いくらいだ。
我が家は色んな事情で実家等に家事を頼むことができず、夫婦の完全なツーオペで回している。しかし週に何日か妻が数時間息抜きに外出することくらい平気で出来る。
いわんや実家を頼れる夫婦なら、夫婦で一緒に遊びに行くことだって余裕しゃくしゃくに等しいだろう。
なお昼夜の2食はパパが担当している。沐浴(赤ちゃんの入浴)自体はパパが担当し、沐浴後の乾燥と保湿はママの担当だ。ミルクとおむつは気付いた方。
因みに私は1年、職場から育休をとっている。
「パパの育休がとれない」という方もおられるが、私もサクッととったわけではなく、職場と幾度となく戦って勝ち取っている。勿論育休をとらない同僚と比べれば出世は遅れることになる。
育休中の1年間、給料(給付金)は半年間67%、残り半年が50%になる。税金面を考慮すると、手取換算で通年で7割くらいの給与になる。
失うことになる3割を補填する蓄えも無いのか、家計で見直す部分は無いのか、検討の余地はある。
無いなら仕方ないだろう。しかしその余裕があるのなら、二度と還ってこない我が子の0歳時期という貴重な時間を妻子と一緒に過ごす為、職場と争ったり多少の金銭を失ったりすることに一体何の躊躇があろうか。
もちろん私たちが健康な夫婦で、我が子も健康であるという前提はある。勿論、体力があるに越したことは無い。だから生むなら若い方が良い。だけどミドサーのツーオペなら余裕だ。
ワンオペは想像できないくらい大変だと思う。夫婦のどちらかが病弱であることもあるだろう。
しかし「健康な夫婦と子供も健康なのに大変」ということは、無い。余裕だ。つまり「バッファ」は用意されているから、心配なんかする必要は全然ない。
職場にどんな嫌な同僚がいたって、それはそれとしてホウレンソウを欠かさないのが社会人として当然の振る舞いだろう。
夫婦で感情的にならず二人で話し合い、不公平感のない家事分担とタイムスケジュールの共有が出来ていればツーオペの育児は仕事なんかの何倍も楽だ。それをしないということは、少なくとも「家族だから」という甘えがある。勿論ある程度甘え合うのは大事なことだと思うが、閾値を超えた甘えだ。
リスキリングだって出来る。
前述のように、ママについてはホルモンバランス的な問題があるが、そこが無いママであれば出来るだろう。パパに関していえば「やるか、やらないか」であり、物理的には当然できる。
つまり今回の政府の方針は、パパが育休をとる大きな誘因になる。
しかしこのパパには出来てママには出来ない者がいるという性的な格差、そして育休をとったのにリスキリングを達成できた者とできない者の能力的な格差、子をなさず働いているのに子をなして働いていない方がキャリアアップしうるという格差、或いは対話できるパートナーを得ているかそうでないかの格差、そういうものを浮き彫りにする。
実は育休中のリスキリングは、パワーカップルの間では結構前からスタンダードになりつつあったことだ。だが、それが可視化されると、自分の持たざる者を突き付けられるように感じる。
しかしそれは感情的な話だ。
一歳月齢の保育所の問題だとか、まあ普通にお金がないこととか、そりゃ、政府にはもっとやって欲しいことは沢山ある。しかし救われる人がいること、そしてやれる施策から手を付けることに異論はない。少なくとも吹き上がるほどのこととは思わない。
私が言いたいことは、特定の誰かに逐一反論することじゃない。ただ、若い夫婦には怖がらないで欲しいということだ。「やってみれば全然できる」ことを言いたい。
私たちの親はそんなに偉大な人間だっただろうか? 世の中にはとんでもない親が沢山いるのに、大人はこんなに沢山いるじゃないか。それは育児なんて誰にだって出来るということだ。だから話だけ聞いて過剰に怖がる必要なんてない。みんな大袈裟に言っているだけだ。
うちが完璧な育児なんて出来ているとは思わないが、そんなものは存在しないのだと思って出来ることを淡々とやっていけば良いだけだ。
私はずっと人生にも絶望して生きてきた。自分の人生はどん詰まりで、自分には社会を渡り歩いていく能力だって無い。だからもう、自分の為にしてやれることは何一つないと思っていた(今も思っている)。
しかし我が子を手に抱いた日、これは、「希望」が結晶化したのだと思った。
曖昧でぼんやりしていて、あるかないかも判然としない将来への希望という概念が、物理的に触ることの出来る形で目の前に現れ、厳然として「そこにある」ということを発見した。
そうして私の身体に新しく搭載されたパパエンジンは、何処へ向かえばいいか判らなかった人生を知らない場所へと連れてってくれるらしい。
育児はそんなに大変じゃないし、何より楽しいよ。そりゃもう、楽しみですよ。
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