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データを使って仮説を作る (データをマーケティングに活用する Part2)

目次

このシリーズは連載形式になっています。各回の目次はこちら。

データをマーケティングに活用する4つの方法 
 データを使って仮説を作る [今回] 
 続・データを使って仮説を作
④ データを使って施策を実行する
 データを使って効果を測定する
 データを使ってマーケティングを自動化する
・[関連記事] データ分析は、課題を見つけるものか、解決するものか

前回に続いて「データをマーケティングに活用する」とは具体的にどういうことかを解説していきます。

前回の記事では、「マーケティング目的でのデータ活用」は以下の4つに分類され、データで○○ができますと言われたときには、以下のどれに当たるのかということを考えみましょうという内容を書きました(前回の記事はこちら)。今回は、最初の「データを使って仮説を作る」部分です。

1. データを使って仮説を作る [今回]
2. データを使って施策を実行する
3. データを使って効果を測定する
4. データを使って上記を自動化する

データを使って作る「仮説」とは

ここでいう仮説とは、もう少し言うとマーケティング戦略の仮説です。マーケティングにおける戦略には色々な整理の仕方がありますが、シンプルに言うと、WHO(ターゲット)、WHAT(メッセージ)、HOW(クリエイティブ・メディア)を「選ぶ」ということです。

会社の持つ資源(広告宣伝費、R&Dリソース、生産リソースetc)は有限なので、全ての人にそれぞれ合ったブランドや商品ラインアップを作る、商品の特徴を20個全て広告やカタログに入れる、かっこいい広告と面白い広告をオンライン・オフラインで無尽蔵に投資する、ということはできません。

会社によって程度は違いますが、いずれにしても「選ぶ」ことが必要で、この選び方が売上や投資対効果といった結果を大きく左右します。

例) 顧客を「選ぶ」場合

例えば顧客を「選ぶ」場合には、顧客のセグメンテーションを考える必要があります。顧客をニーズごとに寄せ集め、似通ったニーズを持っている顧客を集めることでセグメンテーションを作成しますが、この時には定性調査による顧客インタビューで顧客を深く理解するという手法が有効なことが多いです。

経験則ですが、どのような商品でも、10人程度にインタビューをすると似たような顧客のニーズが複数抽出できることが多いです。インタビューを重ね、抽出された顧客ニーズからセグメンテーションを作成し、最終的には定量的に確認をするために、数百サンプル程度でアンケート調査を行うことが多いです。

合わせて、顧客を「選ぶ」際に近年活用の幅が増えているのは「顧客の行動データを収集して、特定の行動が見込まれる顧客をリストアップする」というものです。

例えばカード会社の例を考えてみましょう。自社の顧客データから、どのような顧客がどのような加盟店で、いつ、いくらの決済をしたかを把握することができます。

ここに、過去にどのような顧客が解約をしたのか、あるいは上級会員へアップグレードしたのかというデータを組み合わせることで、顧客1人1人の解約する確率や、アップグレードの確率を予測することが可能です。これにより、「限られた予算の中から、誰を優遇するのか」あるいは「誰にダイレクトメールを送るのか」といった資源配分が可能になります。

また、顧客へのアンケートデータを組み合わせることにより、年収や子供の有無を予測するケースもあります。ただし、こうした取り組みは「自社の顧客データを大量に有している」場合に限られることに注意する必要があります。

ちなみに、これはマーケティングファネルにおいて、既存顧客のロイヤル化・離脱防止のフェーズのケースで、新規ユーザーの獲得のケースもあります。その場合には、行動データによってロイヤル顧客になりうる候補のプロファイルの仮説を作り、定性インタビュー・定量調査等を使ってターゲットおよびその人達に響くメッセージの検証を行ったりもします。詳しくはまた別の機会に。

これらのアプローチを通じて、マーケティングの「戦略仮説」ができます。あくまで仮説とつけているのは、実行して結果がでるまでは、精度の差こそあれ仮説だからです。しかしこれによって、経営者や担当者の勘や経験(勘や経験もとても大事なのですが)だけでなく、データを使った仮説が作れるようになります。

データを使った仮説づくりが必要な場合

うまく行っているときは、勘や経験が「当たっている」状態なので、無理にデータを使う必要はないかもしれません。一方、データを使った仮説づくりが必要になるときには、以下のようなケースがあるでしょう。

・これまで成長をしてきた事業が成長が鈍化しているが、原因がわからない
・関係者の中で、WHO(ターゲット)、WHAT(メッセージ)、HOW(クリエイティブ・メディア)に関して理解が一致していない(*これ、非常に多いです。ターゲット像の絵や、商品のコンセプトをメンバーで書いてみるとわかります)
・メンバー内で議論をしても、各自の意見を言い合うのみで、水掛け論で結論に至らない
・上記のような状況に加えて、良質かつ大量な顧客データが手つかずで眠ったままになっている(*自社データの保有有無に限らず、上記のような場合は何らかのアクションが必要です。ただし、データを保有しているのであればそれらを活用したほうが良いです)

こういったときには、一度データを使って仮説を作るというアプローチを取ってみるのがよいのではないでしょうか。

次回も、「データをマーケティングに活用する」シリーズで掲載を続けていきます。

次の記事へは以下のリンクからどうぞ!

データをマーケティングに活用する4つの方法
 データを使って仮説を作る
 続・データを使って仮説を作る [次はこちら] 
④ データを使って施策を実行する
 データを使って効果を測定する
 データを使ってマーケティングを自動化する
・[関連記事] データ分析は、課題を見つけるものか、解決するものか




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