どうすれば渋谷は茨城に勝てるのか?〜HCルカという『博打』は当たるのか〜
第8節GAME1、茨城に敗戦を喫した我らが渋谷。
GAME2勝利のためのポイントを綴るとともに、目の前の試合だけではなく、シーズン通しての大きな目線で見たときの渋谷バスケの強みと弱みを改めて紐解きます。
キーワードは「ストロングスタイル」「博打」です。
ちなみに、以下の2本の記事を読んでいただくとスムーズに話が入ってくると思います。
GAME2勝つためのポイント①ハードショーへの対応
ルカバスケに対応する形で、ハードショーからの3人目のスティールという形を量産されました。
これに対応するにはいくつかの選択肢がありますが、今回は3つの選択肢をご紹介します。
(1)スピリット
ハンドラーの動きが重要となるプレイです。
Bリーグの動画で使える素材が見当たらなかったので、NBAの動画でご紹介。
上のように、ショーディフェンスを仕掛けたビッグマンのディフェンスと自分のマークマンの間を割る(sprit)アタック方法です。
(2)コーナーの選手のカッティング
渋谷は基本的に、トップ付近でピックが発生するとコーナーに選手を配置しますが、この選手が動きません。
このプレイを見ても、右コーナーの船生を捨てて平尾はスティールに走ってますが、船生はコーナーから動いていません。何かしらのアクションを起こせば確実にフリーになれます。
例えば、ゴール方向またはハイポストへのカッティングです。
ちょうど昨日の試合で長野がしてました。
押し込もうとするガードナーを警戒して、コー・フィリッピンがかなりガードナーに目線を向けています。
そこで目線が切れたタイミングで手前のコーナーにいた長野がゴール方向にカッティング→フリーでのレイアップ、となりました。
ここで、三河Twitterでは「繊細かつ広い視野」とありますが、実はこれはすごいのはガードナーではなくて長野です。ここでカッティングが選択できるのが素晴らしい。
(3)すぐに次のプレイに移行する
実は、このプレイではハードショーをしてきていません。
「ウィングでウィークサイド(エンドライン沿い)にスクリーンがかかった場合はハードショーしない」という約束があるのかもしれませんが、
その後、ベンドラメは逆サイドに捌いています。
そして、その後クレモンズとジョーンズのツーメンゲームからクレモンズのスリーです。
おそらく、ここはディフェンスがアバウトになりました。
茨城のハードショーが成功していたのは基本的に「エントリーからピックを利用する」という極めてシンプルなシーンだけでした。
このように複数の段階を踏めば、茨城のディフェンスも混乱してハードショーに行けないため、攻め切ることができる可能性があります。
(4)1on1をする
実はこれが一番勝ち筋があると踏んでます。ルカは多分やりませんが。
能力だけを見ると、渋谷の選手は茨城の選手よりも高いです。
実際、1on1を仕掛けたシーンでは渋谷の選手が勝ってます。
4Q終盤、ベンドラメがそこからファウルドローするシーンがあったり、クレモンズはターンオーバーを犯しまくった一方で、鶴巻のことは抜きまくり、ステップバックスリーも鶴巻は全くストップできていませんでした。
普通に1on1をすれば勝てる場面でも、あえてスクリーンを呼ぶ場面が目立ちます。
これはチームの戦術として、でしょうが、時には戦術として1on1を選ぶことも必要です。
バスケというのは5人スポーツ。1人をかわせばオフェンスが圧倒的優位です。
まずはそこを狙って欲しい…。
GAME2勝つためのポイント②ミスマッチアタックへの対応
スクリーンから簡単にスイッチし、そこから生じたミスマッチを攻められてタプスコットに31得点を許したGAME1
そこからどう改善する必要があるのでしょうか?
一般論として、いくつかの選択肢があります
(1)スイッチしてガードが頑張る
押し込まれていたGAME1
ただ、ガードがある程度止めれれば、ディフェンスが成功したのは事実です。
「今日は絶対やられない」という意思が意外にも奏功することがあるのがバスケの面白いところ。ないとは言い切れません。
(2)スイッチしてダブルチームやカバーで守る
この選択肢もあります。実際、GAME1ではできているシーンもありました。実際に見ていきましょう。
一方で、できていないシーンもあります。
こう見ると、チームとしての約束事というよりもベンドラメ個人の判断+それにアドリブで合わせた周りの選手たち、となります。
このダブルチームからのローテーションをチームとして徹底できれば強いです。
(3)スイッチしないようにスライド
スイッチしないために、スクリーンの下をくぐるディフェンス方法です。
ただ、これだと確かにスイッチせずに済むのですが、基本的にはうまく行きません。
なぜなら、ガードの選手をフリーにして、スリーを沈められるからです。
わかりやすいので以下の動画をご覧ください。クレモンズがスライドでついていって、長谷川にスリーを決められました。
(4)ファイトオーバー✖︎ショーディフェンス
これが一番現実的です。
つまり、スクリーンとボールマンの間に自分の体を入れて、ボールマンを追うディフェンスになりますが、ほぼ茨城がしているディフェンスと同じになります。
ハードショー(猛烈にプレッシャーをかける)をするか否かは微妙ですが、Bリーグのチームは普通これを使います。
昨日も、実際、ベンドラメがこれをしてオフェンスファウルを誘発していました。
怖いのは茨城の柔軟性
ただし、これらが通じるのは「茨城が同じ作戦できた」場合です。
茨城は、この試合でも途中からハードショーディフェンスを見せ、スイッチディフェンスへのミスマッチアタックを増やすなど、試合の中で対応を変える柔軟性があります。素晴らしい。
また、レビュー記事で紹介した通り、平尾・鶴巻あたりは相手のプレーを見て最適なプレーを選択できるタイプの選手です。
「これをする」と決め切っていると、渋谷はまた別の作戦にハマる可能性があります。
渋谷は「超ストロングスタイル」
これが渋谷の強さであり、怖さです。
つまり、自分たちのゲームプランを最後まで実行しようとします。途中で変えません。自分たちのストロングポイントを強調するスタイル。
この日も、最後までハードショーにやられ続け、時間がなくなってようやく1on1からのスリーやドライブを仕掛けるようになりました。また、最後までスイッチしてタプスコットにやられましたね。
この試合では悪い方向に出ましたが、ぶれないというのは強さにもつながります。実際それで勝利を手にしている試合の方が多いわけで。
一方で、それだけでは勝ち続けられません。上位との対決がないのに、CSギリギリのラインにいるのはそういうことです。
渋谷はルカが基本的に自分の戦術にこだわるタイプかつプレイヤーにもそこまで柔軟にプレーを変える選手はいません(田中は割とやるのですが今シーズンまで調子があがってないですね)。
なので、うまくいかないと「それでもなんとかしてくれる選手」への依存が高まります。
実際に、プレイタイムと得点を見てみると見事にスターターに偏っています。
なんと、ベンチポイントは2点。
一方、茨城はもちろん偏りはありますが、10分以上でたベンチメンバーが3人おり、何よりベンチメンバーのポイントが20点あります。
ルカは一種の博打
ルカはBリーグを2連覇した名将ですが、
このときの渋谷は
PG:安藤誓哉(代表)
SG:田中大貴(代表)
SF:菊池祥平
PF:竹内譲次(代表)
C :アレックス・カーク
ベンチ:小島・馬場(代表)・ウィアムス
とスーパーなメンツでした。斎藤拓実が試合に出れてなかったです。
日本代表も「アルバルク4人+八村が一番強いんじゃね?」と言われてましたね。
ただ、これは「すごい選手だから強かった」という見方もできますが、「この選手の能力が重要な戦術だったから選手がすごくなった」という見方もできます。実際に、その要素は大きいのは間違いありません。齋藤も、実際、アルバルクから出て大活躍したわけで。
一方で、2連覇し、コロナ中断シーズンも1位を直走りながら、次のシーズンはまさかの東地区6位と大低迷しました。
確か、田中の怪我などがあったと記憶していますが、そういうことです。選手の質が落ちるとチーム力がガクッと下がります。
選手たちがステップアップできるか
となると、賭けに勝つかどうかは、選手たち次第です。当時のアルバルクレベルの選手までステップアップできるか。
素質は十分な選手たちが揃っているため、まずはこの第8節GAME2。
どんな戦術で来るかはわかりませんが、選手たちのステップアップを楽しみにしたいと思います。