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国産ジーンズを育てる-第2章『臭い(オイニー)に耐えて履きこむ』

ジーンズをほど良く色落ちさせる『育成』には、極力洗濯回数を減らしてひたすら履き込むのがセオリーとなっている。

言わずと知れたジーンズ界の王様“リーバイス”を復活させた現在のCEO チップ・バーグ氏も洗濯を推奨していない。

私は現在、「フラットヘッド 3009 (リジット)」「フルカウント 1110 (ワンウォッシュ)」という国産のヴィンテージレプリカ2本を育成しているところだ。

そんな育成生活もスタートからちょうど5ヶ月、前回の洗濯からは約4ヶ月半が経過した。その間、季節は冬から春になり、梅雨を超え、灼熱の夏へと移り変わる。

ジーンズ育成【夏の陣】梅雨という難敵

今年、2019年の梅雨は長かった。。

前年より1ヶ月も遅く7月末まで延び、そして我が家の湿気は最高潮に達した。

気温の上昇、そして湿気はジーンズの大敵だ。

厚手のデニム生地は丈夫ではあるが、汗ばむと肌に張り付き、湿気を含むと重くなり、通気性はお世辞にも良いとは言え無い。そして何と言っても気になるのはオイニー(臭い)だろう。

湿気を多く含んだ空気はオイニーと共にジーンズに深く染み入る。一度オイニーが染み込んだからにはそれを消し去ることは困難を極める。

これらに対抗するには、燦々と輝く太陽、紫外線がもたらしてくれる殺菌効果という恩恵を受けるしかない。

それには「天日干し」が必要だ。

こんなに梅雨が長ければ天日干しが出来ないじゃ無いか!

ではどうする?

と言っても、どうする事も出来ない。太陽を待つしかない。汗ばみ、ねっとり両脚に絡みつくデニム、その独特のオイニーに耐え、梅雨が過ぎ去るのを待つしかないのだ。周りの人達の鼻なんて気にしてられない。

私の場合は2本同時に育成をしていたので、なんとかそのオイニー被害は分散されていたことになる。それでも1本あたり50〜60回着用し続けたのだからそれなりのオイニーだったことは言うまでも無い。

4ヶ月半ぶり!ジーンズを洗濯する喜び

そして、ようやく梅雨が明けた!

といっても、すぐに洗濯が出来る訳ではない。浸け洗いでジーンズを洗濯できるには2つの条件が必要だ。

・天気予報で翌日の晴れがほぼ確定していること
・1日付きっきりでケアするため1日オフであること

そして、梅雨明けから約2週間後の8月10日にその条件が揃った。さらに嫁と息子も帰省中で一日中ジーンズと供に過ごせるという最高の条件だ。

この2本のジーンズの育成開始からちょうど5ヶ月が経過した日だった。

洗濯は前回同様、デニム専用洗剤に一晩浸した後に揉み洗いし、じっくり天日干しをするという方法だ。詳しくはこちらの記事を見ていただきたい。

今回の天日干しはマンションのベランダではなく、ジーンズ全体に満遍なく太陽の光を浴びせるため、中庭にレジャーシートを敷いて行なってみた。

この4ヶ月半、私の汗と梅雨の湿気に耐えてくれたジーンズ達へのせめてものご褒美といったところだ。

フラットヘッド 3009 (リジット)

フルカウント 1110 (ワンウォッシュ)

太陽がこれでもか!というくらい照りつける夏の暑い日だ、表と裏をそれぞれ2時間程(計4時間)太陽に当てれば、もうカラッカラのフワッフワだ。

ジーンズ達もどことなく嬉しそうに見える。本当によく頑張ってくれた。ありがとう!

ジーンズの色落ち具合をチェック

ではこの5ヶ月の間、それぞれ50〜60回履いた色落ち具合を見ていこう。色落ちの種類と用語については、第1回目の記事に紹介しているので、こちらを確認して欲しい。

フラットヘッド 3009 (リジット)

こちらは15年ほど前に購入し、今年の育成開始まで洗濯1回、数回程度しか履いてなかったものでほぼ色落ち無しの状態から育成を初めているものだ。5ヶ月でどうなっただろうか。

ヒゲ

フロントフライ周辺が色落ちし、うっすらヒゲが確認出来るようになっている。ちょうど股の境目あたりの色落ちも始まっているようだ。

縦落ち

太ももから膝にかけてはて落ちが確認できている。アタリの部分も色落ちが始まってきている状況だ。

フルカウント 1110 (ワンウォッシュ)

こちらは今年の3月に購入したヴィンテージレプリカのワンウォッシュのものだ。フルカウントの初回ロットのONEがパッチに刻印されている。

ヒゲ

履きジワが付いてきているが、ヒゲと認識できるものはまだ付いていないようだ。

縦落ち

アタリまではまだ行っていないが、膝周りを中心に縦落ちが始まってきているのが確認出来る。

ジーンズ育成には己の力量が現れる

このように、ジーンズの育成には時間もかかり根気が必要とされる。

さらにオイニーとの戦いという場外戦も時には必要となる。しかしその分、僅かな変化に一喜一憂し、自分だけのオリジナルの1本が出来る喜びもひとしおとなるのだ。

ジーンズを育てるということは、オイニーと供に自分と真正面から向き合い、現実を受け入れ、忍耐を学ぶ己と闘いであり、それはつまりプライドを捨てるということだ。

まだまだ先は長そうだが、夏を越えればばオイニーも落ち着く。そうすると履く頻度も増えるだろう。この先どうなっているのか益々楽しみだ。

実はウェアハウスのlot 1001xxと、リーバイスの501xx 1944大戦モデルのレプリカの2本を購入し、真っさらな状態でストックされていることは一旦忘れておこう。

(おしまい)

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走りながら考える