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ガブリエル・フォーレ(1845/5/12 - 1924/11/4)の三幕からなる叙情詩「ペネロープ」(1912)その2
全三幕、アリアやレシタティーヴォの区別のある番号オペラではなくワーグナー流の作りでライトモチーフもあり。登場人物は女声七名男声七名に合唱団、二管編成(フルートは三、ホルンは四)。
夫の帰りを待ち続ける女王ペネロープ(ソプラノ)、その夫イタケの王ユリッス(テノール)、ユリッスの老いた乳母ウリクレ(メゾ・ソプラノ)。
ペネロープの侍女たち5人、アルカンドル(ソプラノ)フィロ(ソプラノ)リディ(ソプラノ)メラント(ソプラノ)クレオーヌ(メゾ・ソプラノ)。
ペネロープへの求婚者たち5人、アンティノユス(テノール)、ウリマク(バリトン)、クテジップ(バリトン)、レオデス(テノール)、ピザンドル(バリトン)。ユリッスを慕う老羊飼いウメ(バス)。
前奏曲から切れ目なく第一幕、第1場は宮殿の前庭で糸紡ぎをしながらの侍女たちの合唱に始まる。糸紡ぎの女声合唱ったら彷徨えるオランダ人を思い出す。
歌はないし一人だけど音型はそっくりな
これらよりもペネロープではかなり夢幻的というか非現実に響く。あるいは世紀末的と言うか、荒らくれた求婚者たちの品定めのような言葉に侍女たちの隠された欲望が垣間見られ、昨今の演出家がほじくり出しそうな感じ。オランダ人ぢゃ糸紡ぎ場面をスポーツジムでバイク漕ぐ設定にしたよな、コンヴィチュニー。
第2場哄笑と共に騒がしく求婚者の一団とその音楽。第3場騒ぎに怒ったウリクレ。第4場大きな嘆きの「主題」と共にペネロープ登場。求婚者どもには耳を貸さず自分の歌を歌い応じるユリッセの主題。先王の経帷子(その主題)を縫い上げたら誰かと再婚するとの約束の履行を求めて踊りの場面が始まる。拒否しユリッセに呼びかけるペネロープ(愛の主題)。第5場呼び声がして乞食の姿の実はユリッセが登場、一夜の宿を乞う(弱きユリッセの主題)。追い払おうとする求婚者たちを制し泊めるというペネロープ。そいつと憂さ晴らしかいと皮肉混じりに侍女たちを巻き込んで宴会に向かう求婚者たち。第6場ウリクレが乞食の世話をしてその正体に気付くも口止めされる。第7場独り残るペネロープ、経帷子を縫った分夜解いていた事を見抜いた求婚者たちが音なく現れ明日には誰かを選ぶように告げて退場。第8場ウリクレと戻った乞食が「必ずや王は戻られるでしょう」と慰める(愛の主題)。第9場ウリクレとペネロープは帰らぬ船がもしやと丘へ登る。残されたユリッセは見るもの全ての懐かしさに狂喜する。第10場二人が戻り三人で退場、オーケストラのみの後奏がこれぞフォーレという信じられない美しさ(愛の主題のカノン)。
後のピアノ・トリオ第2楽章を思い出す。
続く…