シリアスな(?)プーランクその1 黒い聖母へのリタニ
宗教音楽に限らないのでこんな言い方で、「カルメル派修道女達の会話」に至る、またそこから始まる声楽曲を追ってみようかと。
ロカマドゥールの黒い聖母子像に霊感を得たとされる黒い聖母へのリタニ(1936年)です。今回聴き直してみて何か色も素っ気もない、こんな曲だったっけと驚いてしまった。ジョン・オールディス指揮のグループ・ヴォーカル・ド・フランス、オルガン(サン・ジェルマン・アン・レイ教会)をマリ=クレール・アラン、なんですが…
慌ててジャック・ジュウィノー指揮児童合唱、オルガン(サン・ロック教会)アンリエット・ロジェで聴き直して、胸を撫で下ろした。愛らしい子供の声にひたむきな祈りを感じプーランクらしい率直さ、オルガンも抑えながらここぞと迫力あり。
その後オールディス盤を聴き直すと余裕を持って色々見えてくる。最初聴いた印象ほど悪くはないんですが、人数の少ない女性アンサンブルに、どうも魅力的とは言えない音色のオルガン、すまないんですがどうしても所謂パイプオルガンには聞こえない、御免なさい私マリ=クレールさんとちょっと相性が悪い節が。
最近の録音ではマチュー・ロマーノ盤も良かったです。弦楽合奏+ティンパニ編曲版も悪くないんですが、合唱の人数が増える傾向があるんでちょっと曲の雰囲気は変化する。
大好きな名作連作歌曲集“Tel jour telle nuit” (1937年)の終曲”nous avons fait la nuit…の”Sillons profonds…にそっくりのメロディが個人的には印象的。
世俗的なフランス語のお祈りの歌詞で、この後多数溢れ出てくる宗教的な作品のきっかけであるのは間違いないですが、この曲そのものを宗教曲扱いするのは本当はどうかなとも思う。巡礼者の素朴な唄を理想化、普遍化したという感じでしょうか。
無調的という記載はどうかしてるとしか思えないぞ。
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