アルベリック・マニャール(1865/6/9 - 1914/9/3)とジョゼフ=ギイ・ロパルツ(1864/6/15 - 1955/11/22)の交響曲第一番
A. M. の交響曲第一番ハ短調作品4(1890)
ヴァンサン・ダンディに献呈
1. ストレピトーソ(騒々しく)
2. レリジオーソ ラルゴ - アンダンテ
3. プレスト
4. モルト・エネルジコ
師ダンディの指導の下での最初の交響曲はハ短調で古典的な四楽章構成。三管編成(金管は四)にハープ二台等大編成。ハ短調といえばまずはベートーヴェン。第1楽章第一主題が循環主題になるのはサン=サーンスの同じハ短調の交響曲第3番『オルガン付き』(1886年!)が透けて見える。と同時に何と肌触りが違うことか。ストレピトーソなんて発送記号は他で見た事がない。荒削りというかワイルドというか、まだ習作というべきなのか滑らかな繋ぎを気にしない様な構成、例としては金管のファンファーレの後「ゲネラルパウゼ」で場面転換される所などブルックナーを思い出す所も。そう言えば冒頭の付点音符はブルックナーの交響曲第1番ハ短調(1866、リンツ稿の初演は1891年)、マーラーの交響曲第2番ハ短調「復活」(初演1895年)と呼応してそうだがね。荒削り云々は演奏によってかなり印象が変わります。荒々しく短い動機の音楽と共にマニャールの大きな特色と感じるそれとは好対照の息の長い変化の大きな旋律線、まだこの曲では息を潜めている。第2楽章に片鱗が感じられるか。
J.-G. R.の交響曲第一番イ短調「ブルターニュのコラールによる」(1895)
アンリ・デュパルクに献呈
1. 遅く、荘厳な - 充分に生き生きと
2. 遅く
3. 早過ぎず、しかし楽しく
三管編成。ヴァンサン・ダンディのフランスの山人の歌による交響曲 op.25が1886年の作で、タイトルの付け方に明らかな影響が感じられる。セザール・フランクの交響曲 ニ短調は1888年の作だが、その構成法を完全に踏襲してる、即ち緩急 - 緩急緩 - 急の三楽章で循環形式、第2楽章冒頭はコール・アングレぢゃなくてオーボエですが。エルネスト・ショーソンの交響曲変ロ長調 (作品20)が1891年作、その響きを特に第1楽章に聴く。こうして比べてみれば如何にマニャールが特異な存在かが際立つ。第2楽章中間部のスケルツォやフィナーレの速すぎない楽しさにロパルツのブルターニュ/ケルトがまごうことない個性として刻印されている。若き日のロパルツの曲はどんよりとしてて実年齢よりも老けた感じ。