ヨハン・ヘルマン・シャイン(1586/1/20 - 1630/11/19)の「イスラエルの泉」(1623)
ヨハン・シャイン、その「イスラエルの泉」には安定のヘレヴェッヘ盤で慣れ親しんでました。ドイツ語歌詞によるイタリア風マドリガル集です。
第一曲(詩篇116:16-7)
ヱホバよ誠にわれはなんぢの僕なり われはなんぢの婢女の子にして汝のしもべなり なんぢわが縲絏をときたまへり われ感謝をそなへものとして汝にささげん われヱホバの名をよばん
第二曲(箴言5:18-19)
汝の泉に福祉を受しめ 汝の少き時の妻を樂しめ 彼は愛くしき麀のごとく美しき鹿の如し その乳房をもて常にたれりとしその愛をもて常によろこべ
第三曲(詩篇126:5-6)
涙とともに播くものは歡喜とともに穫らん その人は種をたづさへ涙をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん
第四曲(創世記32:27、詩篇4:9)
汝われを祝せずばさらしめず ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
第五曲(詩篇73:23-24)
されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん
第六曲(詩篇25:16-18)
ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり 願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ
第七曲(イザヤ書49:14-16)
然どシオンはいへりヱホバ我をすて主われをわすれたまへりと 婦その乳兒をわすれて己がはらの子をあはれまざることあらんや 縦ひかれら忘るることありとも我はなんぢを忘るることなし われ掌になんぢを彫刻めり
第十曲(創世記49:33、50:1)
ヤコブその子に命ずることを終し時足を床に斂めて氣たえてその民にくははる ヨセフ父の面に俯し之をいだきて哭き之に接吻す
第十一曲(箴言31:30-31)
艶麗はいつはりなり 美色は呼吸のごとし 惟ヱホバを畏るる女は譽められん その手の操作の果をこれにあたへ その行爲によりてこれを邑の門にほめよ
第十二曲(エレミア記31:20)
ヱホバいひたまふ エフライムは我愛するところの子悦ぶところの子ならずや 我彼にむかひてかたるごとに彼を念はざるを得ず 是をもて我膓かれの爲に痛む 我必ず彼を恤むべし
第十三曲(傳道之書7:13-14)
汝神の作爲を考ふべし 神の曲たまひし者は誰かこれを直くすることを得ん 幸福ある日には樂め 禍患ある日には考へよ 神はこの二者をあひ交錯て降したまふ 是は人をしてその後の事を知ることなからしめんためなり
第十四曲(イザヤ書61:10)
われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり
第十六曲(詩篇30:5-6)
ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん
第十七曲(詩篇119:169-171)
ヱホバよ願くはわがよぶ聲をみまへにちかづけ 聖言にしたがひて我にちゑをあたへたまへ わが願をみまへにいたらせ 聖言にしたがひて我をたすけたまへわがくちびるは讃美をいだすべし 汝われに律法ををしへ給へばなり
第十八曲(イザヤ書38:17-19)
視よわれに甚しき艱苦をあたへたまへるは我に平安をえしめんがためなり 汝わがたましひを愛して滅亡の穴をまぬかれしめ給へり そはわが罪をことごとく背後にすてたまへり 陰府はなんぢに感謝せず 死はなんぢを讃美せず 墓にくだる者はなんぢの誠實をのぞまず 唯いけるもののみ活るものこそ汝にかんしやするなれ わが今日かんしやするが如し
第十九曲はシャイン本人の作詞?
第二十曲(ベン・シラの智慧25:1-2)
われ三のものによりて美しくせられ、主と人々との前に美しく立ちぬ。それは兄弟の一致と隣人の友情、及び夫婦相ひ和わして共に歩むことなり
第二十一曲(詩篇42:12、43:5)
ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり
第二十三曲もシャイン本人の作詞なんどすて。
第二十五曲(詩篇90:12-14)
願くはわれらにおのが日をかぞふることををしへて智慧のこころを得しめたまヘ ヱホバよ歸りたまへ斯ていくそのときを歴たまふや ねがはくは汝のしもべらに係れるみこころを變へたまへ ねがはくは朝にわれらを汝のあはれみにてあきたらしめ 世をはるまで喜びたのしませたまへ
第二十六曲(ベン・シラの智慧50:22-24)
汝ら今萬物の神を祝せよ。主は到る處に大なる事をなし、胎内より我等の日を高め、その慈悲に從ひて我らをあしらひ給へり。願くは主心の歡喜を我らに與へ、我らの日に、イスラエルに平和を與へて永遠に至らしめ、我らに對するその慈悲を確くし、そのよしと見給ふ時我らを救ひ給はんことを。
さて前回触れた盤でベスティオンとラ・タンペートは
第十曲
第十二曲
第一曲
第十七曲
第二曲
第十一曲
第六曲
第三曲
第七曲
をシュッツの曲に挿入していて、どれも聞き比べ可能ですわ。