Padmâvatî (1923) その1
1909年に新婚旅行でアルベール・ルーセル(1869/4/5 - 1937/8/23)はインド、セイロン、サイゴンとアンコール•ワットを巡りました。インドの印象が強かった様で触発された作品「エヴォカシオン」作品15(1911)は三人の独唱と合唱、オーケストラのための作品です。「洞窟の影の中の神々」(エローラ)、
「ピンク色の街」(ジャイプル)、「聖なる川の岸辺にて」(ヴァーラーナシー、聞き慣れた名前はベナレスでしょか)の三章から成ります。
インドっぽさ満開でイイね。大編成ゆえのコストパフォーマンスなんだか、滅多に演奏会にのらないのは残念。
ジャイプルからウダイプルへの途中寄ったチットールガルの印象、また耳にしたパドマヴァーティの死の伝説がオペラ作曲のきっかけでした。この伝説が元のボリウッド、インド映画もありました(パドマーワト 女神の誕生)。
1913年に着手し1918年完成、作品番号は18で二幕からなるopéra-balletと題されています。「エヴォカシオン」よりもベタにインド風ではなく、汎アジア的というか、う〜ん手の内に入ったルーセルです。
第一幕 14世紀のラジュプタン(ラジャスタン)、チットール(ガル)の宮殿前の広場
モンゴルのサルタン、アラウッディン(バリトン)率いる敵軍に包囲されたチットールの人々の不安を表すような朧げながら緊張感のある序奏から動きを増して戦場を示唆するような音楽から幕があがります。第一場はアラウッディンがお付きの者を従えて和睦のために次第に近づいて来る場面、行政官のゴラ(バリトン)が民衆や兵士、バラモン等をなだめている中、チットールの王ラタン=サン(テノール)の使者バダル王子(テノール)が偵察から戻り敵兵の様子を報告、臨戦体制の敵軍、「河が黒かった」と戦闘用のゾウたちが河を渡っている様子を表現するのはメルヘン♡。第二場いよいよアラウッディンが迎えたラタン=サンと共に登場、和睦を急ぐラタン=サンにアラウッディンはこの地の絶美のものを見たい、特に生ける美を見せてくれると言い、戦士達の踊りが始まる。5/4拍子の主部、中間部は7/4拍子のルーセルらしい荒々しい曲。大いに満足したが、次はも少したおやかなものをってリクエストで女奴隷達の踊りへ。主部6/8拍子もしくは2/4拍子中間部5/4もしくは15/8拍子のアラベスク。お国の女性の姿は見れぬのか?異教徒には難しいと答えると、アラウッディンの相談役というバラモン(リリカルなテノール)がごすんぱいねぐサルタンは我らヒンズーの教えに既に帰依しておりまするって事で宮廷の女達の入場と踊り、ヴォカリーズのコーラスも加わって長〜いクレッシェンド、3/2拍子、4/4拍子、2/4拍子と加速し盛り上がるす。終わってもアウラッディンは満足せず噂に聞くパドマヴァーティの名を出す。ラタン=サンが私の妻だがと答えるとアウラッディンは何故かバラモンに振り、バラモンがパドマヴァーティの美しさを讃える歌を情熱的に始める。なんだチミは!?
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