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ペレアスとメリザンド その4

 この機会にブーレーズの論考 、「ペレアスとメリザンド」のための鏡、それからブーレーズ - シェフネール書簡集に収録のシェフネール「ドビュッシーと演劇」、ブーレーズの「パルジファルへの道」を再読して、忘れ去っていた細部を再発見出来ました。
 「恐怖と残酷の演劇」という指摘はシェフヌールの論考に由来、ブーレーズも深く共感し、伝統的なペレアスの受容の中で如何にその本来の牙が抜かれたかを指摘していた。その点で、「アッシャー家の崩壊」は二番煎じでしかないので未完成に終わったというのは説得力あり。また他人の手が多く入っているとは言え、未完成の「ロドリーグとシメーヌ」(ケント・ナガノの録音あり)との違いも「恐怖と残酷」が良きキーワードになりそう。
 更には硬直とは正反対の、「猫科の動物的な」限りないしなやかさが、写実主義から象徴主義への移行、あるいはテンポ、テクスチュアそしてダイナミックスに必要であるとも述べてます。この点に於いても紛れもなくブーレーズはデゾルミエールの子孫だなと感じます。
 ペレアスにはテノールを当てるべき、またイニョルドには子役が適当とも主張しています。個人的にはペレアスとゴローの声質が遠くないのも悪くないかなと感じることもありますが (エチェヴェリのように美しいゴロー)。
 ムソルグスキーとの影響関係はイニョルドくらいだろうと、これは先回考察してみたことでしたが大変納得。そしてパルジファルの圧倒的影響の指摘は笑ってしまうほど的を得ている。初演直前に書き足して長くした間奏曲の数々はほとんど「逐語的に」似ていると。
 アンゲルブレシュトの1963年盤が楽しみです。硬直してないかなあ。

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