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エイトル・ヴィラ=ロボス(1887/3/5 - 1959/11/17)とダリウス・ミヨー(1892/9/4 - 1974/6/22)とミェチスワフ・ヴァインベルク(1919/12/8 - 1996/2/26)の弦楽四重奏曲 第十六番

H. V.-Lの弦楽四重奏曲第十六番(1955)
1. アレグロ・ノン・トロッポ
2. モルト・アンダンテ クアジ・アダージョ
3. スケルツォ ヴィヴァーチェ
4. モルト・アレグロ
 ミンジーニャに献呈。
 よりストレートでシンプルなソナタ形式の第1楽章、冒頭1stソロにチェロ、ヴィオラと加わってくる佇まいが確かに古典的。第2楽章は1stが先導して他楽器がワイルドに伴奏するラブソディックな歌、中間部ポコ・ピュ・モッソはチェロが。スケルツォはベートーヴェン風と称する人もおりなるほど、リズム変化の面白さやスピッカートの効果、珍しく静かに消えてゆく。フィナーレも意外に勢いよりも軽やかさでグリッサンドの合奏が面白い響き、自在です。

D. M. の弦楽四重奏曲第十六番(1950)
 マドレーヌに献呈(結婚25周年の記念に)
1. 優しく
2. 速く
3. 柔和に、静かに
4. 生き生きと
 これまででいちばん耳馴染みが良く感じるのは特に二つの緩徐楽章のおかげでしょう。お誕生日プレゼントですからあまり分析的な話なして幸福な曲ですねって事で〆まする。

M. W. の弦楽四重奏曲第十六番作品130(1981)
 我が妹の追憶に捧ぐ
1. アレグロ - モデラート - ラルゴ
2. アレグロ - アンダンティーノ - アレグロ - アンダンティーノ - Tempo I
3. レント(アタッカ)
4. モデラート
 イタリア語の音楽標記が復活した。聴き始めて直ぐに痛切な響きに鷲づかみにされる。あゝクレズマー。1stのソロからチェロヴィオラが加わり特にヴィオラが活躍して主題の変形が耳に。突然のピアニッシモから1stとチェロのコラールに至る。突然の強奏で展開部はヴィオラ主題が先導するがまさかのコラールが最も凶暴化、錯綜した状況下高潮するが再現部から急速に鎮まっておずおずと終結。
 スケルツォではあの聴き覚えのある暴力的なトレモロの重音が聴こえる。トリオは7/8拍子、ピアニッシモでスル・タストでノン・ヴィヴラート。思い返せばスケルツォに怒りや暴力的な感情を常に持ち込んだのはショパンが最初だ。
 第3楽章は1stのメロディに始まる自由なパッサカリア、胸に迫る哀歌。アタッカでフィナーレ、弱音器付きピチカート伴奏で三拍子だけどポルカっぽいって評されるメロディ、続いてヴィオラのギザギザ下降分散和音。またしても突然の強奏で展開部が始まるけどまた思わぬギザギザ下降分散和音が凶暴化する、怖っ。凍りついたように一変してとぼとぼと、亡霊と化したポルカで消えてゆく。


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