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アルベリック・マニャール(1865/6/9 - 1914/9/3) 「ゲルクール」、三幕五景からなる音楽悲劇 Op.12 その1

 自身作の台本で1897年に着手し1901年完成、第三幕のみコンサート形式で1908年ナンシーで初演(ロパルツ指揮)、第一幕のみパリで1910年に初演(ピエルネ指揮、合唱指揮モントゥー)。「父の記憶に」献呈。
 マニャールは1914年第一次世界大戦初期にBaronの自宅に侵攻してきたドイツ兵に抵抗して火を放たれ死去、その際同時に歌劇「イヨランド」や「ゲルクール」の第一、三幕、そして完成されるも未発表の「12の音楽詩 Op.22」の自筆譜は焼失してしまいました。惜しんだロパルツが何と記憶から第一、三幕を復元、1931年にパリ・オペラ座で初めて全曲が初演されました。「イヨランド」はヴォーカルスコアのみが残され、大傑作だった筈のピアノ伴奏歌曲集であるOp.22が永遠に失われてしまったのは返す返すも残念。

 第一幕 後悔(の数々)
交響的導入、悲劇的な響きで始まります。舞台は天国、月明かりの中、死者達は皆影でしかなく主人公ゲルクール(バリトン)も例外ではない。第一場、天上の合唱の中ゲルクールだけが生への執着を歌う、空気が読めない奴すかね。第二場、処女の影(ソプラノ)と婦人の影(メゾソプラノ)との対話、第三場、詩人の影(テノール)との対話、それぞれがゲルクールを慰めあるいは諫めようとするが第四場、妻ジゼルとの愛や部下ウルタルとの友情、群衆の歓喜の叫びを思い起こし生への執着を止めない。第五場、ゲルクールにその名を呼ばれ光が差し始める。讃える合唱と共に真実(ソプラノ)が右に善(メゾソプラノ)、左に美(ソプラノ)を従え白い衣装で登場、足下には暗い赤の衣装の苦悩(コントラルト)が横たわる。これだけを聞くと何かのコントかそれとも「インサイドヘッド」かって感じですが。 …続く

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