凍えるような 小学校の廊下で 心がホッと温かくなり フワッと軽くなる【思い出】
陽当たりの悪い、鉄筋コンクリートの
建物は真冬じゃなくても
ものすごく冷える。
娘が入学する2年程前から
子どもの数が急に増え
娘の通う小学校では教室が
足りなくなっていた。
娘の教室はかつて、倉庫として
使われていたそうで
校内でも、1、2を争う陽当たりの
悪い場所にあった。
とりわけ廊下側は1日中
陽当たりがほとんどなく
10月も中旬を過ぎた頃から
ひんやりを通り越して寒かった。
運動会が終わり
娘は学校で泣く事もなくなった。
相変わらず、わたしは
お弁当持参で娘に付き添っていたが
終日付き添う事が少しずつ減ってきて
「給食終わったら帰っていいよ」
とか、調子が良い日は
「2時間目の終わりに帰っていいよ」
と言う日もあった。
そこで、わたしは
少しずつ、離れてみようと
教室の後ろで一緒に授業を
受けるのではなく
廊下に椅子を持って出て
そこで座って付き添う事にした。
担任の先生の配慮で、席替えしても
娘の席はいつでも、一番後ろの廊下側だ。そこなら、わたしとの距離が一番近い。
だけど
教室のドアを閉めてしまうと
廊下で椅子に座っていては
わたしの姿は完全に娘からは
見えなくなる。
だから
時々、立ち上がり
「母さんまだ帰ってないよー
ちゃんと居るからね!」
と
アピールする事を
忘れてはならなかった。
2学期も半ばになって
わたしは娘のクラスメイトと
すっかり、仲良くなっていた。
ほんとになんてこともない事だけど
毎日話してくれる子。
ゲームの話を毎日してくれる子。
わたしはゲームの知識ゼロだから
あんまりいい話し相手には
なれなかったけど、、、
それでも、楽しそうに話してくれるのを
聞くのはわたしも楽しかった。
両親共働きが当たり前の時代。
親に自分が満足できるまで
話をする時間がないのだろうな
と切実に感じた。
朝から冷たい雨が降り
まだ秋だけど、寒い10月のある日。
クラスの中でも、ちょっとヤンチャで
いつも背伸びして強がっている男子が
廊下で座っている
わたしのとこにやって来て
「寒いよね?大丈夫?」
と
声を掛けてくれたのだ。
嬉しいじゃないか!!
ホントはとっても優しい心の
持ち主なんだ!
凍えそうな寒さの廊下で
体はすっかり冷え切って
いたけれど、心だけは
とても温かかった。
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