答えを出すことが大事だ【アイデンス】
「最も重要なのは『正解』を探すことではない。『答え』を出すことだ」
飛騨はボロボロになったアイデンに、そう語りかけた。
「私たちは度々選択を強いられる。当然、この選択は正しいのかと不安になることもあるだろう。周りから『間違い』だと言われることもある。『間違い』なのかもしれない。実際、最善の道を歩き続けることなど不可能に近いんだ」
「でも……」
「しかし、だからと言って選択することからは逃れられない。だから、その状況で自分が最適だと思う『答え』を選んで、進まなければならない。たとえ、その答えが『最善』ではなくとも。それが経営者の仕事だ。進め、アイデン! そこから先は、自分が選択した道を正しくする努力だ」
「飛騨先生……」
選択によって大事なものを失い、経営者としての役目から逃避したアイデンの心に深く刺さった。涙が溢れ出す。親友を亡くしても流れなかった涙が今、彼の枯れた心を潤していく。
アイデンはゆっくりと立ち上がり、飛騨に向かって涙声ながらはっきりと宣言した。
「俺、アイデンスを救いたいです……」
合宿で訪れたゴシマの地。壮大な火山を背に、アイデンは再び『経営の棋士』として戦うことを誓ったのであった。
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