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画家にとってAIは脅威か

 2023年はチャットGPTや画像生成AIが台頭し、AI元年と言ってもいい年でした。これらの出来事に多くのクリエーターは脅威を感じたことでしょう。
AIによって人間の仕事の9割は無くなるという人もいますが、このままクリエイティブな世界もAIによって人間は淘汰されてしまうのかというと、私はそうはならないと思っています。

 なぜなら、芸術の世界というのは非合理性が許される世界だからです。芸術作品は作家の技術力が優れていればいいというものではありません。日本人は芸術に対して技術を重んじる傾向にありますが、それはあくまで一要素にすぎず、世界では全く理解のし難い作品にとんでもない高値が付けられていたります。

 有名なものだとデュシャンの拾ってきた便器にサインをしただけの作品がありますが、要は鑑賞者がどのようなものに価値を見出すかなのです。大雑把に言ってしまえば、作品の価値を決めてるのは作家ではなく、作品に価値を見出してお金を払う鑑賞者です。現時点での私の印象から言えば、今後AIで生成した作品にも何十億という高値を付けていこうという空気は感じられませんし、むしろクリエイティブな世界では全体的にAIを締め出そういういう雰囲気の方が強いように思います。

 一般的な事務職など合理性が求められる仕事はAIに淘汰される可能性は極めて高いのかもしれませんが、芸術の世界は非合理性こそが武器となる希少な世界です。もし仮に生成AIの作品にどんどん高値を付けていこうとなると、世の中たちまち生成AIだらけの作品になりますし、そんなことになったら芸術の世界はとてもつまらないものになります。アートを資産として保有する世界中のコレクターにとってもそれは不都合なことでしょう。
 
 そういったことから、少なくとも芸術などクリエイティブな世界がAIに乗っ取られるなんてことはあり得ないし、むしろ全体的に人間の手で作ったものを重視していこうという流れになると個人的には思っておりますので、それほど構える必要もないと思っています。

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