短編集【タイトル:雨】



忘れられない。
一人になるといつも思い出してしまう。
あなたと一緒に過ごした日々を。

あなたと出逢った日は雨が降り続く午後だった。
私は喫茶店で雨宿りをしていた。
コーヒーを飲んでいると
あなたがびしょ濡れになってお店の外で雨宿りしていた。
窓越しで目が合ってなぜか会釈していた。
それが最初の出逢いだった。

私はなぜかあなたと恋するとどこかで思っていた。
奇跡なんて信じないけど
これは運命だと思った。

その喫茶店であなたと出逢うようになって心が近くなった。
そして出会ってから少し経った時、
あなたから好きって言ってくれて嬉しかった。

あなたから貰った水玉模様の傘。
今でも大切にしている。
その傘に一緒に入って
あなたが照れながら
一緒に帰った帰り道は忘れない。

でも徐々に気持ちのすれ違っていった。
私が別れのことを言わせないように
抱きしめてくれたけど・・・。
結局、あなたから別れの話を切り出してきた。
その日は出逢った時と同じように雨が降り続いている午後だった。

私はいつも通り喫茶店でコーヒーを飲んでいる。
いつもよりしょっぱく感じた。
あなたの温もりを忘れようとするけど忘れられない。
今日も雨は降り続いていた。

いいなと思ったら応援しよう!