オフィス市場と今後の動向
こんばんは。DARTs Capitalです。
本日、大手賃貸仲介業者である三鬼商事様から最新のオフィスマーケットデータ(2020年12月)が更新されました。
コロナ禍において、昨日ブログで書いた住宅同様、働き方を見つめ直す機会が多くなり、
「これからはテレワークだ!」と新たな潮流に乗る企業もあれば、
「いやいや、やっぱり仕事は出社して顔を合わせないと仕事じゃない」とこれまでの働き方に重きを置く企業もあったりします。
今回のテーマは、どっちの考えが正しいという議論をしたいのではなく、このコロナ禍において様々な考え方が巻き起こっている中、「オフィス市場」にどう影響を与えているのかを三鬼商事様のデータを活用して客観的に評価してみたいと思います。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
1.2020年12月分オフィスマーケットデータダイジェスト
これは、三鬼商事様が発表した2020年12月分の各エリアにおける「平均空室率」「平均賃料坪単価」を私で取り纏めました。
やはり全国的にオフィスの稼働率は低下傾向にある印象がありますが、仙台以外は5%を切っており、大きなダメージが生じている状況ではなさそうです。今のところは・・・
2.平均空室率
これはコロナ前後で各エリアの平均空室率がどう推移したかを表したデータです。
見てのとおり、どのエリアも新型コロナの感染拡大に伴い、空室率は上昇しています。普通借家契約の場合、3〜6ヶ月前解約予告が必要となりますが、4月の緊急事態宣言が発令された3ヶ月である7月以降から東京の空室率が上がっているのは決して偶然ではないと思います。
今回の緊急事態宣言はあくまで飲食店にフォーカスされた発令内容ですが、テレワークは7割稼働を要請してきています。おそらく今回も一定程度解約の波が出てくるのではないかと考えています。
ただ、ちょっと気になっているのは札幌です。コロナ禍においても空室率が上がっているとはいえ、2%台をキープしているのは違和感があります。
これについて、ある大手賃貸仲介業者に問い合わせたところ、以下の要因が想定されるとのことでした。
(1)企業がテレワークに対応したインフラが整備しきれていない
(2)ドーコン特需
ドーコン特需・・・?
調べたら、こんなことがあったようです。
ドーコン火災、新札幌で代替オフィス需要が急増
なんか残念なニュースですが、逆にこの程度の出来事で稼働率が安定するということは、オフィス床面積が少ないということだと思います。ただ、都心エリアは、再開発ラッシュになっており、今後のオフィス変遷は注視しておく必要があると思います。
3.平均賃料坪単価
平均賃料坪単価は、東京以外はまだ大きな影響は出ていないようです。むしろ札幌、横浜、福岡はまだ賃料が若干上がってる傾向があるようです。
やはり主要都市エリアは、下がっているとはいえ、稼働率3%台であれば、許容の範囲内であり、賃料を減額していくフェーズには至ってないと判断しているところもあるのではないでしょうか。
東京の稼働率が地方都市の空室率を上回るのは、あまり現象としては少ない印象があり、この要因を推測すると、札幌の空室率上昇を限定的にしている要因で言及したように、地方都市は、地元企業のテレワークインフラが十分に整備されていない可能性があるのかもしれません。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
各都市によって要因は若干異なると思いますが、概ねコロナ禍において空室率・平均賃料坪単価には影響が出ていますが、地方都市の空室率の影響は現時点では限定的であり、賃料も大きな影響は出ていないです。
一方、東京はテレワークを推進できる企業が一定程度集積しているので、ダイレクトに空室率に影響があったように感じます。これにより既に賃料にも波及しており、特にREITのポートフォリオは80%程度東京のオフィスが組み入れられているので、注意が必要です。
また、今回の緊急事態宣言で「テナント解約第2波」が来ることもある程度想定しておかなければならないといけないと思います。前述のとおり、解約予告は3〜6ヶ月前なので、オフィスREITに投資することを検討している方は、4〜7月あたりまではパフォーマンスに注意しながら投資の判断をした方がいいのではないかと考えています。
今後の参考にしていただけたら幸いです。
DARTs Capital