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【試写】新プロジェクトX「日本発!革命アプリ世界へ 〜巨大フリーマーケット誕生〜」

「新プロジェクトX」は私のnoteの「試写対象」として既に定番化しつつある。それだけ問題の大きい番組と言えるが、「メルカリ」の回は放送前から嫌な予感がしていた。そして、非常に億劫だったが試写してみると、想像した通りの懸念が顕在化した番組だった。

誤解が無いように最初に述べておきたいが、「メルカリ」自体が日本社会の流通を変革させたプラットフォームであることについては全く異論が無い

私自身はヤフオクとeBay(Sekaimon)しか使ったことは無いが、家族は黎明期から使っていたし、NHK職員の中にもメルカリの愛用者は多かった。例えば、衣類やバッグなどを売買するアナウンサーなどもいた。そんなことが成立した背景には、並ぶ商品バリエーションの多さと、匿名性が高い形での気軽な発送・受取を実現したUI/UX上の類稀なる工夫があったと、個人的にはリスペクトしてもいる。

視聴者にとっても比較的関心のある題材だったのか、過去の放送よりも視聴率は好調だったようだ。

TVALの視聴率データ

だが、NHKの「調理法」には極めて大きな懸念があった。よくこんな番組の提案が通って、試写を潜り抜けて放送されたと思う。ある意味では、国際放送の「テロ」よりも悪質にさえ感じられる。

メルカリの素晴らしさを認めた上でのNHKへの批判とはいえ、メルカリ関係者や愛用者の方々は気分を悪くされるかもしれないため、今回の私の感想はメンバーシップ領域に記述したい。

番組総評

新プロジェクトX「日本発!革命アプリ世界へ 〜巨大フリーマーケット誕生〜」

正確性:★☆☆☆☆
速報性:☆☆☆☆☆
公平性:☆☆☆☆☆
演出的工夫:☆☆☆☆☆
NHKらしさ:☆☆☆☆☆

合計:1/25点
オススメ度:☆☆☆☆☆

スマホ一つで誰でも簡単に売買できるフリマアプリ「メルカリ」の創業からグロース期の出来事をアラカルト的に描いた番組。創業者である山田進太郎氏が、大学時代にインターネットの可能性に魅せられ、起業の道を決意する場面から始まり、ゲーム開発で成功と挫折を経験した後、仲間を集めながら「メルカリ」を立ち上げ、日本市場を抑えるまでの過程がインタビューをベースに綴られた。

「現金出品問題」などのプラットフォーマーが直面した課題と向き合いつつ、アメリカ市場に挑戦した舞台裏も描かれた。結局、外部から招聘したキーマンのマーケティング戦略がヒットして一時的に黒字化を実現するも、苦戦が続き、現在も決して順調とは言えないことも伝えた。

山田氏をはじめとする創業者たちの夢と、あまり泥臭さを感じさせない今時な形態の軽やかな「執念」を匂わせつつ、ほとんど無批判なままに終幕した。

試写した上での感想

25点満点中1点というのは、私としても驚きではある。取材不足、構成の破綻、10回ではきかないくらい「メルカリ」とサービス名を読み上げるようなプロモーション色の強さなど、懸念点は数限りないが、思い出すままに綴っていきたい。

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