ちょっとした違和感が生きやすさのヒントになることも。

就労移行支援で活動中の知人から連絡がきた。

自分に向いていそうな仕事を見つけたという。
そして、その仕事に就くことに特化した就労移行支援も見つけたので、そこに移動しようと思うのだとか。
それについてどう思うかを聞かれた。

理由を聞いてみた。

その仕事は、彼の特性とマッチしているのだそうだ。
彼は、没頭すると、そのことに特化して高い集中力を発揮できるらしい。
この特性を活かせるその仕事に就きたいとのこと。

うーむ

没頭すると高い集中力を発揮できる、という特徴については、どんな仕事でも活かせるんじゃないのかと思う。
であれば、没頭できそうな仕事をいくつか挙げておき、間口を広くとっておいた方が、幅広く可能性を残しておけそうだ。
彼は、まだ方向性すら決めていなかったはずなので、いきなりピンポイントで仕事を決めてしまうのはリスキーなのではと心配になる。

ということで、もう少し突っ込んで、具体的にその仕事のどんなところで、あなたの強みを活かせそうなのか、と聞いてみた。
すると、今度は沈黙してしまった。
具体的にどんなところで活かせそうなのかは、考えてみると分からないのだそうだ。
しかし、自分にはマッチしているように感じているという。

自分には合っていると思っているが、具体的に何が合っているのかは知らないと…。
結論ありきで理由がないのはどういうことだろう?
とりあえず、彼にはこのおかしな点を考えて貰おうと思い、私が感じた疑問を伝えておいた。

複雑な気持ちだろう。
悩んでしまっているかもしれない。

しかし、この違和感はチャンスでもある。
こういったおかしな出来事には、その人特有の認知が潜んでいるはず。
その正体が分かれば、より生きやすくなる。
多分、これは障害関係なく、一般の人でもありうる、いわゆる認知の歪みだと思う。

過去、私自身にも不思議な思考の癖があった。
障害特性も関係はしているが、直接的には私個人の歪んだ認知であると思う。
私は、会社のような、組織の中にいる時は、組織への貢献を最優先とし、心を殺して仕事をしていた。

これに気付いたのは、自分の生き方を書き出して、見つめなおしていた時だ。
なぜ自分を殺すような仕事の仕方をしていたんだろう?と不思議に思った。
不思議なもので、書き出してから俯瞰して読み返してみると、今まで見えてなかったことが見えてくる。
なので、簡単な自分史のようなものを作り、見返してみるのはおすすめだ。
ちょっと大変だけど。

話を戻そう。
この仕事に対する歪な姿勢は何なのだろうか。

当時の私は、いつも孤独感を感じていた。
しかし、仕事で貢献できた時だけは、まるで組織の一員として認めて貰えたように感じ、孤独感がやわらいでいた。
つまり、孤独感をやわらげるために、仕事をしていた、ということなのだ。

これに気付いてから、孤独感と仕事を切り分け、それぞれ手を打つようにした。
孤独感は、存在感の希薄さからくるものだったらしく、医者からアドバイスを頂いて訓練したところ、しばらくしたら解消していた。
仕事の方は、自己犠牲的な仕事の仕方をしないよう、自分にとっての仕事の意味を定義し直すようにした。

そんなこんなで、私は無理な仕事の仕方をしなくなり、人生の一部と捉えて、仕事を楽しめるようになった。
ついでに、慢性的に抱えていた孤独感も解消したので、とても楽に生きられるようになった。

このように、自己分析の材料とすることができれば、意識して対処することができるようになる。

そうすればきっと生きやすくなる。

1番難しいのは、歪みに気付くことだ。
本人からは歪んでるようには見えないので、気付くことが1番難しいのだ。
しかし、違和感がそれを教えてくれる。

知人にも今回の一件を糧として、楽に生きられるようになって貰いたい。
なので、彼自身がまずこの違和感をしっかりキャッチできるように、もう少しやり取りを続けてみようと思う。

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