雑感:2019年9月26日
先日、テレビのニュースで、Greta Thunbergさんが国連で演説している映像を見て、ちょっとショックを受けました。
そのときのテレビのコメンテーターは、「彼女は怒りに身を震わせながら」という表現をしていましたが、正にその通りでして、個人的にはこれほどストレートに「煮えたぎる胸の内のマグマ」を吐き出している演説を見たことは無いと思います。悪く言えば、「冷静さを失うほど感情的」になっている演説です。まだ若き故の特権なのかもしれませんが、ここまでエネルギーを感じさせる日本の若者が存在するとは考えられません。
しかし、残念ながら、私は彼女の見解には賛成しかねます。演説の根本的な部分から、私にとって矛盾を感じる点がいくつもあるからです。
困ったことに、現時点では、彼女に批判的な意見をアップすると思いっきりたたかれる風潮にありますので、慎重に言葉を選ぶ必要があると思いました。
9月25日だったと思うのですが、この点について、蚊の声よりも小さい声ながら一つコメントした方が良いのでは、と考えて文面を検討していたところ、「Greta Thunbergはアスペルガー症候群の患者」であることが発表されました。
これは、私の彼女に対する見方を大幅に変えることになりました。
アスペルガー症候群は、ざっくり言って現代型のコミュニケーション障害だと思っています。要するに、自分の中で納得できないものは全て本能的に拒否・排除する傾向のある人だと思っています。昔のように、人里離れた山の中にこもったり、(例えば宗教面などで)価値観を同じくする人たちと修道院にこもったり、と言うことが許される時代なら、アスペルガー症を発症している人も楽に生活できる環境もあったでしょうが、現代のように、食料入手などの「命を保持する」活動が、他人とのコミュニケーションが成り立っていることを前提としている現代では、非常に暮らしにくい世の中に思えているだろうと思います。
同時に、コミュニケーション障害があるために、他人の意見を聞いてそれを検討して取り入れるかどうか決める、と言うことができない人たちでもあると思っています。従って、Greta Thunbergさんに、いくら外から「それは、間違っている。」と説いたとしても、心に響かないどころか、説得する人を「自分自身の心を惑わすサタン」扱いする可能性もあると考えます。
そう考えると、彼女が「毎週金曜日に学校を休んで、環境保全運動のデモの先頭に立つ。」などと言うことを躊躇無く行うことが納得できます。
しかし、それでも、私にとっては、違和感というか、納得できない部分が残りました。すでに、コトはGreta Thunbergさんの個人のレベルから大きく発展して国際問題になりつつあります。どう収拾をつけるのでしょうか。
そこまで考えたとき、ネットのニュースで彼女を「気候変動のジャンヌ・ダルク」と表現している記事を見ました。個人的には、これはうまい表現だと思います。
ジャンヌ・ダルク、又は「オルレアンの乙女」は15世紀前半の100年戦争のただ中に、「神の声」を受けて突如としてフランス軍の前線に現れ、天性のカリスマ性を持って劣勢のフランス軍兵士を鼓舞し、さらに天才的な軍略を持って当時のイングランド軍を敗走させたとされています。しかし、私の理解が正しければ、文盲の彼女に軍学の知識があるはずもなく、当時のフランス軍への献策(強気で攻めろ!)に理由があったと思えません。彼女の強気の理由は、単に「神の声がかかりし故、神は我が方にあり。負ける理なし。」であったと推測できますし、彼女の(主に宗教的に)強気な態度が、実力はあるのに愚策と不運とで士気がだだ下がりだったフランス兵のやる気を引き出すに効果的だったと見なすことができます。昔も今も、アイドル女子は男たちを奮い立たせるのです。
しかし、再び劣勢となったフランス軍は、「神の声」を聞いたと称するジャンヌ・ダルクを「異端者」扱いし、敗戦で捕虜となった彼女を一応イングランドから引き取ったものの、敗戦の責任を取らされる形で(名目上は異端者であったため)ルーアンで処刑されています。
(この辺のところ、私の理解が間違っているようでしたら、是非ご指摘下さい。)
私が「Greta Thunbergさんは気候変動のジャンヌ・ダルク」と感じた理由は、「100年戦争」を「地球温暖化」、「当時のフランス軍」を「温室効果ガス諸悪の根源論者」と例えれば、理解いただけるかもしれません。失礼ながら、Greta Thunbergさんが、地球温暖化のメカニズムや、温室効果ガスの発生理由とその(気候だけでなく、自身の現在の生活も含めた)影響をきちんと理解されているかわかりません。もし理解されているなら、大人たちを一方的に非難するだけの演説原稿になるとは思えません。
しかし、温室効果ガス削減論者たちは、早速彼女を利用して温室効果ガスの削減を国連加盟各国に迫っています。これは、世論の反応から見て、一定以上の効果を上げることでしょう。
もし、温室効果ガスの削減が地球温暖化を止めることができず、それだけでなく地球人類の経済や科学技術、さらにそれに伴う福祉(これには、医療・衛生も含みます。)に不利益をもたらすだけになった場合(私はそうなる可能性が高いとみています。)、Greta Thunbergさんはどうなるのでしょうか。彼女を担いだ温室効果ガス削減論者たちは、ちゃんと彼女を助けてくれるのでしょうか。
私がどうこう言っても詮無きことですが、純粋すぎるGreta Thunbergさんが、下衆な大人たちにいいように利用されているだけでないことを祈りたいと思います。
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