遊化、逝け、ユートピア
カーテンの隙間から光が差し込み、鳥の声がきこえてくるまで、夜通し不動産サイトを見続けていた。
なんの鳥が鳴いているのだろう。スズメだろうか、ヒバリだろうか、ヒヨドリだろうか。数えきれないほどきいているはずなのに、どの鳥がどんな姿かたちをしていて、どんな声で鳴いているのか、そんなことすら私は知らない。
数年前、同じことを雑草に対して思った。ほとんど毎日、そこらじゅうで見る緑。子供の頃は一緒に遊んだりもした。それなのに、名前も知らないなんて。そのことが、なんだかべらぼうに不誠実な