吉野の頭の中~ソーシャルビジネスの罠?
広報として取材に立ち会ったりすることは多いのですが、言葉を交わす間もなくスーツケースをガラガラと引っ張って出ていってしまうという超多忙の代表・吉野。「今月もnoteの取材は無理かしら」と思っていたら、いきなり電話が掛かってくるという……。
何やらしばらく話を聞かない間に、頭の中がネタになりそうな話題でいっぱいになっているようで、急遽、今の思いを聞きました。
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中崎 10月はマザーハウスカレッジや国際基督教大学など、講演でもお忙しかったですね。最近は、SDGsという言葉もメディアはもちろん、店頭のポスターなどでも目にするようになりましたから、ソーシャルビジネスというキーワードが注目されていますね。
吉野 どの会社でも社会性はあるし、社会にとって意義があるから存続できている。Dari Kはカカオの産地で農家と関わり、そこの生産性や農家の収入にも大きく関わっているために、よりソーシャルビジネス色が強くて、注目を集めるんだと思います。
しかし、売上、利益が上がらなければ、いくらソーシャルビジネスと言っても会社としては成り立ちません。それでちょっと悩んでいるんですよね。
中崎 珍しいですね。何かあったんですか?
吉野 カカオ豆を乾燥してからの選別に村のお母さんたちを雇用しているのね。夫に先立たれた人とか、農園を持っていない女性で離婚した人にとっても、町に出ずに働けるから、すごくありがたいって言われるし、KICの拠点で世間話をしながら豆の選別ができる。コミュニティ作りという意味でも役立っていると思うんです。
タイトルにある「罠」で画像を検索したらこんな写真が! 確かに美味しいコーヒーと良書はハマります。本題には関係ないですが……
中崎 すごく、いいですね!
吉野 でも、一般消費者の目で見たらどうなんだろう。機械で豆が選別されているのと、おばちゃんたちが手で選り分けるの、どっちが衛生的に見える?
中崎 うーん。そりゃあ、ステンレスのピカピカしたのが並んでいる方が衛生的って言われますかね。
吉野 実際、自動で豆をソーティングする機械は高いけれど、1年で元が取れてしまうんだよね。
中崎 え? 元が取れるとは?
吉野 10人のおばちゃんを1年間雇うお金があったら、機械が買えてしまう。機械は風邪も引かないし、急に来れなくなったりっていうこともない。処理できるカカオ豆の量も増える。それで効率化できた分でDari Kの事業を拡大できたら、もっとたくさんのカカオ豆を取り扱えるし、普通のビジネスで言えば、それが正解なんだと思うよね。
中崎 ……確かに。カカオの流通量を増やすというのは、Dari Kにとって大切です。しかしながら、実際問題として、仕事を失うお母さんたちがいるというのは辛いです。結論は出たんですか?
吉野 それが出てないんよね。なんだか取材というより、悩み相談室になっちゃったね。
中崎 (笑)。いえいえ、すごく大事だと思います。というか、吉野さんがこうやって悩んで出した結果が積み重なって、今のDari Kにつながっているんだと思うと、そういう過程も大切だし、感慨深いです! もっと色々聞かせてください。
吉野 実はまだまだあるんだよねー。
--吉野のお悩み相談室(いえ、取材です!)まだまだ続きます。次回をお楽しみに。
(広報・中崎)