夢0421
忘れない
誰かを見下す事でしか笑うこともできない連中が勝手に、好いたり、嫌ったりしてきたあのくだらない夏。
教師に叱られるだけで笑ってしまうことを互いに甘受していたあの子。
行事の時の浮き足立つペンキの匂いの校舎。
あいつの遺影を見た帰り道のいちょうの絨毯。
会えなくても一番大好きと繰り返したあの子。
何もできなくなった自分。
あんなに最低なのに、それでも優しいと思えた知人。
心地いい狭さを初めて教えてくれた先輩。
何もできない私を受け入れてくれた人。
暑い夜、嫌がる私を無視して犯した男の泣いている部屋。
冷房で冷え切って、妙に冷静になっていた秋。
面白いことが一つもない冬に、うんざりしているだけの薄幸な私を見つけ出した人。
今もここにいる人。