サーフィン
2019年秋に、サンフランシスコで人生初のサーフィンを体験した。
留学期間中だったので基本的に誘われたアクティビティには参加していたし、仲のいい友達が参加していたから行くことにした。
当日朝、サンダルなどの準備をしながら、ふと最後に海に入った日のことを考えた。
正直覚えていない‥去年と一昨年に沖縄に行っているけど、確か脚くらいしか海に浸かっていない。
海を見るのはかなり好きだけど、海水が膣を通じて体内に侵入してくる感覚が嫌いすぎるのだ(と理由づけていた)。もっと言えば汚いプールも好きじゃないしね‥
しかもサーフィンするとなると、波にさらわれるかもしれない?
穴という穴にに海水が入ることを想像して口の中がどことなくしょっぱく感じた。
日本でインストラクター経験があるサーファーの率いる元、友人もう二人とともに浜辺に来た。
サーフボードのレンタル屋でサーフウェアに着替えればそれは湿っていて、小学六年生の時の遠泳の記憶が引っ張り出された。
あの時はきつかったな。と、思う。水は冷たいし泳ぎも上手くないし、でもみんなが見ているから逃げることはできない、それぐらい自尊心が出来上がってしまっていたし。
でも同時に、嫌だったから、それは終えてから人一倍の達成感に形を変えたことも思い出した。
根っから臆病なんだな。
自分から参加したサーフィンも、直前になってだんだん嫌になっている。
砂浜に着けば、そこにはすでに大勢のサーファー(波に乗れてたり、飲まれてたりして)がいた。
大型犬がボールを追って走っていて、風も気持ちいい。こんな牧歌的な空間で、海が怖いなんて馬鹿馬鹿しい!
単純な自分が顔を出して、また意欲を取り戻した。
本日の指導係が準備体操、乗り方のイメージを教えてくれ、いざ、
みんなに押され私が先陣を切った。
サーフボードと私をつなぐロープに引かれ、彼の持つボードを追いかけながら海に入る。私がどんなにビビっていようとまるで容赦無く気づけば水は腰にきていて、海水侵入注意報が脳内で警鐘を鳴らす。
グイグイ進む。海の地面は冷たくて、裸足の足から恐怖が私を侵食していた。
時折くる波は顔だとか髪とか関係なく襲ってきてしかもものすごく力強いし、波に乗ることをトライする前からまた心が後ろ向きになってきていた。
「海怖くないんですか」
大丈夫なもんだよ、安心していいよ。そういう返事をもらうためだけに指導係の友人に問う。
「怖いよね(笑)」
‥終わった。
笑ってんじゃねえ〜〜!安心することに失敗するどころか、とりあえずやっぱりここは怖いところのまま、板に立つ試みが始まろうとしていた。
そもそも第一水面で立つなんてちゃんちゃら無理じゃまいか?
「じゃあこの辺でね。俺が押したらパドル(水をかくこと)して、中腰になって」
板に寝そべり、波より先に不安に飲まれている私の耳には内容はほとんど入ってこなかった。
波を待つ。
波が来る!
「パドルして!」
しばしかいて足を持ち上げる。
次の瞬間には倒れ、塩水に揉まれていた。
息のできない感覚も、塩水がしょっぱいのも、目が痛いのも全部久しぶりで、それがすごく面白くなって声を出したら、なんだか泣きそうな声しか出なくてまた驚いた。
恐怖に飛び込んでみるのもたまにはいいよね。
目標物より自分の心理の方がよっぽど自分を怖がらせてるよね。
あのしょっぱさは当分忘れないと思うけど、これくらい印象的なチャレンジが人生あと何回訪れるの?と思うと、やってみて心底よかったなと思いました。
なんかもっと色々あるんだけど眠いから寝ます