ここは独房、迎えにきて

全米で最もリベラルな街の一つ、サンフランシスコ。その社会的、文化的な立ち位置に憧れ、何がそんな街を作っているのか気になって、ここを滞在先に選んだ。


しかしサンフランシスコ、物価、地価がちょっと驚愕の高さなのだ。

初めは市内から出た田舎のフィリピン系の家庭でお世話になっていたが、あまりの交通費と片道二時間の道のりに早々に耐えられなくなり、1ヶ月でおいとました。家族はみんな優しかったけど、時間が流石にもったいなかった。

次の家は業者を通さず日本語のウェブサイトで探した日本人の家での「シェアハウス」だったが、ひと月1500ドル(キッチンやバスはシェア、部屋は4〜6畳くらいに簡易ベッド一つのみ。)の家賃と、家賃の払い主でありハウスメイトであるオーナーのマナーに徐々に苦痛を覚え、ふた月で次の家を探した。


そして今から新しい(現在、住んで約1ヶ月)家の悪口を始める。

私に堪え性がないだけという見解もあろうが、知ったこっちゃない。

本記事、私の家の文句を私がいうだけのブログだ。


英語も困らないくらいのレベルになってきて、最後の2ヶ月を過ごす家はAirBnBを利用して探した。

日本語のウェブサイト(びびなびという名前だ)でも探したが、いい物件はあっという間に応募が締め切られているし、需要過多をいいことに家賃は釣り上げられ、オーナーたちは皆強気‥という印象だったため断念した。

(もちろんいい人もいた。余談だがこのサイトを出会い目的で使っている友人がいて驚いた。)


エアビーでも需要過多の状況は変わらなかった。ことプライベートルームを希望すると、その供給は少ない。昨日ブックマークした物件がもうなくなってる!なんてことはざらで、つまり見つけたら早いこと腹を括らなくちゃならない。

毎朝の日課のように物件を探していたら、ダウンタウン徒歩圏内の、家賃安めのシェアハウスを発見。48時間以内はキャンセルできるため、一旦予約した。

その後ゆっくり条件を見て、良さそうだったためそのまま予約をキープした。



12月中頃に引っ越した。

家の目の前につき、ドアの前の鉄格子(監獄?と思いきやサンフランシスコではよくある)がこじ開けられたようにひん曲がっていることに多少ビビるも、事前に聞いていたキーで中へ入った。

しかし来ると聞いていた家の管理人はおらず、オーナーの電話も繋がらない。エアビーのメッセージにも何の返答もなく、途方にくれた。

どうしようもないし、部屋がなかったら今日の行き場もないから、とりあえずロビーで待つことにした。隙間風が寒い。40分ほど待ったところで他の部屋の住人が出てきたため、管理人に連絡してもらうことに成功した。15分でくるから待っててくれというからやっと安心した。

ところがどっこい、15分経ってもこないし、それどころか1時間経ってしまって、寒さと孤独で涙が出そうだった。

結局管理人はチェックイン時間の3時から2時間半たった5時半にやってきたのだが、"Sorry"の一言もなくニヤニヤしながら(これが一番ムカついた何わろとんねん)エアビーのシステムが〜とか、忙しくて〜とか言い訳を重ねたため、もう何というか怒る気力もなくした。

さらにそのまま部屋に案内されるのかと思いきや、部屋まで行き、中を除けば前の住人のいた跡がそのままになっていた。「今から掃除するから20分待ってくれ」って‥あのさ‥エアビーで清掃料金とって「プロの掃除が入ります」って掲げてたよね?金返せ然もなくば訴えるぞ(アメリカだし)

そして18時、不潔な感じのおじさんが20分くらいで掃除した部屋に入居した。

部屋の壁にはガムが張り付いていた。



板みたいなベッド、薄い壁、窓のない白い真四角の部屋。オレンジイズニューブラックを思い出したわ。さらに私の部屋は横と正面がトイレなので、あらゆる音が丸聞こえだ。汚れっぱなしでハエが集まるキッチン。壁に貼られたいくつかのハウスルールはほぼ守られていないし、というか管理人さえも守っていない。ガタがきている数々の家具は日に何度も壊れ、住人たちは壊したら壊しっぱなし。自由の国か。


中でも興味深いのが、私の二つ隣の部屋に住むロン毛のおっさんだ。

過去形じゃないことの悲哀を感じ取ってほしい。


このおじさん、まず声と音楽のボリュームがとてもでかいため、入居時から気になる存在だった。

寝るときのいびきもすごい音量で、二つ先の私に毎晩届けられる。しかも20時くらいから。早!

ある日部屋の外から聞き覚えのあるような声が響いてきて目を覚ました。その音はおじさんが「カーッペッッッ」をする音だった。朝5時。驚くことに、それが一度二度じゃなく、一時間半くらい続く。毎日。何で!?彼に何が!?

その後バスルームに入ると茶色い毛が渦を巻いて床の隅々で舞っている。

おっさんトイレで何してんだ?

別の日には、夜1時ごろおっさんの咳払い(独特なので認知できる)が聞こえてきて、そこから一時間くらいずっとバスルームで長いゲップを繰り返していた。爆音だし、汚ねえ〜〜〜〜〜

音量と壁の薄さの事情でちゃんと眠れなくなり、連日のことでうんざりした私は、ついにメラトニン5mgを購入したのだった。



うんざりしているのは確かだが、友人の話を聞けば、まあみんなどこもそれぞれ家に問題を抱えている。

サンフランシスコにF-1ビザで滞在するのは結構大変だ。

多様性の街だけど、多分(ずっと暮らしていて職がある人には最高だろうけど)外からやってきた人はみんなそこそこ大変なおもいをしているんだろうな、というのがわかってきた。



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