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時間旅行
宇宙船に乗って旅を続けている。
乗り換えのためだろうか、ターミナルに来ている。
まだ時間があるから、と、そこらを散策することになった。
人の波を縫うように、ただ見て歩く。
と、男の子と女の子に声をかけられた。
男の子のほうには見覚えはなかったが、女の子には妙な懐かしさを感じる。
褐色の肌にブロンドの巻き毛。
誰なのか深く考えもせず、「久しぶり~元気そう!」と言ってしまう。
わたしたちは、ターミナルに停まっている列車に入り、かくれんぼをして遊んだ。
そのときに女の子のほうが「今は時間旅行で過去の姿だけど、本当はもっと大人なんだから」と笑いながら教えてくれた。
さんざん遊んでから、彼らと別れる。
それでもまだ時間があるので、ふと思い立って友人の家を訪ねることにした。
友人夫妻は大喜びで迎えてくれた。
彼女とは10年ぶりくらいの再会だ。いろんな思い出話に盛り上がり、泊めてもらうことになった。
翌朝、ゆっくりと起き出した。これでは講義に遅刻してしまう。
「ふたり一緒に遅刻ってのはマズイから、わたしは今日は休むよ!まこちんは行ってきな!」
友人がやけに爽やかにそう言うので、わたしは彼女の潔さにあらためて惚れ直してしまう。
出かける前にお風呂を借りることにした。
キッチン近くに、水色のタオル地で作られたこども用のお城がある。彼女の手作りだな、と思う。
準備をしてお風呂場へのドアを開くと外界が広がり、あぁ彼女んちは露天風呂だったんだった。。。と思い出す。
旦那さんのほうが「大丈夫~?」と声をかけてくる。
「あの岩は最近モロくなってるから、まこちん気を付けてね」
大きな岩が切り立っている。ところどころ、硫黄の色をしている。
よじ登っていくと、小道のような部分があり、そこへ足をかける。
と、いきなりぐらぐらぐら、、と岩が零れ落ちていった。怖ろしさを抑え、眼下を見ないようにしながら場所を移動する。
そこへ、一組のカップルが向こうからやってきた。
ふたりはキャンピングバッグを担いでいる。
身体の向きを変えて道をあけなくては・・・と思ったとき突然「今は時間旅行で過去の姿だけど」・・」という言葉が蘇る。
女性がわたしを見ながら意味深に笑う。
彼女の、歯をむき出してにかーっと笑う仕草を見て、あぁ。。。!とわかる。
そろそろわたしも自分の時間に戻らなくては・・・と思う。
03/12/2008