遅れる、、、(最近の航空会社事情)
姉3が2日間だけこちらへ来ることになっていて、わたしと入れ違い。
空港でちょっとだけ会う。彼女は何かのセミナーに参加するらしい。相変わらず、怪しい、、、たったの2日間のためにわざわざ、、、と思う。
姉とロッカールームのようなところで落ち合うことになっていた。
ロッカーを開けるとどのロッカーも何かが入っている。使用中?鍵はかかっていないけど、、、と思いながら開けては閉め開けては閉めを繰り返しながら空いてるところを探していると、若い女性からキツイ口調で注意された。注意というより叱咤された。その女性はややふくよかな体型で、髪の毛は金髪と栗色とのメッシュのような感じ、ところどころにビーズを付けて編んでいる。メイクが濃い。
鍵が開いてて・・でも使うつもりはない、と伝えると、言い訳するなという顔をしている。怖。
と、姉が「mー!」と声をかけて来た。「こっちこっちー」
ビーズの彼女に軽く会釈をして、姉のところへ行く。
「何持って来た?」とか言いながらお互いの荷物を見せ合っていると、先の彼女が近づいてきて、ブローチのようなものを見せた。
「これ、あなたに」と言う。
え?売り物?それともくれるの???なんなんだ、と思って困っていると、こっちのほうがいいかも、と、また違うアクセサリーを見せる。それはイヤリングだったが、サイズがデカいのとデザイン的にどうもわたしには、、、という感じ。「あなたに持ってて欲しいのよ、あなたのために」と、言う。何?なんで?と、ビビる。が、姉が「もらっとけばいいじゃん」と軽い口調で言う。「何か意味があるんだよきっと」
ふと、彼女が持っていたアクセサリーの中に、テディベアの型の大きなイヤリングを見つけ、「これがいいかな。。。」と言った。自分に、ではなく、姪っ子のるぅちゃんにあげようかなと思ったのだ。
そこへ、わたしの乗る便の最終案内が流れた。おー急がねば!!
姉は、係員と話をしてこのロッカーを共同で使えるのだと早口で説明し始めた。「10円出してロッカー番号を言えば、係りの人が開けてくれるからね。25番、いや、75番。どっち?75番!!だから鍵は要らんから〜。10円も返してくれるからねーじゃーね〜!!!」
25、いや75、75、と呟きながら、わたしは急いで搭乗口へ向かった。でも10円あったっけ?10円玉は持ってなかったような気がする、、、こっちに戻るときに10円忘れないようにしなくちゃ、、と思う。
大勢の人と一緒にモノレールのような列車に乗り込んだ。中は、ロマンスカーの展望車両のようになっている。座るところがない。なんとなく心許無くなって、持ってきたバッグを胸の前でぎゅっと握った。
男の人から「一緒に座る?君のサイズなら入るでしょ」と声をかけられた。揺れるたびに身体を支えるのに苦労していたので、座ったほうが楽かな・・と思ったけれど、やんわりと断った。彼は、そう、と言って、それ以上は何も言わなかった。
「そろそろ到着します」というアナウンスが流れ、降りる準備をする。他の人々も皆、荷物を揃えたりしていた。降車口から人の流れにのって順番に行くと、降りたところからゴンドラのようなものに乗る仕組みになっていた。ゴンドラ?そんなものに乗るつもりじゃなかったので、慌てる。でも人々はためらうことなく、スーッスーッとゴンドラに乗っていく。一人1台。安全ベルトのようなものが付いている。
わたしの番になって、リズムを狂わせないようにと思いながらゴンドラに飛び乗った。バッグひとつだけにしてて良かった〜とホッとする。が、シートベルトの締め方がわからない。これ、どんな風にするの???周りを見ようとするが、皆、順々に乱れることなく動いていて良く見えない。そうこうしているうちにもわたしのゴンドラは既に動き始めている。しょうがないので、ベルトを無造作に掴んでバッグとともにぎゅーっと握った。
ゴンドラは、大きな構内を結構な速さで進んで行った。足は宙ぶらりんでゆらゆらと揺れる。なんか、怖くない???これ大丈夫なの?周囲を見ると、かなり奥の方まで続いているし、高さもある。でも大勢の人がそれぞれゴンドラに乗って進んでいるので、まぁそういうシステムなんだろうと思う。それにしてもこんな広いんだ、と、驚く。空調が効いていて、寒くも暑くもない。ふと、ずっと前に乗ったスペースマウンテンみたいだな、と思った。そして、まさかジェットコースターみたいに曲がったり回転したりはしないよね、、、と思いながら、もう一度、ぎゅーっとベルトを握りしめた。
到着した場所は、搭乗口近くの待合エリアだった。
係の人が、オーバーブッキングのため、臨時便を手配しています。もうしばらくこちらで待っていただきます、とアナウンスしている。
え?乗れないの???と、不安になる。他の人たちも、ざわざわし出した。なんだよ、どうなってるんだよ。
列車で出会った男性が、Hi!と手を振って近付いてきた。さっきはごめん、一緒に座れたけど、リチャードが急かすから、と言う。意味が良くわからなかったが、座席に座っていれば便に乗り遅れることはなかったらしい。そして、どうやらリチャードはその便に乗れたようだ。なんでこの人は乗らなかったんだろう?と思ったが、聞かなかった。それよりも一体どれくらい遅れるのか?何時間もかかるのか???
「お客さまのお荷物は全てこちらで手配済みです。次の便までもうしばらくお待ちください。」
というアナウンスが流れる。
あぁーあ、ついてないな・・・とがっかりしていると、先の男性がにこやかに言った。
「大丈夫、待ってる間も退屈させないようなイベントを準備してくれてる筈。このエアラインカンパニーは凄いんだ。さっきのジェットコースターもどきも楽しかっただろ?次は何かな?なんだと思う?もっと凄いよ、きっと!」
えええええええ、どーでもいいけど、、、と、心の中で思う。
そして、さっきゴンドラに乗った時点でもう遅れるグループになってたのか、、、と気付く。
必死でベルトを掴んでいた自分を思い出し、なんだか悲しくなった。
あーあ、何時間遅れるんだろう、、、、そればかり考えている。アトラクションなんて、どうでもいい。
02/17/2021