対談日記
昨日は、絵描きの女性と話した。
彼女は家族関係に非常に満足していた。これがある種、彼女のコアだと言える気がした。
ものすごく重要なポイントが「ケンカをしてもなんの仲直りもなく朝おはようと言って元の関係に戻る」という儀礼。
誰が誰とケンカしても、そういう結果になる。
しかし、友達関係ではその儀礼が通用しないことは彼女もよくわかっていて、だからメンヘラプレイはしない。
感情を抑圧して「かまってほしい」という気持ちを抱えて生きている。
しかしそれは、家族との関係の中に戻れば、すべて解消される。
そういう謝罪なしにもとの関係にすぐ戻れるような、気楽な関係、儀礼なきまま近い距離で家族たちと関われる、そういう関係性に彼女はとても安心していた。
だから、わざわざ友達関係をしっかりやろうという気にならず、メンテをおこたり、疎遠になることが多いという。
それは彼氏との関係もそうだった。ちょっと気まずくなってフェードアウトして、放置して終わった。
自分には戻って安心できる場所があるので、他の人たちとの関係はおろそかにしても大丈夫。
他の人たちと一緒にいるのもすごく楽しいんだけど、やはりメンテをする習慣がないから、自然に離れていってしまったりする。
趣味もひとりでやるものばかりだ。
しかし、本当は心の底では、友達関係をちゃんとやりたいと思っている。
でも、やはりめんどくささが勝ってしまう。
また、これは想像だけど、過去に何かそれに関する象徴的な出来事がいくつかあり、人間関係に乗り出してメンテをコツコツやっていくことから逃げて、自分の世界にこもろうとしたキッカケがあったのではないかと思う。
彼女は絵描きで、音楽が好きで、映画も好きだ。
本当は友達と色んなところに出かけるのが好きだ。
でも断られるのがこわくて、普段のコミュニケーションで傷つけられるのもこわい。
彼女がそう言ったのはほんの一瞬の出来事で、あまり直接的でない言葉によってそれを表現していたように記憶している。
たぶんここらへんに何か引っかかりがある。
通話アプリで話したんだけど、さいしょ彼女は、僕に対して異様に警戒していた。
質問をすると「質問をしたいならまず自分から答えよ」的なことを言っていて、僕の知っているコミュニケーションとはだいぶちがった。
しかし、話していくとすんなりいろんなことに答えるようになり、最終的にそれなりによく話すようになった。
単純にインターネットでの人間関係に不慣れであるということ、家族というホームベースで思考停止しているのが心地よいからネットでの人間関係・開示できる情報について考えがないこと、そしてそもそも友達関係を得意としておらず僕に対してもそらが発動し「おそるおそる近づいていく」というようなコミュニケーションになったということ。
そうやって他人に傷つけられないように不器用に立ち回っているように見えた。
これもまた想像でしかないんだけど、やはり、何かどこかで人間関係においてつらいことがあったんだろうなと思ってしまう。
家族が徐々にすり減ってなくなるまえに、その過去にアクセスして、うまくひもとければ、納得して人間関係をやっていけるのかもしれない。
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