
Photo by
maki_memo
カミングアウトコンビニ
「お待ちのお客様どうぞ!」
いつもの店員さんのトーンが嬉しい。
「昨日、嘘つきました。カルピスは嫌いでファンタ派なんです。会話の流れを止めるのが嫌で…つい」
「お会計は300円になります」
これで今日も晴れやかだ。いつでもどこでも、カミングアウト。
この手軽さが人気。お金を払えば罪悪感は消えていく。
「ね、サキちゃんって好きな人いる?私、サトシのこと好きなんだよね、幼馴染でしょ?協力して!お願い!!」
ある日放課後の帰り道、ユナにこう言われた。
わたしだって好き。だから協力できない。そう言うべきだったのに。
次の朝、すぐにあのコンビニへ駆け込む。
「…というウソをついてしまいました」
「はい。これ」
店員さんは、私にファンタを差し出す。
「え?会計は?」
「そのウソは、今日嘘じゃなくなるから。大丈夫。そのまま話せばきっと伝わる。わかってくれるよ」
「ありがとうございました」
店員さんとわたしの声が重なって、笑う。
頑張れ、私。
いいなと思ったら応援しよう!
