![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/85025298/rectangle_large_type_2_db08171308db2a0715a1bdd74238a617.png?width=1200)
Photo by
air_mezzanine
初めての鬼
初めての鬼役を任された。
恵方巻きをたべ、ビールを飲みほろ酔いの中、そろそろかと初めての鬼の準備する。
仕事が忙しくて、家事も育児も任せきり。妻の機嫌は毎日すこぶる悪かったが、節分が近づくにつれ、笑う姿を見かけるようになった。
子どもも歩くようになり育児に余裕で出たのかもしれない。
家族は最高だ。何もしなくても俺を受け入れてくれる。
鬼の仮面をかぶり、一旦外にでた。再び入ろうとすると鍵がかかる音がカチャリと聞こえた。
なんの冗談だよ。思いインターホンを鳴らす。鬼の顔が広がったのか息子が大泣きしている。
「鬼は、中には入れられないのよ」
妻はなぜ笑っているんだ!?
下を向くと足からみるみる赤くなり、津波のようにじわじわと身体を侵食した。
パニックになり頭を掻きむしると、固いものにあたる。まさか。
俺は鬼になってしまった。悪いことなど何もしてないのに。
そうか…何もしなかったから鬼になったのか。
時は令和。涙だけは、透明だった。
いいなと思ったら応援しよう!
![だら子](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/63704668/profile_2bb2ccfe1d5c4e779df39843a9bde930.png?width=600&crop=1:1,smart)