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shinsukesugie
伝説の安心感【毎週ショートショートnote】
「身体が勝手に反応しちまうもんだな」
漁港に似合わない白いスーツを着たかつての仲間がそこにいた。
「ここの海老は本当に旨いな」
2人でしばらく海を見つめた。
「…地元漁師か。まあ、そのぐらい周囲に溶け込める技量があるってわけか」
「なぁ。帰ってくれ。騒ぎになってみんなに迷惑かけたくないんだ」
「たくさんの魚を見ていれば、昔を思いだすこともあったんじゃないか?世界には、泳がせちゃいけない悪い魚がたくさんいるってことを。そろそろ戻らないか。こっちの世界に。おまえさんのワークマンベスト脱いで伝説の安心感を着たwork manにならないか」
伝説の安心感。
かつて先輩から安心感を引き継いだ。
俺がいれば最悪の事態にはならない。
テロは、この身体で小さな小さな事件に変える。
この暮らしが気に入っていたのに。
拡散されちまったか。
「おまえが必要だ。今度は魚ではなく悪と対峙してくれないか」
「どこだ?」
「タコスが旨いとこだよ」
漁師は静かに微笑んだ。
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