面目を一新させる秋の味覚/9月のエッセイ
「料理は女性がするもの」という考えは現代に置いてとても古い。それでも、パートナーに食事を作って欲しいと思う男性は多いのだとか。女性が作る料理は愛情表現。なんて、本気で思っている人もまだまだいるらしい。確かに手間を掛けて一生懸命作ってくれた手料理は、親元を離れて生活している人にとって性別関係なく嬉しいもの。そうなるのもやむなしかと思う。
だからって女性は生まれつき料理が出来る訳じゃあない。自炊が苦手な女性に対して、人前では言えないような本音を持っている人がこれを読んでいるのならその人たちに言いたい。その気持ちはそのまま心に閉まっておいて欲しい。絶対にだ。
私は昔からよく、料理がが下手そう認定をされてしまう。異性同性関係なく親や兄弟に至るまで、味噌汁は作れるのか目玉焼きは焼けるのかと疑いをかけられる。一体私のどこを見て判断しているのだろうか、外見?行動?
悲しい事にお米を洗剤で洗っていそう〜笑 などと遠慮なく言い放たれた事だってある。いくら何でもそれは酷いと思いながらも、よっぽどな見た目をしているのだなと肩を落としていた。そのような疑惑をかけた人たちの期待を今日、へし折りたいと思っている。
そんな事を平気で言うあなたより、上手く作れる自信があるのだ。なぜなら、、
我が家で作る食事は、彩りや栄養バランスの採れた家庭の料理を心掛けているし、土井善晴先生がテレビに登場すると分かると夫婦で揃って番組を楽しむ。
それに加えて独身時代、実家生活で台所に立つ母の後ろ姿を何年も見つめていたってのがある。母の手料理は料理本に忠実ながら、薄くもなく濃くもなく良い塩梅。時折、横に立っては料理番組のアシスタント役のように主食の添え物を準備した。そういった日常は私にとってちょっとしたお料理教室。自然と家庭の料理はこうするものと身に付いた。
そんな母ちゃんの背中を見て育った私は満を持して、疑いの目を掛けた友人を自宅へ呼ぶ。堂々たる態度で料理を振る舞うと「美味しくてびっくりした」の感想を貰う。満足だ。すこぶる満足なのだ。ただその言葉、私には「たいへん失礼致しました」に聞こえるのだけど。
この先も見た目で判断する者が現れたら、この一言を引き出したい。見た目差別はもう受けたくないんだ。その為に食への探求と、味覚磨きは今秋も怠るつもりはない。みくびらないでー!笑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?