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フェイクフェイス・マスク

街行く人の九分九厘が美男美女に見える。

マスクをつけているからだ。

目元が強調され、小顔効果も相まって魅力的に映るらしい。

少し前までは、素顔を晒して外に出るのが当たり前だった。それが今や、人前でマスクを外すことにかなりの抵抗がある人もいるのではないだろうか。

僕は、まだ素顔を知らない人がマスクを外す瞬間、視界がスローモーションになる。そして、脳内で『ナニコレ珍百景』のメロディーが流れる。

美人だな、イケメンだなと感じていても、マスクを外したら残念なケースがよくある。”最後の1本の線香花火に点火したけど、2秒で落ちてもた”ぐらいよくある。見知らぬ人の素顔を勝手に想像し、勝手に落胆する。

相手からしたら迷惑でしかないし、ワケわからん。一文字も読まず、”同意する”にチェックを入れてまう契約画面ぐらいワケわからん。

僕も人のことは言えない。エラが張った四角い顔をしている。マスクを外すと顔がバカでけぇ。素顔は見られたくねぇ。

マリオのドッスンに酷似している。皆、僕の素顔を見ると、下をくぐり抜けるorジャンプで飛び越えるの二択に悩んで立ち止まる。


そんなことはさておき、マスクを外してガッカリされるのは、ハードルが上がりすぎるせいだ。人は、自分が見えていない世界に根拠のない希望を抱いてしまう。

ならば、最初から隠さなければよいのだ。

この駄文を読んでいる皆さんは、ダイニングに集まってください。

謎はすべて解けた。


”隠さなければよい“は、マスクを付けるなというわけではない。

マスクを装着した状態で、素顔を露わにするのだ。

具体的にいうと、不織布マスクに自分の顔をプリントするのだ。

そうすれば、初対面から“ウチこんな顔してますねん”を相手に発信できる。

この方法なら、過度な期待感を抱かれない。

リアルさを追求するのであれば、自分の顔をスキャンして3Dプリンターで造形すればよい。

目鼻立ちの凹凸を忠実に再現し、不織布マスクに取り付ければ完成する。

各々が自分の”フェイクフェイス”を装着して出歩けば、昨今の世に蔓延るガッカリ現象は終息に向かうはずだ。


ガッカリ現象を逆手に取るなら、フェイクフェイスに鼻水やヨダレを書き足すのもアリだ。

本来の顔より奇天烈に仕上げれば、むしろハードルはダダ下がる。

いざという時の『ナニコレ珍百景』が鳴り終わる頃には聴衆から歓声が上がっているに違いない。

どこかのメーカーさん、本気で『フェイクフェイス・マスク』を作ってくれへんやろか?

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