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金属の質感をリアルに表現するデッサンや鉛筆画テクニック!

 どうも。プロ鉛筆画家の中山眞治です。ここ連日の猛暑に、なかなか身体がついていきませんね。元気でお過ごしですか?^^
 
 さて、デッサンにおいて金属を描くことは、その反射や質感をリアルに表現するための高度な技術を必要とします。

 しかし、適切な方法とコツを身につければ、初心者でもプロフェッショナルのような作品を描くことができます。
 
 この記事では、美しい金属デッサンの基本的な技術から上級者向けのテクニックまで、段階を追って解説します。
 
 金属の質感や反射を、鉛筆デッサンや鉛筆画で、リアルに表現するためのコツやアイデア、そして魅力的な作品を生み出すためのインスピレーションもご提供します。
 
 それでは、早速見ていきましょう!

1 金属デッサンの基礎知識とツールの選び方


ステンレス製の両手鍋と片手鍋の画像です

 金属をリアルに描くデッサンは、光の反射や陰影を正確に捉えることが求められます。本章では、金属デッサンの基礎知識と適切なツール選び方について解説します。 

(1) 金属デッサンの基礎知識


ステンレス製コーヒーポットの画像です

 金属をデッサンする際には、その特有な質感と光の反射を正確に表現することが重要です。

 金属の表面は、滑らかで光を反射するため、明暗のコントラスト(明暗差)が強くなります。この特性を捉えるためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 光の反射: 金属は光を強く反射します。光源の位置と反射のパターンをよく観察し、適切に描写します。

  • 陰影の付け方: 金属の陰影は、他の素材と比べて鋭くて明確です。濃淡をつける際は、鋭い境界線を意識して描きます。

  • ハイライト: 金属の表面に現れるハイライトは、質感を表現するために欠かせません。練り消しゴムを使って、ハイライト部分を丹念に拭き取ることが必要です。


(2) ツールの選び方


ステンレス製タンブラーの画像です

 金属デッサンには、適切なツールを選ぶことが成功の鍵となります。以下のツールを揃えることで、よりリアルな表現が可能になります。

  • 鉛筆: 濃淡を表現するために、硬度の異なる鉛筆を揃えましょう。当初は、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本あれば当面の制作ができます。

  • 制作画面: スケッチブックやデッサン用の紙を選ぶと、金属の質感を表現しやすくなります。

  • 消しゴム: 細密な消し込みができる消しゴムとして、練り消しゴムは、ハイライトや微調整及び特殊な描き方に威力を発揮します。また、食い込んだ鉛筆跡を消すためには、プラスチック消しゴムが向いています。

  • ブレンディングツール: 擦筆及び綿棒または、代用としてティッシュペーパーや指で擦ることにより、滑らかなグラデーションが作れます。

詳しくは、次の各種関連記事を参照してください。


(3) 金属デッサンの具体的なステップ


出典画像:東京武蔵野美術学院・監修 鉛筆デッサン 石原崇 氏
  •  スケッチの準備: 最初に、金属モチーフの輪郭を軽くスケッチします。この段階では、細部にこだわらず、全体の位置・形・大きさ・バランスに注意して描きます。

  • 光源の設定: 光源の位置を決め、光の当たる部分と影になる部分を明確にします。光の方向に注意しながら、明暗の配置を確認します。

  • ハイライトの追加: 練り消しゴムで、金属の表面にハイライトを入れます。この工程で、金属の質感がリアルに表現されます。

  • 詳細の描き込み: 最後に、細部を描き込みます。反射光や細かい質感を丁寧に描くことで、金属のリアルさが増します。

  • 金属デッサンは、繰り返しの練習と観察力が求められる分野です。適切なツールと技術を駆使して、リアルな金属の質感を表現しましょう。 

※ 上の資料の中の金属の部分の文字が小さくて読めないようなので、ここに記します。「明暗の変化が極端なので、硬い鉛筆(2H・H)と柔らかい鉛筆(4B)を使い分け、シャープなハイライトと周囲の映り込みを描き込むことがコツ」と書いてあります。

2 金属の反射と陰影をリアルに表現する方法


第1回個展出品作品 反射 1996 F10 鉛筆画 中山眞治


  金属をデッサンする際に最も難しいのは、その特有の反射と陰影をリアルに表現することです。

 本章では、金属の反射と陰影をリアルに描くための具体的な方法と技術について解説します。 

(1) 金属の反射を捉えるコツ


 金属の表面は、非常に滑らかで光を強く反射します。この反射を正確に描くためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 観察力を高める: 光源の位置と金属表面の形状をよく観察し、どこにどのような反射が現れているかを観察します。反射光は光源の形状や周囲の環境に大きく影響されるため、注意深く観察することが重要です。

  • ハイライトの位置: 金属の反射の特徴であるハイライトは、強い光が直接当たる部分に現れます。ハイライトを正確に描くことで、金属のリアルさが際立ちます。ハイライト部分は練り消しゴムで描き込みます。

  • 反射の描き分け: 金属の表面には、主光源の反射だけでなく、周囲の物体や背景の反射も現れます。これらの異なる反射を描き分けることで、よりリアルな表現が可能になります。


(2) 陰影をリアルに描く技術

ステンレス製ベアリングの画像です

 金属の陰影は、その質感を表現する上で欠かせない要素です。以下の方法を使って、リアルな陰影を描きましょう。

  • 鋭い境界線: 金属の陰影は、他の素材に比べて鋭くて明確です。境界線をはっきりと描き、明暗のコントラスト(明暗差)を強調します。

  • グラデーション(階調)のコントロール: 滑らかな金属表面では、光から影への移行が急激です。鉛筆の濃淡を巧みに使い分け、滑らかなグラデーションを作り出します。

  • 二次反射光の描写: 金属は光を反射するだけでなく、反射した光が再び金属表面に当たる二次反射も発生します。この二次反射光を描くことで、金属の質感がさらにリアルに表現できます。


(3) 実践的な金属デッサンの手順


  •  スケッチの準備: 金属モチーフの基本的な輪郭を描きます。この段階では細部にこだわらず、大まかな位置・形状・大きさ・バランスを捉えます。

  • 光源の設定: 光源の位置を決め、光の当たる部分と影になる部分をはっきりと区別します。これにより、反射と陰影の配置が明確になります。

  • ハイライトの追加: 練り消しゴムを使って、金属表面のハイライトを入れます。強い反射光を表現することで、金属の質感がリアルに見えます。

  • 陰影の描き込み: 濃淡をつけながら、鋭い境界線を描いて陰影を表現します。特に、二次反射光を意識して描くことで、立体感が増します。


3 初心者が陥りがちな金属デッサンのミスとその対策


ステンレス球体の画像です


 金属デッサンは、独特の質感や反射をリアルに表現するために高い技術が求められますが、初心者が陥りがちなミスとその対策を理解することで、より正確で魅力的な作品を描くことに結び付けられます。 

(1) 光の反射を誤解する

ステンレス製ドリップポットの画像です


 ミス: 初心者の人は、金属の光の反射を過度に単純化して描いてしまいがちです。光源を一方向だけから捉え、反射の複雑なパターンを無視してしまうことがあります。
 
対策: 光源の位置と周囲の環境をよく観察し、複数の反射光を捉えるようにしましょう。光が金属に当たると、主光源だけでなく、周囲の物体や背景からの反射及び、映り込みも描き込むことでリアルさが増します。

 下の作品のヤカンへの映り込みなどが該当します。

第1回個展出品作品 静物Ⅰ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治

(2) ハイライトの位置を間違える

ステンレス製ドリップポットの画像です

ミス: ハイライトの位置を誤って配置すると、金属の質感が不自然になってしまいます。特に、ハイライトが実際の光源と一致しないと違和感が生じます。
 
対策: 光源の位置を正確に把握して、ハイライトがどこに現れているかを確認します。

 練り消しゴムを使って、強調したい部分にハイライトを入れると効果的です。ハイライトの位置が正確であることが、リアルな金属描写に直結します。
 

(3) 陰影のコントラストが不足する


ステンレス製寸胴の画像です

ミス: 初心者の人は、金属の陰影を描く際に、コントラスト(明暗差)を控えめにしてしまうことがあります。その結果、金属の立体感や質感が弱くなってしまいます。
 
対策: 陰影を描く際には、明暗のコントラスト(明暗差)をはっきりとつけることを意識しましょう。

 特に、金属の特性上、鋭い境界線と強い陰影が重要です。濃い鉛筆を使って、しっかりと陰影をつけましょう。 

(4) ディテールの描き込み不足


ステンレス製のクリーム絞り器の先端部品画像です


 ミス: 金属の細かなディテール(詳細)を描かずに、大まかな形状だけを捉えて描き進んでしまうと、表現が平面的になってしまいます。

対策: 金属の質感や表面の微細な変化をよく観察し、細部まで丁寧に描き込みます。特に、傷や汚れなどのディテールが加わると、金属のリアルさが際立ちます。 

(5) 描き込み過ぎてリアルさを損なう

ステンレス製コーヒーポットの画像です


 ミス: 細部にこだわりすぎて、描き込み過ぎると、全体のバランスを崩したり、自然な質感を損なってしまうこともあります。

対策: 全体のバランスを意識して、必要なディテール(詳細)を的確に配置することが重要です。過度に描き込みすぎず、適度な省略も取り入れることで、自然な質感を保てます。 

 上の画像では、蓋の周囲や底面に細かい「ギザギザの細工」がありますが、初心者の人は、このような部分は省略して描き進みましょう。

4 上級者向けの金属デッサンテクニックと練習法


ステンレス製部品の画像です


  本章では、金属デッサンを、さらに高いレベルに引き上げたい上級者向けに、鉛筆デッサン及び鉛筆画の高度なテクニックと練習法を紹介します。

 これらの方法を習得することで、金属のリアルさや質感を一層深く表現することができます。 

(1) 多層的な反射の描写


 テクニック: 金属は多層的な反射を持つため、表面だけでなく内部の反射や屈折も考慮します。例えば、光が金属表面で反射した後、周囲の物体に再び反射することで生じる複雑な反射パターンを描きます。

 練習法: 異なる角度からの光を設定し、複数の光源を使って金属モチーフを観察します。

 その後、異なる光源がどのように反射し合うかを鉛筆でデッサンします。これにより、より複雑でリアルな反射描写が可能になります。

蕨市教育委員会教育長賞 灯(あかり)の点(とも)る静物 2000 F30 鉛筆画 中山眞治


(2) 質感のディテールを極める


テクニック: 金属の質感を極めるためには、表面の微細なディテール(詳細)を正確に描く必要があります。金属の傷や汚れ、表面の微細な凹凸などを詳細に描写することで、リアルさが向上します。 

練習法: 金属モチーフの表面を拡大して観察し、見える限りの細部を鉛筆で描き込みます。

 特に、金属の使用感や経年変化を表現する練習も行います。細密なディテールを描くためには、硬度の異なる鉛筆を使い分けます。

(3) グラデーションのコントロール

 
テクニック: 金属の質感をリアルに表現するためには、滑らかなグラデーション(階調)を作り出す技術が重要です。光から影への移行を自然に描くことで、金属の立体感を強調できます。

練習法: さまざまな硬度の鉛筆を使い、滑らかなグラデーションを描く練習をします。

 鉛筆の角度や圧力を調整しながら、均一な濃淡を作り出します。特に、光の反射部分から影への移行を滑らかに描くことを意識します。
 

(4) 鋭い境界線の描写

 
テクニック: 金属の特徴である、鋭い境界線を正確に描くことは、リアルな表現に不可欠です。明暗の境界をはっきりと描き、コントラスト(階調)を強調します。

練習法: 鉛筆の芯を鋭く保ち、細かい線を正確に描く練習を行います。エッジ(縁)の部分を際立たせるために、H系統の硬い鉛筆を使用して鋭いラインを描きます。

 境界線を描く際には、手元の安定性を保つために、画面上に不要な紙を置いて、そこへ「鉛筆を握った手」を置けば安定して制作を続けられます。

 ただし、その場合には、紙はできるだけずらさないようにして使いましょう。鉛筆がこすれてしまうからです。移動する時には、擦らずに「そっと外し」て、「フワット置く」ようにしましょう。

 尚、濃いトーンを構成する部分の描き方では、縦横斜めの4方向からの描き込み(クロスハッチング)をすることによって、スムーズに濃いトーンを入れられます。

 この場合、描きにくい方向の線がある場合には、スケッチブックや紙の方を動かせば、問題なく描き込んでいけます。
 

(5) 光源と環境の影響を考慮する

 
テクニック: 金属の反射は光源とその周囲の環境に大きく影響されます。光源の強さや角度、周囲の物体の影響を考慮した描写が求められます。 

練習法: さまざまな環境下で金属モチーフを観察し、光源や周囲の物体の影響を鉛筆でデッサンします。

 例えば、自然光や人工光、異なる時間帯や照明条件での金属の見え方を描くことで、反射の変化を理解し、表現する練習を行います。
 

5 金属デッサンのインスピレーション:魅力的なアイデアと実例

 

ステンレス製ナットの画像です


 金属デッサンは、その反射や質感をリアルに表現することで、多くの魅力を持つテーマです。

 本章では、鉛筆を用いた金属デッサンのインスピレーション(ひらめき)となるアイデアと実例を紹介します。 

 これらの例を通じて、あなたのデッサン作品に新たな視点や技術を取り入れることができるでしょう。
 

(1) 日常の金属製品を題材に

 

ステンレス製のナイフとフォークの画像です


アイデア: 家の中にある金属製品は、デッサンの題材として非常に魅力的です。例えば、キッチンのカトラリー(※)、コーヒーポット、工具などは、それぞれ異なる形状や質感を持ちます。 

実例: スプーンやフォークなどのカトラリーは、シンプルながらも光の反射が美しく、陰影の練習に最適です。また、工具はその複雑な形状と使用感のある質感が、デッサンに深みを与えます。

 これらの日常的な金属製品を題材にすることで、身近なアイテムの新しい側面を発見できます。

※ カトラリーとは、食卓で使うナイフ及びフォークやスプーンなどの総称です。
 

(2) アンティークやヴィンテージの金属アイテム

 
アイデア: アンティーク(古美術品)やヴィンテージ(年代物)の金属アイテムは、歴史を感じさせる独特の魅力があります。錆びや傷、使用感など、現代の金属製品にはない特徴が、デッサンの題材として非常に興味深いものです。 

実例: 古い鍵や時計、ジュエリーボックスなどは、細部まで描き込む楽しさがあります。
 
 特に、錆びた部分や微細な装飾が施された表面は、リアルな質感を表現する絶好の機会です。アンティークアイテムを描くことで、作品に歴史的な深みと物語性を加えることができます。

 ただし、初心者の人は、複雑な形並びに細かい細工及び模様や柄に取り組んではいけません。挫折の原因になってしまうからです。描くことにある程度慣れてから挑戦しましょう。^^

(3) 工業製品や機械部品


アイデア: 工業製品や機械部品は、金属の質感を描く上で非常に興味深い題材です。その精密さと構造的な美しさは、デッサンにおいて挑戦しがいがあります。

実例: 歯車やエンジンパーツなどの機械部品は、複雑な形状と多くの反射面を持ちます。これらを描くことで、金属の硬質な質感やシャープなエッジをリアルに表現できます。

 また、工場の風景や、機械の一部を切り取って描くことで、産業的な美しさを作品に取り入れることができます。

 しかし、これらのことも、描くことにある程度慣れてから取り掛かりましょう。^^
 

(4) 自然と金属の融合

 
アイデア: 自然の中にある金属アイテムを描くことで、異なる素材の対比を楽しむことができます。例えば、古びた鉄柵や錆びた金属の置物などは、自然の要素と調和した美しさがあります。 

実例: 公園や庭にある古い金属のベンチやフェンスは、自然の植物や風景と融合して独特の雰囲気を醸し出します。これらを描くことで、金属の冷たさと自然の温かさのコントラスト(明暗差)を表現できます。
 

(5) アート作品としての金属

 
アイデア: 金属そのものを、アート作品として捉えることも一つの方法です。金属彫刻やインスタレーション(※)作品を題材にすることで、芸術的な視点から金属の美しさを探求できます。 

実例: 有名な金属彫刻作品や現代アートのインスタレーションを模写することで、金属の新しい表現方法を学ぶことができます。

 特に、鉛筆を使って金属の質感や反射を描くことで、彫刻の立体感や存在感をリアルに再現することができます。

※ インスタレーション とは、 ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿って空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術のことです。

6 練習方法


(1) あなたの視点次第で何でもモチーフになります


 あなたの、 身の回りにある日常的な物を題材にすることは、新しい視点で捉える訓練になります。

 例えば、家の中にある調理器具・ナイフ及びフォークやスプーン・ステンレスボトル・カラン(蛇口)などいろいろあります。

 そして、金属以外にも、野菜・果物・家具など、日々異なる物を選んで描くことで、多様な形状や質感に慣れ親しむことができます。

(2) 短時間でも毎日続けることで上達に結びつきます


 これらのアプローチは、短時間でも集中して取り組むことで、ステップアップするための確実な方法になります。

 毎日の積み重ねが、デッサンスキルを着実に成長させることを忘れずに、練習を続けていきましょう。

 当たり前ですが、毎日のわずかな時間であっても「完全に集中できる時間」を作って、毎回完結できるクロッキーやジェスチャードローイングでもいいのですが、続けていくことで確実に上達できます。

(3) デッサンや鉛筆画に取り組むたくさんのメリット


 あるいは、一つの作品を毎日コツコツと制作を続けていくのでも良いでしょう。成果は必ず現れます。そして、週に一度は充分な時間を取って制作に集中しましょう。

 鉛筆デッサンや鉛筆画による効果は、ストレス解消・心の安定・創造力を高める・脳機能の老化の予防に効果的・老後の生き甲斐になるなど、メリットが盛り沢山です。

 この部分での関連記事には、次のようなものがあります。参照してみてください。

関連記事:

参考:クロッキーとは?クロッキーのやり方・描き方コツを解説 - イラスト・漫画(マンガ)教室 egaco(エガコ) (smiles55.jp)

参考:


7 モチベーションを保つ方法


(1) 最初に取り組む際の注意点


 ここが一番重要なのですが、制作を開始した当初は、「構図」だの「構成」だの「構想を練る」だのと、色々考えないで「楽しんで描くことが一番重要」であることを記憶しておきましょう。

 そのためにも、あなたが楽しんで描くことに集中できて、5作品ほど制作して「描くことにある程度慣れる」ことが必要です。
 
 そして、この場合には、できるだけ「複雑な形及び模様や柄」のあるモチーフは選ばないことです。「修行状態」になってしまい、挫折してしまうからです。複雑な咲き姿の花もそうですよ。覚えていてくださいね。^^

(2) 最初に学ぶべきは光と影の状態を観察すること 


 デッサンや鉛筆画の制作では、絵画教室へ行っているのであれば、石膏モチーフの各種(立方体・三角錐・球体など)で、しっかり練習しましょう。

 自宅で取り組む場合には、白い卵・白無地のカップ&ソーサー・白いマグカップなどがオススメです。 

(3) 上達の秘訣


  そして、難易度を徐々に引き上げるようにして、静物(花を含む)・人物・動物・風景へと順番に、繰り返し取り組んでいくことで、上達していけます。
 
 花を描く際には、咲き姿のシンプルな白いチューリップや白いコスモスの「造花」から始めましょう。花はすぐにしおれてしまうからです。
 
 または、画像を参考にして描くのも良いのですが、「造花」といえども「実物」に取り組む意味は大きいものです。微妙な陰影を観察して、制作に取り込むことで、リアリティー(現実性)が増すからです。
 

(4) 各種展覧会や公募展で入選以上を目指す際の「核心」


  そして、やがてあなたが、「5作品ほど描いて」描くこと慣れてきた段階で、「描く以上は各種展覧会や公募展にも出品したい」と考えるならば、より一層画面構成を引き立てられる考察が必要になります。
 
 そこで、「構図」を研究し始めることや、描く以前の充分な「構想を練る」ことも必要になりますので、その際にはこの記事の最終部分に掲載しています2つの関連記事を参照してください。
 

8 金属デッサンのまとめ

 

第2回個展出品作品 モアイのある静物 2000 F50 鉛筆画 中山眞治


 金属デッサンは、光の反射や陰影を正確に捉えることで、リアルな質感を表現できる高度な技術です。

 このまとめでは、初心者から上級者までが参考にできる金属デッサンの基本技術とインスピレーション(ひらめき)、練習法について解説します。

(1) 金属デッサンの基本知識と道具の選び方

 
光の反射: 金属は光を強く反射します。光源の位置と反射のパターンを観察し、正確に描写します。

陰影の付け方: 金属の陰影は鋭くて明確です。境界線を意識して濃淡をつけます。

ハイライト: 金属の表面に現れるハイライトを練り消しゴムで表現します。
 

(2) 道具選び:


鉛筆:
H系統からB系統までの硬度を揃えます。制作当初は、2H・H・HB・B・2B・3B・4Bの7本あれば、当面の制作ができます。

制作画面: スケッチブックや紙は、中目程度の紙肌の製品を選びましょう。

消しゴム: 練り消しゴムやプラスチック消しゴムを使用します。

ブレンディングツール: 擦筆や綿棒、あるいは代用品としてティッシュペーパーや指で擦って同じ効果を出すこともできます。

 (3) 金属の反射と陰影をリアルに表現する方法


多層的な反射:
光源と周囲の環境をよく観察し、複数の反射光を捉えます。

鋭い境界線: 金属の陰影は他の素材に比べて鋭いです。濃淡のコントラスト(明暗差)を強調します。

二次反射光: 金属の二次反射光を描き、立体感を増します。
 

(4) 初心者が陥りがちな金属デッサンのミスとその対策

 
光の反射を誤解する: 複数の光源からの反射を捉えます。

ハイライトの位置を間違える: 光源の位置を正確に把握し、ハイライトを適切に配置します。

陰影のコントラストが不足する: 明暗のコントラスト(明暗差)をはっきりとつけます。

ディテール(詳細)の描き込み不足: 金属の細かな質感を詳細に描き込みます。
 

(5) 上級者向けの金属デッサンテクニックと練習法

 
多層的な反射の描写: 異なる光源がどのように反射し合うかを描きます。

質感のディテールを極める: 金属の傷や汚れを詳細に描写します。

グラデーションのコントロール: 滑らかなグラデーションを作り出します。

鋭い境界線の描写: 鉛筆の芯を鋭く保ち、細かい線を正確に描きます。

光源と環境の影響を考慮する: さまざまな環境下で、金属モチーフを観察し描写します。

(6) 金属デッサンのインスピレーション

 
日常の金属製品: スプーンやフォーク、工具など。

アンティーク(古美術品)やヴィンテージ(年代物)の金属アイテム: 錆びた鍵や古い時計。

工業製品や機械部品: 歯車やエンジンパーツ。

自然と金属の融合: 古びた鉄柵や金属の置物。

アート作品としての金属: 金属彫刻やインスタレーション作品。

 
 金属デッサンは、その複雑な反射や質感をリアルに描くことで、魅力的な作品を生み出すことができます。

 基本的な技術から上級者向けのテクニック、そしてインスピレーション(ひらめき)の源を理解し、練習を重ねることで、より高度なデッサン技術を習得しましょう。 


 ではまた!あなたの未来を応援しています。

 

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中山眞治
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