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紀州のドン・ファン事件:元妻の無罪判決の背景

紀州のドンファンと呼ばれた資産家、野崎幸助さんの殺害事件において、元妻の須藤早貴さんが無罪判決を受けた背景には、いくつかの重要な要因があります。

事件の概要と裁判の経緯

2018年5月、和歌山県田辺市の資産家である野崎幸助さんが急性覚醒剤中毒で死亡しました。須藤早貴さんは、野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させたとして2021年に逮捕・起訴されました135。裁判では、野崎さんが殺害されたかどうか、そして殺害された場合に須藤さんが犯人であるかどうかが争点となりました。検察側は、遺産目当てで須藤さんが犯行に及んだと主張し、無期懲役を求刑しました。

無罪判決の理由

  1. 直接証拠の欠如: 裁判所は、須藤さんと犯行を結びつける直接的な証拠がないことを指摘しました。検察側の立証では、元妻が殺害したと認められないと判断されました。

  2. 合理的疑いの存在: 福島裁判長は、「野崎さんが覚醒剤を誤って過剰摂取したことがないとは言い切れない」とし、被告が殺害したとするには合理的疑いが残ると指摘しました。野崎さん自身が覚醒剤を摂取した可能性も否定できないとされました。

  3. 動機と状況証拠の不十分さ: 検察側は遺産目当てでの犯行を主張しましたが、弁護側は「野崎さんが自ら覚醒剤を飲んだ可能性」を示唆し、動機だけでは有罪とするには不十分であると反論しました。また、事件当時に野崎さんが予定していた活動(愛犬のお別れ会や通院)があったことから、自殺や誤飲の可能性も考慮されました。

これらの理由から、和歌山地方裁判所は須藤早貴さんに無罪を言い渡しました。検察側の主張には合理的な疑いが残り、決定的な証拠が不足していることが判決に影響を与えたと考えられます。


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