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経済的自立(FI)とはどういう状態か
FIREの前半部分FI(Financial Independence)=経済的自立とはどういう状態か。それは「働かなくても自分たちが想定している生活が送れるお金の見通しが立っている状態」と言い換えることができる。
例えば日本の一般的な家庭で考えると、持ち家があり2億あればこの先働かずとも平均的な生活で生きていけそうだとなんとなく想像がつくだろう。つまり直感的には2億貯めれば上がりなのだが、現実問題として日本人の平均生涯年収が2億~3億ということを考えると実際には2億貯めることの難しさも併せてイメージできるだろう。平均的な所得の日本人のサラリーマンにとって労働だけで2億円を貯めるというのは一生お金を何にも使わず、税金も払わず、すべて貯めたときにやっとたどり着けるかというくらい果てしないものだ。
つまり従来の日本においては例えば2億円など十分な生活資金を貯めて上がりを目指すのは極めて難しかった。代わりにどうしていたかというと60歳の定年で退職金をもらいその後は年金で生活しながら退職金で補っていく、定年経済的自立(FIR60とでも言おうか)を達成するというのが一般的だった。つまり60歳までがんばって働いて生き延びれば家さえあれば、それまでの備えがゼロでも基本的には大丈夫な制度設計になっていた。おそらく今の70代後半以上の世代が経験している所謂、悠々自適な老後ってやつだ。つまり以前は一般的な企業に長く勤めていたら60歳ではFI(経済的自立)状態がやってきたわけだ。
ただ、今の日本ではその神話が崩れてしまった。その理由は①退職金が少ないorない②年金が少ない③生活コストが増えた(円安、インフレetc)以上の3つだ。上記を背景に「貯金ゼロで定年を迎えては厳しいですよ。」「老後に備えて2000万貯めてください。」と突然謳われだし「老後2000万問題」と騒がれはじめた。
ここで大切なのは何らかの備えをもって老後を迎えないと厳しい生活が待っているということなのだが、それはつまりいつかは誰でもFI(経済的自立)状態を目指す必要があるということである。
繰り返すが、FIREをしたい人だけが経済的自立を目指すわけではなく、年金制度が破綻して円安に向かう現在の日本においては全員がいつか何らかのカタチでFI(経済的自立)を目指す必要があるということを肝に銘じておくべきだ。