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小説投稿20年、現在57敗中…(⑧年齢で落とされるのか)


年齢で落とされるのか

――小説投稿で連敗が続くのは、やっぱり年齢なのかもしれない。

 すでにアラフィフになっていた私は、そんな疑念を抱きつつ燻(くすぶ)っていました。

「年齢は関係ないでしょう。黒田夏子さんは75才で、若竹千佐子さんは63才で、芥川賞を受賞したのよ」

 そう励ましてくれた友人がいました。
 確かに、60代、70代で受賞する人もいます。「でもそれはごく少数で、さらに稀だからこそ、メディアで大きく取り上げられるんじゃないの」と、口には出さず曖昧に笑っていました。

 じゃあ、実際のところ、どうなのだろう?

 家に戻ってから、近年の傾向を調べてみました。便利な世の中になったもので、ネットで簡単に調べられます。

 とりあえず、「小説すばる新人賞」で受賞した作家の年齢(受賞当時)を、ネットで検索しました。第21回(2008年)から、第36回(2023年)までをチェックした結果、受賞者18人の平均年齢は、34.34才。最高齢は56才でした。うち20代が8人、30代が4人、40代が3人、50代が3人。60代以降はいません。

 純文学系の「新潮新人賞」においては、第56回(2024年)で、41才と30才の2人、第55回には46才と、それに17才の作者も受賞しています。第54回は26才、第53回は34才と、なんか途中で年を数えるのも悲しくなってきました。

 人気作家のデビュー年を見ても、東野圭吾は27才、宮部みゆき27才、綾辻行人26才、恩田陸28才、池井戸潤35才、湊かなえ34才などなど、もう絶望的です。

(「文芸新人賞とその受賞年齢」などという研究論文を書くわけではないので、それ以上は調べませんでしたし、受賞時の年齢も1才前後の誤差があるかもしれませんが、だいたいは合っているはずです)

 一般企業の求人でも、近年は建て前として男女雇用機会均等法云々で、誰でも応募可能みたいな募集がされていますが、実際には年齢や性別、学歴、職歴でまず選別されているのは明らかです。それは就職活動24敗中に、アルバイトでもさんざん断られてきた私は、身をもって分かっていました。

 ならば、出版社も民間企業である以上、同じことが言えるでしょう。

 まあ、ちょっと考えれば解ることですが……あちらさんは、将来性があって、瑞々しい感性を持つ若手が良いに決まっています。もし私が編集者なら、自分よりも年上で扱いづらいオッサンよりも、20代や30代の若者を選ぶでしょう。もちろん、オッサン作家が飛び抜けて面白いか、ある程度実績のある人物なら別ですけどね。

 とはいえ…

 公募ガイドの特集記事では、下記のようにまとめており、全く希望がないわけでも。

人は何歳まで作家デビューできるか3:受賞者の年齢について主催者に聞いてみた | 公募/コンテスト/コンペ情報なら「Koubo」

「今は作家の実働年数はせいぜい10年ですし、新人を育てる誌面も少ない、それなら一発屋でも即戦力を待ったほうが効率的という考えが主流ですから、年齢は関係なくなりつつあります」

「取材を通じて」公募ガイド特集記事

・受賞後、受賞者と関わらない主催者は受賞者の年齢は問わない。
・新人の発掘を目的とする新人文学賞でも実年齢は問わなくなってきている。
・ライトノベルについては高齢者の受賞はかなり難しい。
・実年齢より、受賞に値する作品であるかどうかのほうが重要。

「受賞者と年齢まとめ」公募ガイド特集記事

 
 ただ、公募ガイドの記事は、信憑性が高いと思う反面、基本的に公募者を増やすのを目的としているので、私は100%信じませんが。



年齢関係なしの地方文学賞ならば

 そこで、私は再び考えました。文芸誌主催の新人賞よりも、新聞社系の文学賞や、地方文学賞ならば、なんとかなるのでは、と。

  文芸誌の新人賞は、新人作家の発掘を目的にしており、その将来性なども加味して選ばれるでしょうが、新聞社や地方自治体が主催する文学賞は、もともと年齢を考慮する必要がないため、作品そのものを評価して選んでくれるはず。

 ただ、ここには大きなジレンマがあって、地方文学賞を受賞しても、それで即作家デビューとはならないはずです。なぜなら、その作品が商業出版されるわけではなく、立て続けに原稿依頼が来るわけでもないでしょう。前述の公募ガイドの記事でも、単発の懸賞小説、自治体文学、地方文芸については、「受賞後は受賞者とほとんど関わりがなくなる文学賞」であると記述しています。

 私が直接尋ねた文芸誌の元編集者は「エンタメ系の作品を投稿するのなら、面倒見が良い大手3社の文藝春秋社か、講談社、新潮社ですね。次いで集英社かな」とアドバイスしてくれていました。

 ですが、作家デビューよりも作品を埋もれさせたくないという想いと、ことごとく落とされて自棄(やけ)になっていた気持ち半々で、私は「北海道新聞文学賞に応募してみよう」と思いを定めたのでした。同文学賞は未発表原稿だけでなく、一年以内に出版された書籍ならば応募可能(当時)でしたし、道内在住者の条件は問題ないし、締め切りの時期もちょうど良かったため、送ってみたのです。

(つづく)

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