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旅立ったうさぎのこと
12年近く共に過ごしたうさぎが旅立ち、もうすぐ2ヶ月になる。今日、何気ない場面で白く繊細なぴのの毛を見つけた。寂しさと懐かしさから、「まだ残ってたんだ」と思わず口に出る。
ぴのは当時住んでいた都会のホームセンターで出会った。生後2ヶ月のひょろ長く白い毛並みはイタチのようで、ケージから出されるとすぐに自由を求めてバックヤードのカーテン裏へ消えていった。いたずらに手を焼くこともあったが、12年もの間病気らしい病気もせず飼主孝行な子だった。ただ、自分に子どもが生まれてからは以前ほど構ってやるとができなかった。また、最期を看取ることはできたものの、良かれと思い取った行動が彼を苦しめてしまったかもしれず、それが今も心残りになっている。
ただでさえ動物の医療機関が少ないこの土地で、しかもエキゾチックアニマルであるうさぎを飼うということ。それはこちらに引っ越す時想像した以上に心への負担が大きく、少しの異変にも病気ではないかとナーバスになった。先代うさぎを病気で亡くしてから更にそれは強くなった。
別れは辛く心残りも多いけれど、そういった心配事から解放され安堵している自分がいるのも確かだ。苦しむ姿をただ見守ることしかできない、あのもどかしさをまた味わわなくて済むということも。
だいいち、医療が十分でない環境で動物を飼育する事自体、動物福祉に反しているのかもしれない。
そういったことから今後自分は、寝起きをを共にするような動物と暮らすことはないだろう。
ぴのが使っていた物は、給餌用の小皿を除きほとんど片付けてしまった。持っていても仕方のないものもあるし、亡くなってしばらくはそれらを見ると辛くなってしまいそうだった。
懐かしさ、寂しさ、感謝の気持ち。それを思い出させてくれたぴの痕跡。飄々と、それでいていたずら好きなあの小さな丸い背中を、時々でいいから夢の中で見せてほしい。